フェルメールの楽器 の商品レビュー
梅津時比古「フェルメールの楽器 ~音楽の新しい聴き方~」(毎日新聞社 2009)は、音楽好きには堪らない魅力が満載された書物である。コラム集成であるが、1編1編が滋味豊かに展開される音楽シーンに、読み手はひとつひとつ応えていかなければならない。「音のかなたへ」というエッセイ、...
梅津時比古「フェルメールの楽器 ~音楽の新しい聴き方~」(毎日新聞社 2009)は、音楽好きには堪らない魅力が満載された書物である。コラム集成であるが、1編1編が滋味豊かに展開される音楽シーンに、読み手はひとつひとつ応えていかなければならない。「音のかなたへ」というエッセイ、「コンサートを読む」という批評のいずれもが、著者の音楽に対する情愛とも言うべき文章を味わうひとときとなるのだ。それぞれの状況におけるエッセンスを抽出して描き出す著者の慧眼に羨望さえ感じさせる書物である。こういう文章が書ければ、音楽に対する書き手の意向が伝わる手だてとなるのかもしれない。
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「音楽を過度に自分の体験や心象と結びつけると、音楽そのものへの理解を妨げることになる。」と前述しているにも関わらず、内容は音楽において、作曲家や演奏家にまつわる話が、自身の人生観や自然観に交えてきわめて主観的に綴られています。 しかし文章から共感を押しつけるような強引さは無く、...
「音楽を過度に自分の体験や心象と結びつけると、音楽そのものへの理解を妨げることになる。」と前述しているにも関わらず、内容は音楽において、作曲家や演奏家にまつわる話が、自身の人生観や自然観に交えてきわめて主観的に綴られています。 しかし文章から共感を押しつけるような強引さは無く、初めから終わりまで小さな共鳴を感じながら読むことが出来ます。 音楽をそのまま言葉に変換することは、とても難しい。それを著者は記者として培った文章力と、音楽に対するピュアな感性で、限りなく高い純度で実現しているのです。
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著者のスコダ氏に対する演奏批評が、全く私と同じ表現でびっくり!シューベルトに手を添えるかのような演奏とは、私も先日、スコダ氏のシューベルトに感じたものでした。
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