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私の赤くて柔らかな部分 の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2022/02/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 1955年島根県生まれ、平田俊子さん、初読みです。「私の赤くて柔らかな部分」、2009.7発行。純文学でしょうか・・・。恋人の誘児35歳は旅に出て、その1ヶ月後会社で慕っていた影山さんが死んだ。まなみは東京から2~3時間、電車の終点の地でホテルに泊まり、一泊が二泊に、二泊が三泊に・・・。メニューがお子様ランチだけの食堂で食事をし、花屋で金魚を買い、影山さんと話をし、誘児との思い出を思い出し・・・。不思議な世界が広がっていました。

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2013/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 憧れていた上司・影山さんの死、恋人・誘児との離別。それらが交じり合った痛みを抱えたまま出席する「影山さんを送る会」。  そこを抜け出し青山から上野へ、上野で飛び乗った鈍行電車を乗り継いで3時間。  終着駅に降りたったまなみは、寂れたホテルにたどりつき...帰るきっかけを失って...  寄るべない自由な女ひとり...吹きっさらしの感情の揺らぎ...  小さな町でのさまざまな出会い--国道沿いのステーションホテル、お子様ランチの上田屋、上田宇枝(うえだうえだ)、八十八(やどや)、照穂(てるほ)、学生服の老人、赤いアパート、赤いマフラー、赤い靴下、ろっぷく祭...そして、まなみの誘いでやってくる沼子....影山さん。  人を想うこころの揺らぎ、そのあとに訪れる まなみ、沼子の再出発...祭の描写には涙しました。

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2012/06/03

影山さんのお別れ会は一時に始まるはずだった。夜中の一時ならいいけれど昼の一時だ。十一時に起き、寝ぼけた顔のまま部屋を出る。渋谷駅で電車をおり、明治通りを渡る。頭のてっぺんを太陽にあぶられながら宮益坂をのぼっていく。でこぼこした道は歩きにくく、油断すると足をくじきそうになる。おまけ...

影山さんのお別れ会は一時に始まるはずだった。夜中の一時ならいいけれど昼の一時だ。十一時に起き、寝ぼけた顔のまま部屋を出る。渋谷駅で電車をおり、明治通りを渡る。頭のてっぺんを太陽にあぶられながら宮益坂をのぼっていく。でこぼこした道は歩きにくく、油断すると足をくじきそうになる。おまけに坂の上からは、岩が転がるように人が続々とおりてくる。

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2011/10/27

物語自体は何にも目新しくないよくある感じ。失恋と、親しい人を喪った悲しみから、何もない街で心の洗濯をするはなし。だけれど、文章の端々にひっかかるものを感じて、ああ、またこの人の作品手に取るだろうなあ、と思った。

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2010/04/23

頁の上にある文字をまっすぐに目は追っているのだけれど、まるで回り道をするように頭の中の思考は中々目の動きに追いつけない。一行読んではふらふらと書かれている筈もない別の物語のことが気になってしまう。目の方は知らんふりをして先へ行ってしまいそうになりつつ、後ろを振り向いて脇道に逸れて...

頁の上にある文字をまっすぐに目は追っているのだけれど、まるで回り道をするように頭の中の思考は中々目の動きに追いつけない。一行読んではふらふらと書かれている筈もない別の物語のことが気になってしまう。目の方は知らんふりをして先へ行ってしまいそうになりつつ、後ろを振り向いて脇道に逸れて行っている思考の方へ、そっちじゃない、と声をかける。 何か強いメッセージがはっきりと書かれている訳ではないのだけれど、一つの文章が、一つの言葉が印象に残り、その残響を求めて気持ちがどうしても脇へ脇へとそれていってしまう。とても不思議な心持ちになる。 短い作家の紹介の文章の中にうまい言葉が見つかる。「この世の位相」。確かに作家の言葉には位相に係わる不思議な力がある。それは実のところとても強い作用を及ぼすものである筈なのに、見掛けは何も起こらなかったかのよう。しかしその力は実は鏡の向こうの世界に突然送り込まれてしまうような作用。突然、自分が身知った世界の実像が取り去られてしまった世界に自分が置かれていることに気づいた時のような(もちろん、そんな経験を実際にはしたことはないけれど、似たような気持にはなったことはある)感慨に襲われる。 目を凝らして見ても何が変わったというわけではないのだけれど、何かが決定的に異なっている。微分をした筈の正弦曲線が、元の波の形そっくりの余弦曲線として目の前にあるのを見て、まったく何も変わっていないと勘違いしてしまうような。しかしその物理的作用は確実に世界を変化させており、自分自身はしっかり実世界で波の形を眺めているつもりでも実は虚数の平原へπ/2だけ位相が変換されてしまっている。 元の波と位相が返還された波が、フーガのようにやって来て重なり合い、何度かの位相変換の後、ふっと波を打ち消し合って何もなかったかのような無に戻る。実体は消滅しているのに、エネルギーが存在したことだけは記憶に残る。その正体はなんだったのだろう、という訝しさだけが残る不思議な味わい。正体の見えぬものに説明をつけようと頭が活発に機能する。 そうやって幾つもの物語を並行世界の中に読み解きながら本を読み終えると、果たしてこの本の中に本当は一体何が書かれていたのかが、すっかり解らなくなっている。

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2011/01/07

2011.01. 装丁とタイトルはとても気になる雰囲気を醸している。が、内容はつかめないなー。上田屋だけ、ちょっと行ってみたい。 2010.02.14. 日曜の本屋巡り(4店舗)にて、平台で発見。タイトルが、気になるじゃないの。

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2009/11/15

失恋小説というジャンルがあるかどうか分からないけれど, 筆頭にあげたくなる本だった。 実際に失恋したときには,痛くて辛い本なのかもしらんが。

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2011/07/19

詩と戯曲と小説を書いて注目されている人だそうですが、読んだことはなく未知との遭遇でした。この魅力的な助平チックなタイトルに思わず惹かれて手に取りましたが、残念ながらまったく期待外れでガッカリ、とんでもない代物で、肥溜めで溺れる方がまだましだわ、とかいった、いやだ、田舎臭くて突拍子...

詩と戯曲と小説を書いて注目されている人だそうですが、読んだことはなく未知との遭遇でした。この魅力的な助平チックなタイトルに思わず惹かれて手に取りましたが、残念ながらまったく期待外れでガッカリ、とんでもない代物で、肥溜めで溺れる方がまだましだわ、とかいった、いやだ、田舎臭くて突拍子もなく変な感想を抱いてしまいました。ほとんど中学生程度の作文で、血眼になって捜しましたが全頁の中のたった一行にも、否、選ばれた言葉のたった一語にも、何のひらめきもなく何の感動も見つかりません。例の、これは意図された文体で、とかいった援護はまったく逆立ちしてもできそうにない、まさに確信犯であり、巷で囁かれているような≪言葉の魔術師≫などという評価がどこから湧いて出てくるのか噴飯ものの、しかも内容はと言うと、嗚呼、私も大好きな、愚にもつかない失恋して滑った転んだのもの悲しい物語で、でも最後まで読めたことが自分では信じられないくらい退屈なものでした。

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