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虫庭の宿 溝口薫平聞き書き の商品レビュー

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2010/02/07

「ゆふいん」って聞いたことあるけど・・・ 由布院それとも湯布院? 先輩の大魔人こと溝久さんが観光総合事務局長として採用されて2年間勤められたことは知っていたが・・・ 先日、溝久さんと図書館でバッタリ出会い、「ボクが出ているから・・・」と、半強制的に薦められ、読むことに。 本書は...

「ゆふいん」って聞いたことあるけど・・・ 由布院それとも湯布院? 先輩の大魔人こと溝久さんが観光総合事務局長として採用されて2年間勤められたことは知っていたが・・・ 先日、溝久さんと図書館でバッタリ出会い、「ボクが出ているから・・・」と、半強制的に薦められ、読むことに。 本書は、西日本新聞社の野口智弘氏が溝口薫平さんからの聞き書きにより薫平さんの生涯を通じて由布院のまちづくりの歴史をたどる書である。 今や年間400万人もの観光客が訪れる国内屈指の観光地として知られる由布院がいかにして現在に至ったのか? 中谷健太郎(亀の井別荘)氏、溝口薫平(玉の湯)氏、志手康二(山のホテル夢想園)氏の三氏を中心とした「ゆふいん」の住民の戦いの記録でもある。ダム、ゴルフ場、大型レジャーセンター、サファリパーク、リゾートマンション・・・次々と押し寄せる開発の波、環境問題、景観問題に立ち向かい、乗り越えていく様が薫平さんの確かな視点から臨場感あふれる語り口で綴られている。 アイデアマンの中谷健太郎さんの斬新なアイデアを中心に、薫平さんの穏やかな人柄が「潤滑油」となり、志手康二さんが地域住民を動かし、それぞれの持ち味を発揮し、三氏を中心とした「ゆふいん」のまちづくり組織は、創造的であり、自律的オピニオンリーダー小集団として成り立っていた。まさに奇跡とも言える。(P.178) 様々な経験やまちを訪れた文化人のアドバイスを上手く生かし、料理、おもてなし、イベントとまちづくりを進め、「ゆふいんブランド」を確立していく。 彼らの原動力は、「由布院の自然を守る会」の機関誌として始まった「花水樹」の創刊号に寄せられた中谷健太郎氏の言葉「私たちが子供に残してやることのできる唯一のものは、この町の落ち着いた、節度のある美しさだと思います。」と、いう「想い」に尽きるのではないか。 一方、大魔人こと溝久さんの活躍も確かにP.55から綴られていた。そして、その功績(ゆふいん親類クラブの創設、ゆふいん建築・環境デザインガイドブック、絶叫台の設計、総合事務所の基本設計)も、しっかりと称えられている。改めて溝久さんの行動力、バイタリティーに関心するばかり。何よりも、当時、家族四人で移住し、従事したこと。静岡県に戻ってからも毎年、由布院に帰省(?)し、地域の人々に受け入れられていることが素晴らしいと感じた。

Posted byブクログ