テレビの笑いを変えた男 横澤彪かく語りき の商品レビュー
横澤彪/塚越孝『テレビの笑いを変えた男 横澤彪かく語りき』 を読む。 「通販生活2011春号」に横澤さんが出ていて、 そう言えば久しぶりだなぁと思ってインタビュー記事を読んだ。 「自分の本を推薦するのは少し気が引けますけど」と断って 横澤さんが「笑いの世界」を読者に紹介するために...
横澤彪/塚越孝『テレビの笑いを変えた男 横澤彪かく語りき』 を読む。 「通販生活2011春号」に横澤さんが出ていて、 そう言えば久しぶりだなぁと思ってインタビュー記事を読んだ。 「自分の本を推薦するのは少し気が引けますけど」と断って 横澤さんが「笑いの世界」を読者に紹介するために 三番目に選んだのが本書。 「タモリ、たけし、さんまのビッグ3が お互いをどう思っているのかとか、 タレントや番組の良し悪しなどもすべて実名で話していますから、 ちょっと生々しい内容になっているかも。 でも、僕はもう怖いものなんてないから、いいんです(笑)。」 とあったのでなんとしても読んでおきたいと アマゾンのマーケットプレイスで注文した。 スキャンダルに堕することなく 横澤さんのテレビやお笑いの世界に対する愛情がにじみ出ている 語りおろしだった。 インタビュアーの塚越さんがいい仕事をしている。 愛情が深い分、横澤さんのテレビやお笑いへの危惧も深い。 ツービートやコント55号も志ん生も知らず、知ろうともせず、 今だけに執着し、反射神経だけでしのぐ タレント、ディレクターを危ういと指摘する。 詰め込みすぎ、問題が起きないことだけを願うテレビ番組が 優等生たちの手で愛情なく作られている現状を憂いている。 横澤さんは良くも悪くも落ちこぼれであり、 身の丈で生きることをなにより大切にする現場の人なのだ。 まさかこの本を読んでいる間に横澤さんが逝去されるとも思わず、 本書は残された者への遺言ともなった。重いね。 脚注が充実していて、テレビのお笑いの世界で生きた人たちの、 簡潔なWho's Whoになっている。 小林信彦『日本の喜劇人』を補完する資料にも使える。 (文中一部敬称略)
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