ペスト の商品レビュー
いやいやこれはなかなか凄かった。パンデミックの事態における人間や社会の様子が、17世紀と21世紀と大して変わらない事にまず驚かされます。
Posted by
『ロビンソン・クルーソー』の著者、ダニエル・デフォーの小説。 ペスト菌が発見される200年以上も前の時代、致死率の高い疫病がどこからやってくるのかもわからない状況で、人々がパンデミックに対してどのような行動に出たか・・・1665年ロンドンのペストの年がリアルに描かれている。 ...
『ロビンソン・クルーソー』の著者、ダニエル・デフォーの小説。 ペスト菌が発見される200年以上も前の時代、致死率の高い疫病がどこからやってくるのかもわからない状況で、人々がパンデミックに対してどのような行動に出たか・・・1665年ロンドンのペストの年がリアルに描かれている。 フィクションとは言いつつも、貴重な記録ともいえるこの小説は非常に興味深い内容ではあるものの、いわゆる終息期にペストの毒性が弱くなり自然治癒すること以外に救われることのない状況というのが、読み手に重く圧し掛かりすっきりしない、ということから評価は★3つとしました。
Posted by
17世紀、ロンドンを襲ったペスト禍の物語風ルポルタージュ。著者は、あのダニエル・デフォー。彼自身は実際の災厄のときには幼児だったけれど、長じて取材、調査に基づいてこの書を著したのだとか。『大聖堂 — 果てしなき世界』を読んだので、参考までにと手を伸ばしてみた。 部分的には矛盾...
17世紀、ロンドンを襲ったペスト禍の物語風ルポルタージュ。著者は、あのダニエル・デフォー。彼自身は実際の災厄のときには幼児だったけれど、長じて取材、調査に基づいてこの書を著したのだとか。『大聖堂 — 果てしなき世界』を読んだので、参考までにと手を伸ばしてみた。 部分的には矛盾して見える記述もあるが、「わたし」が語る街の有様には鬼気迫るものがある。これが近世のとば口、大都会ロンドンの有様だとすると、疫病だけでなく戦乱や飢饉にもさらされていた中世の村や町にペストがやってきたら…。パンデミックによって世界が滅びる物語をつくるSF小説家たちは、皆このルポを参考にするにちがいない。 デフォーの記述は街の人々のありさまにとどまらず、数字による検証や人々の証言をおりまぜ、産業への影響、終息後の変化にまで及んでいる。まあ、「神」や「信仰」が強調されているのはいかにもデフォーらしいというべきか。 ところで、日本には疫病によるこれほどの災厄はなかったように思うがどうだろう。日本人の「大量死」の原因は、なんといっても地震や洪水などのような自然現象。火事というのもあるけれど、とにかくいったん起こると防ぎようがなく、かつ貧富にかかわらず平等に被害を及ぼすもの。ただし、その事象そのものは一過性で、疫病のように何ヶ月、何年と続くものではない…。 そんな歴史が「日本人」をつくってきたのかも、などと思いながら読んでいたおかげで、いつになく読了に時間がかかってしまいました。
Posted by
- 1
- 2