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デンマークを知るための68章 の商品レビュー

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2012/06/16

 最近ペア・ノアゴーとか20世紀のデンマーク音楽が割と気に入っており、また、デンマークの映画監督カール・Th・ドライヤーも気になり始めたので、よくわかっていないデンマークについての知識を得ようと、図書館から借りてきた本。  地理的状況、歴史、言語、文学、音楽、演劇、社会福祉等々、...

 最近ペア・ノアゴーとか20世紀のデンマーク音楽が割と気に入っており、また、デンマークの映画監督カール・Th・ドライヤーも気になり始めたので、よくわかっていないデンマークについての知識を得ようと、図書館から借りてきた本。  地理的状況、歴史、言語、文学、音楽、演劇、社会福祉等々、かなり多角的な方面から書かれた記事が網羅されている。各項目は3−5ページ程度だが、情報量は膨大だ。  近代においてはドイツに対し、デンマーク人は一般にどうやら反撥感情をもっていたようで、そっちではなく「スカンディナヴィア」としてのアイデンティティを求めたようだ。  グリーンランドという外部の土地を除けばとても小さな国なのに、優れた芸術家、著作家らを輩出してきたのは素晴らしい。  音楽についていうと、どうやらカール・ニールセンの存在が大きかったようで、ちょっと風変わりな古典主義で、反ロマン主義的なニールセンがシェーンベルクを毛嫌いしたことから、デンマークでの「中央ヨーロッパ現代音楽」受容が遅れたらしい。ノアゴーでさえ、ときとして調性を素朴に使うなど保守的な面が見られるし、デンマーク現代音楽全体も、ドイツやフランス、イタリアあたりの前衛とはおもむきが違うのは、こうした事情によるようだ。  音楽以外で面白かったのは、この国では喫煙の年齢制限が法律で決まっていないので、小中学生あたりも平然と吸っているらしい。タバコは1箱680円くらいで、やや高めだけど、それは「高級なたのしみ」というイメージに結びついていて庶民が離れる口実にはならなかったようだ。  それでも、近年はかなり喫煙者も減ってきているらしい。  税金が高く、消費税は25%もかかるらしい。その分、福祉かなにかに回っているのだろう。住みやすそうな国のように思えるが、母音が16種類もあるデンマーク語は、なかなか習得できそうにない。  この明石書店の「エリア・スタディーズ」シリーズは各国版が出ているようで、なかなかいいと思う。これを読んでからその国に旅行すれば、理解が深まってばっちりだろう。私は金がないから行けないけれど。

Posted byブクログ