野わけ の商品レビュー

渡辺淳一【著】

2021/02/21

著者の本を思うに、なぜかまず「野わけ」とタイトルが浮かぶ（いかに私が古い人間かということだが）。
京都を舞台にした、いかにものどろどろ物。阿久津という苗字がいかにもで（この頃から三文字の苗字がカッコよく思えた）。若いころ同じようなストーリー展開ばかり読んで、共感できなかったが、大人の世界を垣間見たかった年頃。

2012/09/26

京都の輸血センターで検査技師として働く迪子。上司で妻子ある阿久津とひそかに交際をしていたが、次第に迪子が阿久津を追う一方になっている二人の関係に行き詰まりを感じていた。募る嫉妬や独占欲を紛らわすため、とんでもないことを思いつく…。
のっけから迪子のわがままっぷり、傍若無人っぷりに嫌気がさしたが、それが全編通して続くので驚いた。それなりのスキルを持って仕事をしている女性のわりには子供っぽい。いつも渡辺氏の女主人公には魅力を感じられずに困るのだが、それゆえに主役の二人を繋いでいる根本的な愛とか信頼関係とかがいまいち見えないので納得いかないことばかりだ。