終の住処 の商品レビュー
「離婚しない夫婦を書こうと思った」との作者の言葉に惹かれて読んでみた。 リアルな夫婦の軌跡ではなく象徴的な実験的小説だった。 夫婦の関係は相互に影響し合うのではなく閉じている。 高度経済成長の恩恵を受けた世代の労働観が反映されていた。
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芥川賞受賞作ってコトで読んでみた。「過去に縛られる」とよくいう。けれどこの小説の主人公は「未来にしばられて」生きていくのである。結果的にたどり着く未来があって、そこにむかってさまざまな出来事(不可思議な、説明のできないものも含めて)が起こり続けるのである。なぜそんなコトが起こるん...
芥川賞受賞作ってコトで読んでみた。「過去に縛られる」とよくいう。けれどこの小説の主人公は「未来にしばられて」生きていくのである。結果的にたどり着く未来があって、そこにむかってさまざまな出来事(不可思議な、説明のできないものも含めて)が起こり続けるのである。なぜそんなコトが起こるんだ、っていう説明は全くなされず、ただ淡々と第三者の目から物語られていくだけで。読者はどこかできっとスカっっ!と全てがつまびらかになるのだろうと期待して読み続けるのだけど、結局最後まで「なぜ」かわからない。その分からなさがつまりは「結婚生活」ってことなのか?これ読んだら若者の非結婚率がまた上がるんじゃない?なんとなくどんよりとした薄気味悪さが続いてラストにその真っ只中に放置されて途方にくれる、こういう小説嫌いじゃないけど、不全感は残るわな。
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今年の芥川賞受賞作。筆者の三井物産勤務のサラリーマンという経歴に興味を持った。文学するのは久しぶり、という期待感もあった。 まず眼を引くのが、この物語のテーマが愛であること。主人公の男は極めて身勝手な想いに振り回されながら、時に身勝手な行為に身を窶しながら、長い時間を押し進めて...
今年の芥川賞受賞作。筆者の三井物産勤務のサラリーマンという経歴に興味を持った。文学するのは久しぶり、という期待感もあった。 まず眼を引くのが、この物語のテーマが愛であること。主人公の男は極めて身勝手な想いに振り回されながら、時に身勝手な行為に身を窶しながら、長い時間を押し進めていく。不倫するかどうか、それをこの妻のように許すのかどうかはともかく、結婚生活ってこんなもので違和感や不機嫌さや悩みを抱えながらも毎日を過ごしていくものだと思う。不協和音を織り交ぜつつも永い時間を共有し、紡いでいくのが、普通の人たちにとっての愛の形なんだと妙に納得した。 次に、筆者の技法ともいえる時間の扱い方。「固くごつごつした物体を積み上げる」などと評されているが、段落の区切りがほとんどない文体のまま、長い時間の物語が連続して語られていく。選評でこの手法に対する評価がまちまちなところを見ても、決して洗練されているとは言えないが、ある時点から過去を走馬灯のように振り返ればこのような語り口になるのだろうし、自分にとっては違和感なく読めた。 最後に、言葉を多少過剰なくらいに連ねていく贅沢さ。冒頭の夏の公園で不思議な光景を見る場面とか、単純にはよくスケッチしてるなぁと感心するのだが、文学らしい贅沢さがあって良かった。その後はスピード感を上げるために表現を控えているが。 物語は主人公が50歳くらいのところで、20年を振り返り終わったというように唐突に終わっている。でなんなの、という読者の声が聞こえてきそうだが、これから老後を二人きりで過ごしていくんだ、という余韻は、そこまで行ってない世代にとっては、響いてこずよくわからなかった。
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芥川賞というだけで読んだ本です。いつもなら直木賞は読むけど、芥川賞は全く読むことはありません(過去に「赤頭巾ちゃん気をつけて」「僕って何」くらい)。ということで私には似合わない作品でした(^^;
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いいねぇ 文学ですよ。 今回を含め、過去2回の受賞作は 非常によいです。 まだまだ、日本の文筆は大丈夫だと思う。 本が売れない時代、小手先のことで対応しようと する出版界に言いたいね。 作家を育てろよ!って言いたいね。
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第141回芥川賞受賞作。 なんでもない過去の積み重ねによって今がある。 そして過去のどんな積み重ねも「今」より重いということはない。 みたいなことを言いたい話、なのかしら? 風景描写や心境を暗示させる描写が多いんだけど、頭に入ってきにくい。 話自体も…あまりにも淡々と進み過ぎ...
第141回芥川賞受賞作。 なんでもない過去の積み重ねによって今がある。 そして過去のどんな積み重ねも「今」より重いということはない。 みたいなことを言いたい話、なのかしら? 風景描写や心境を暗示させる描写が多いんだけど、頭に入ってきにくい。 話自体も…あまりにも淡々と進み過ぎて、何が言いたいのかわからない。 純文学はわからんです。 (芥川で肌に合ったの読んだことないなぁ)
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「終の住処」 磯崎憲一郎 第141回芥川賞受賞作。 1人の男が、結婚し、浮気し、子をもうけ、浮気し、遊園地をきっかけに妻との会話を11年間失い、それを取り戻し、家を建て、アメリカに行き、帰ってくる、青年期の終わりから老人の入り口までを描く。現実の時間や空間に上手く馴染む事ができ...
「終の住処」 磯崎憲一郎 第141回芥川賞受賞作。 1人の男が、結婚し、浮気し、子をもうけ、浮気し、遊園地をきっかけに妻との会話を11年間失い、それを取り戻し、家を建て、アメリカに行き、帰ってくる、青年期の終わりから老人の入り口までを描く。現実の時間や空間に上手く馴染む事ができずに、運命論的な人生観や、出来事に対しフツウでない解釈を付与する夫、理解不能な存在としての妻。 丁寧な故に長い、観察的かつ説明的な描写と文体。しっかり描かれるば描かれるほど、かえってリアリティをなくしていく世界。異常でもなくまっとうでもなく、具体的でも観念的でもない。イメージとしては、音楽CDのスキットのような質感を持つ小説。 日常、私生活、半径五メートル以内の世界、そんなものたちを描こうとする小説、映画群の中ではあまりお目にかかった事がない肌理を持っていて、その意味で珍種だと思うし面白いが、同時収録の「ペナント」のように、それを繰り返すだけだは、早晩に飽きてしまいそう。
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