宮澤賢治、ジャズに出会う の商品レビュー
この本をみて、やった~、と喝采を叫んだのは私だけでしょうか。 そう、読む前に、うすうすはピーンと来て、さもありなん、と思うところ大ありなのです。 それは、花巻の賢治のいつも通っていたレコード屋さんは、彼がしょっちゅうレコードを大量に購入するものですから、全国でも売上トップの成...
この本をみて、やった~、と喝采を叫んだのは私だけでしょうか。 そう、読む前に、うすうすはピーンと来て、さもありなん、と思うところ大ありなのです。 それは、花巻の賢治のいつも通っていたレコード屋さんは、彼がしょっちゅうレコードを大量に購入するものですから、全国でも売上トップの成績のお店ということで表彰されることが多かったというエピソードがあるからです。 チェロを弾くシーンのある映画『肉体の道』から発想して名作『セロ弾きのゴーシュ』が生まれたように、彼は活字媒体以外の諸芸術からも最大級のヒントを得ることを貪欲に追求していましたが、こと音楽には人一倍思い入れが深く、自らチェロも弾きましたし、作詞作曲はもちろん作品も残っていますが、そういう音楽好きが、単にクラシックだけに止まっているはずがなくタンゴやジャズにも・・・と思っていましたが、案の定それを裏付ける詩作品が、大正末に「ジャズ・・夏のはなしです」「岩手軽便鉄道7月(ジャズ)」という詩が発表されていたというのです。 日本でのジャズの受容は昭和初期から、しかも大都市・東京というのが一般的な定説なのですが、賢治はそれより数年も前に、片田舎の花巻で、ひとり密かにデキシーランド・ジャズに聞き入っていたというのが、またまたひとつ賢治伝説が増えて、より崇高さが増したという感じが大いにするではありませんか。
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