出口王仁三郎 の商品レビュー
出口王仁三郎が、戦後の宗教団体に、その伝道活動の方法に影響を与えていたか、その大きさが伝わってきました。破天荒ともいえる彼の活動は、まさにカリスマといえます。同時代の世界の様子も含め、広い視野で認識できました。日本人歴史家にない、ユニークな表現に驚き、新鮮な感覚を味わうことがで...
出口王仁三郎が、戦後の宗教団体に、その伝道活動の方法に影響を与えていたか、その大きさが伝わってきました。破天荒ともいえる彼の活動は、まさにカリスマといえます。同時代の世界の様子も含め、広い視野で認識できました。日本人歴史家にない、ユニークな表現に驚き、新鮮な感覚を味わうことができます。日本の歴史を、欧米の研究者の本が、翻訳を通して、もっと身近になればと思います。
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人物伝や教団の紹介本ではない。受容と弾圧の背景、教団の活動や思想を通して、時代の変動の中での社会、国家と宗教の関係を海外例による比較も織り交ぜ、広い視野で書いている。とにかく読み応えのある研究書。
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今や新興宗教というと、あの醜悪で凶暴なサリン事件を引き起こしたオウム真理教を筆頭に、ほとんど100%近くがインチキ・ペテン・詐欺集団のようですが、かつては真摯な宗教心に燃えた敬虔な宗派が存在して、皆こころ穏やかに、でも激しく信仰したという歴史があったようですね、まあ、多少の胡散臭...
今や新興宗教というと、あの醜悪で凶暴なサリン事件を引き起こしたオウム真理教を筆頭に、ほとんど100%近くがインチキ・ペテン・詐欺集団のようですが、かつては真摯な宗教心に燃えた敬虔な宗派が存在して、皆こころ穏やかに、でも激しく信仰したという歴史があったようですね、まあ、多少の胡散臭さは否めないにしても。私は、京都に生まれ育ったということもあって、小さい頃から街中にあるお地蔵様に毎日お参りする祖母を、少しも異常とは思わず育ち、何かお菓子を頂いたりとか買ったりしたら、神さんにお供えしたり、仏さんにご供養など当たり前で、道を歩けばコンビニや飲食店より多く寺社仏閣がある中で、門前を見ると手を合わせて拝むという、今から考えれば信じられないほど、信仰に満ちた日常生活の真っ只中を生きてきたものです。まったくもって、万物に神が宿り心霊的な世界で生きるという、原始宗教的な環境だった訳ですが、考えてみると、京都には山科に西田天香による修行者の共同体の一燈園があったり、亀岡市には、かの有名な出口王仁三郎の大本教があったりと、さすが古都二千年の歴史を誇るだけあって、宗教の厚みも一味も二味も違うようです。とりわけ大本教は、戦前の1921年と35年の二度にわたって、検挙や建物破壊や厳しい拷問で16人が死亡という宗教弾圧を受けた新興宗教として、見逃すことのできないものです。たとえ昭和維新=右翼的な政治活動を行ったと認定されて、不敬罪や治安維持法違反で逮捕されたとしても、本質的なところではあくまで宗教心の発動なのですし、だいたいが戦前・戦中の官憲はなんでもかんでも弾圧したがったものです。ということで、本書はそういう私の関心事が呼び寄せた本として、実に大当たり〜の本なのですが、著者ナンシーはまさしくストーカーのごとく、出口王仁三郎を執拗に、宗教者と芸術家と社会運動家を併せ持つ多面体として追究して行き、ついに、あの当時の崩壊する人生感・社会不安の中で、人びとが彼に夢を託し、生きている現在にこそ悦楽の境地を見出そうと希求した蜃気楼の様子を、みごとに描き出したのです。この国際化社会に何を言うのか、と叱られそうですが、大相撲といい本書といい、この鮮やかな取りっぷり、いや書きっぷりを外国人にしてやられるとは、いやはや、しっかりしなきゃあね、日本人諸君!
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