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地球の法則と選ぶべき未来 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2024/06/03

ドネラ・H・メドウズ(1941~2001年)氏は、米イリノイ州生まれ、米カールトン大卒、ハーバード大博士号取得。ハーバード大の誘いを断り、ローマクラブ委嘱の「成長の限界プロジェクト」に加わり、その後も環境保護運動に力を入れ、ダートマス大教授として研究活動の後、ライターとして本や新...

ドネラ・H・メドウズ(1941~2001年)氏は、米イリノイ州生まれ、米カールトン大卒、ハーバード大博士号取得。ハーバード大の誘いを断り、ローマクラブ委嘱の「成長の限界プロジェクト」に加わり、その後も環境保護運動に力を入れ、ダートマス大教授として研究活動の後、ライターとして本や新聞・雑誌のコラムの執筆に専念した。 1990年にメドウズ博士が著した小文をきっかけとした「If the world were a village of 100 people」(邦題「世界がもし100人の村だったら」)は、2000年代に全世界に広まった。 メドウズ博士と夫のデニス・L・メドウズ博士が主著者を務め、1972年に発表された『The Limits to Growth』(邦題『成長の限界』)は、日本語をはじめ35の言語に翻訳され、世界の総発行部数は300万部を超える。私は1980年代半ばに、大学教養課程の授業のテキストとして『成長の限界』を手にし、「このまま経済成長や人口増加が続けば、地球は遠からず限界に達する」という主旨は理解したと思うのだが、その後、バブル経済の渦中で程なく忘れてしまい、資本主義的考え方に何の疑問を感じることもなく、仕事でもプライベートでも行動してきた。 そして、ビジネスとは関係のない様々な本を意識的に読むようになった10年ほど前から、(新自由主義的な)資本主義に大いに疑問を感じ、ポスト資本主義のあるべき姿に関心を持つようになって、今は斎藤幸平氏の『人新世の「資本論」』や社会学者・広井良典氏の主張に共感を覚えるようになっている。 本書については、たまたま新古書店で目にし、『成長の限界』の主著者が発するメッセージに興味を持ち、読んでみた。 本書は、メドウズ博士が様々な新聞に連載した800本ものコラムの中から選ばれた32編を、日本語訳したものである。博士は、若くしてダートマス大学を辞めて、フリーのライターに転じたのだが、それは、『成長の限界』に書かれた3つの結論のうち、マスコミが「危険なもの」と「緊急性のあるもの」だけを取り上げ、「希望のもてるもの」には触れなかったことをずっと不本意に思い、「人間が生き方を変え、世界がシステムを変えるなら、持続可能な道を歩むことができる」という真意を伝えるため、メディアで発信し続けることが大事だと考えたからだという。 それぞれのコラムは、様々な切り口で書かれてはいるが、資本主義自体に疑問を感じている私にとっては、共感を覚えることばかりで、その全てのベースとなるのは「足るを知ること」である。また、技術的な点で私がなるほど思ったのは、フィードバックが為されること、すなわち、自分が何をしたらどれだけの効果があるのかが都度わかること(博士は、ホンダのHV車が、どのように運転すれば環境負荷が小さくなるかを各種メーターで逐一示してくれることを、好例として挙げている)の重要性であった。更に、実効性を考えれば、レジ袋やおむつ(紙か布か)について論争するよりも、はるかに影響の大きい交通手段(飛行機or電車or車or自転車等)について考えるべき、という指摘なども実に的を射ている。 本書を若い頃に読んでいたら、賛成できない部分もあったのかも知れないが、それよりも寧ろ、ピンとこない部分が多かったのではないかという気がするし、もしそうだとすれば、読むことによって、考えや行動の変化につながったのかも知れない。そういう意味では、博士の言う通り、メディアの力を使って市井の人々にメッセージを直接発信し続けることの意義は大きく、博士の何にも代え難い大きな功績だったと言えるのだろう。 日本でも大いに読まれて欲しいし、更には、我々日本人により身近な話題でこうしたことを発信してくれる人が現れて欲しいと思う次第である。 (2024年6月了)

Posted byブクログ

2017/04/30

「成長の限界 人類の選択」を読み、ほとんど絶望的な未来が見える中で、著者の前向きなメッセージに少し気持ちを動かされ、読んでみる。 本書は、新聞のコラムなどにかかれたエッセーを集めた物なので、とても平易で、感情に訴えかけるスタイルで、共感がもてる。 「成長の限界 人類の限界...

「成長の限界 人類の選択」を読み、ほとんど絶望的な未来が見える中で、著者の前向きなメッセージに少し気持ちを動かされ、読んでみる。 本書は、新聞のコラムなどにかかれたエッセーを集めた物なので、とても平易で、感情に訴えかけるスタイルで、共感がもてる。 「成長の限界 人類の限界」は、システム・ダイナミクスに基づくシミュレーションの結果をベースとしたものなのだが、既に「成長の限界」や「限界を超えて」といった本を読んでいるとあまり新しい驚きはない。(というか、新しい驚きがない、というところに、現在の社会の問題がいかに根深いかがでているのだけど。つまり、30年以上、問題は何も解決していないということ。それから次から次に新しいものを求める消費社会的な欲望とかね)で、シミュレーションを語るより、今必要なのは、より感情的な働きかけではないか、と思っていたので、ドネラ・メドウズ自身が、そうした訴えかけを実践していたことを知り、共感したという次第。 ほんとうに、すらっと気持ちに入って行く素直な文章なんですよ。 自分の生活が、現実的には持続可能ではないような部分があることを素直に認めているところも、共感度合いが高い。 持続不能なライフスタイルを送っている人を批判したり、非難しない。そういう生活を徹底できない自分も非難しない。 批判したりすることからは何も始まらない。「われわれが正しい」といって、人の話しを聴かないようであれば、その発想は、現在の持続不能な社会を形成しているマインドと同じであるのだ。

Posted byブクログ

2010/11/23

子供に読ませたいと思う人が多いかもしれないが、子供に読ませるには少し危ういバランスの上に立っている本。 容易に誤読し、過酷な搾取の世界に足を踏み入れかねない。 むしろ自立した(と思っている)大人が読むべき本。 日々蓄積する胸のもやもやが少しは取れることだろう。 京都議定書を作成せ...

子供に読ませたいと思う人が多いかもしれないが、子供に読ませるには少し危ういバランスの上に立っている本。 容易に誤読し、過酷な搾取の世界に足を踏み入れかねない。 むしろ自立した(と思っている)大人が読むべき本。 日々蓄積する胸のもやもやが少しは取れることだろう。 京都議定書を作成せずとも、シンプルな解(の一案)がここにある。

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2010/07/26

真実を受け止め、行動することが必要。 メドウズのメッセージは地球環境を考える時に、もっとも必要なことをメッセージしてくれている。 でも実際のところ、経済は優先され、環境は商品・もしくはサービスの一つとして見られているに過ぎない。 微視的な行動は、私にもできる。多くの人を巻...

真実を受け止め、行動することが必要。 メドウズのメッセージは地球環境を考える時に、もっとも必要なことをメッセージしてくれている。 でも実際のところ、経済は優先され、環境は商品・もしくはサービスの一つとして見られているに過ぎない。 微視的な行動は、私にもできる。多くの人を巻き込むためには、成長しなければならないという価値観を覆す、新しい幸福論が必要だなぁ。 ものを集める事が人生の目的ではない。 本質的で、愛に満ちたメッセージ。

Posted byブクログ

2011/02/14

H・メドウズ(枝廣淳子・訳):ランダムハウス講談社/2009年7月 本書には、思わず眼をとめるフレーズが随所に出てくる。曰く、 「危機に瀕しているのは地球ではなく、私たちの考え方である」 「地球の資源が地球のためと称して浪費されている」 「私たち人間は自分たちのことを威厳を込めて...

H・メドウズ(枝廣淳子・訳):ランダムハウス講談社/2009年7月 本書には、思わず眼をとめるフレーズが随所に出てくる。曰く、 「危機に瀕しているのは地球ではなく、私たちの考え方である」 「地球の資源が地球のためと称して浪費されている」 「私たち人間は自分たちのことを威厳を込めてホモ・サピエンスと呼びますが、(中略)今、究極の知能テストが環境から突きつけられています。私たちは、自らの生命維持システムの破壊を止められるだけの知恵を持ち合わせているのでしょうか?」 筆者は、地球を1000人の村にたとえた『世界がもし1000人の村だったら』(『100人の村』のオリジナル)の作者で、世界中に影響を与えた『成長の限界』(ちなみに第7回のエコ検定の問題中にも出ていた)の主著者でもある。 彼女が生前、新聞に寄稿したコラムのうちから32編を日本語に翻訳したメッセージ集。

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2010/03/27

エコブームvs偽善エコ論争が白熱する愚かな現状に冷水をぶっかけるような本。 レジ袋がどうだとか、エコポイントは本当にエコかとか、 そういうことは本当に些細なことだなあと反省。 ぶっちゃけ「今までの生活をそのまま続けるなんてことが 本当にできると思ってるの?」という問いかけが、 エ...

エコブームvs偽善エコ論争が白熱する愚かな現状に冷水をぶっかけるような本。 レジ袋がどうだとか、エコポイントは本当にエコかとか、 そういうことは本当に些細なことだなあと反省。 ぶっちゃけ「今までの生活をそのまま続けるなんてことが 本当にできると思ってるの?」という問いかけが、 エコに対する意識を目覚めさせるきっかけになるんじゃないかなあ。 まあ、自分が生きている間だけ保てばいいやって思っている人にとっては エコなんてちゃんちゃらおかしいでしょうね。 政府のシステムも、経済成長を前提とした企業の姿勢も 中にいる人が「自分がいる間、倒れなければ大丈夫」って 思ってる限りは変わらないだろうし。 なんというか・・・人という生き物のエゴや欺瞞が透けて見える本。 でも、絶望してはいない。 ただ残念なのは、この著者がもう亡くなっていること。 きっと、彼女の思いは多くの人が受け継いでいるのでしょうね。

Posted byブクログ

2009/10/07

この分野では、大家として知られた方だけれど、等身大のひとりの人間・女性、がんと闘ってきた人間としてのメッセージが共感を呼ぶ良本でした。

Posted byブクログ