謀略法廷(上) の商品レビュー
2024/9/15読了(再読) 田舎町の小法律事務所が巨大企業相手の訴訟に勝利する。以前のグリシャム作品なら本編ドラマになったような話が今回は“前振り”でしか無く、今回は“その後”の話がメイン。自分たちの不法行為は棚に上げて、自分こそ被害者みたいに怒り狂う経営者とそれに擦り寄るコ...
2024/9/15読了(再読) 田舎町の小法律事務所が巨大企業相手の訴訟に勝利する。以前のグリシャム作品なら本編ドラマになったような話が今回は“前振り”でしか無く、今回は“その後”の話がメイン。自分たちの不法行為は棚に上げて、自分こそ被害者みたいに怒り狂う経営者とそれに擦り寄るコンサルタント。彼らの作戦は来る上訴審に備え、自分たちに都合の良い人物を州最高裁の判事にするというもの。ーー国際問題の場で、法の下の秩序がどうのと説教垂れてるお国が自分の家でやってることがこれかい! っと突っ込みたくなる。 これで企みが潰えて、またも企業側がぎゃふんとなったら、痛快だったのだが……。
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企業の不法行為に対する巨額の損害賠償から逃げるために最高裁の裁判官の1席を裏で手を回して買うという話。権力と金、不法行為で市民が何人死のうと知ったこっちゃない企業。あまりいい気分はしないがその分「それでいいのか?」と読者へのメッセージは伝わる。
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クレイン社を相手取った薬害訴訟が原告側の勝利で始まるストーリー。クレイン社は上告し、法廷外にて手段を問わず反撃を開始するというストーリー。州の最高裁の裁判官を変えてしまうほどの組織の強大さ、対するウェスとメアリの資力の無さに一体どのような結末を迎えるのか非常に気になります。
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最近は、グリシャムの小説もまた定期的に読めるようになって、もともとのグリシャム・ファンとしては実に嬉しい。完全復活と呼ばれて久しいグリシャムも、時にイタリアン・ミステリ方面に少しスライド気味であったようにぼくには思えていたのだが、ここのところノンフィクションも含め、法曹界にちゃ...
最近は、グリシャムの小説もまた定期的に読めるようになって、もともとのグリシャム・ファンとしては実に嬉しい。完全復活と呼ばれて久しいグリシャムも、時にイタリアン・ミステリ方面に少しスライド気味であったようにぼくには思えていたのだが、ここのところノンフィクションも含め、法曹界にちゃんと戻ってきて、専門職でしか書き得ないリーガル・ミステリの世界をしっかりと提供してくれるようになった気がする。本書を含めて、そうした手ごたえが感じられ、ぼくはとてもほっとしている。 さてそうした明るい感触とは裏腹に、グリシャムでもこうしたプロットはあるのか、と思われるのがこの作品。少し異質であると思う。法による矛盾を法によって解決してゆくスリリングでありながら痛快なエンディングに変わることの多い作品に馴れたグリシャム・ファンであれば本書の厳しい内容には打ちのめされる部分が多いのかと思う。 『無実』という名の優れたノンフィクションを書くことによって法曹界が決して完全なものではなかったこと、しかしそこで闘う者たちの歓びも悲痛もどちらもあることなどを再確認したのかもしれないグリシャムは、時に、明るく万人が幸福になる結末以外の、野放しのケースをここで書きたかったのかもしれない。 ここでは闘う若き弁護士夫妻を叩きのめそうとする巨大権力という構造が示される。巨大企業グループに対して戦いを仕掛け、4100万ドルの損害賠償の判決を手にするが、最高裁に向け、大企業が財力にあかして包囲網を仕掛けてゆく。いかにどのようにして決着が突くのかと見守り続ける読者の側の緊張を、作者は翻弄する。 結末までを書くことはできないのだが、そのプロセスがこの小説のポイントであろう。一つには法は経済から逃れることができず、経済を凌駕してもいないという現実であろうか。法廷闘争を続けるには金が要るが、法律家たちも自分の事務所を守るために収益が必要であり、そこには経済の論理が断固として網を張り巡らせているということである。 さらに巨大な資力に物を言わせれば、買収、暴力による追放、罠、偽装など、法廷に持ち込むのもお手の物であるかもしれないということだ。その可能性をこれでもかというほど示し、実行してゆくケースこそが、本書でグリシャムが提供してみせたものだ。ショッキングなやり口に、手をこまねくしかない読者は、弁護士夫妻に肩入れし、不安を共有する。 上下二冊の大作だが、一日一冊のスピードで一気読みした。相変わらずグリシャムのジェットコースターぶりは健在である。
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公害訴訟にかかわる話だ。 資金力のある大企業が勝つのか、貧しい住民側の弁護士に希望はあるのか。グリシャムはこの本で シビアな現実をつきつけ、 これでいいのかと問いかける。 民主主義に未来はあるのか、議論に意味があるのか。 第三者であるべき州最高裁でさえ牛耳ることができる大資本...
公害訴訟にかかわる話だ。 資金力のある大企業が勝つのか、貧しい住民側の弁護士に希望はあるのか。グリシャムはこの本で シビアな現実をつきつけ、 これでいいのかと問いかける。 民主主義に未来はあるのか、議論に意味があるのか。 第三者であるべき州最高裁でさえ牛耳ることができる大資本。 しかし、一人一人の良心が巨悪と戦う必要性があるんだと訴えてくる。 あえてハッピーエンドとしないところに作者の矜持を感じる。
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グリシャムってよくもまあ飽きずに法廷の中と外を行ったりきたりする小説を書くよね…。 産業廃棄物汚染による公害訴訟の申立人の女性のくだりがおもしろかった。センテンスのテンポ・リズムの良さも好き。 こなれすぎて下巻を読む気がしないでいる。
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法廷ものとしては珍しく判決から始まるところが斬新。上巻は前座みたいなものなので、下巻に期待したいです。私的に和訳があまり好きじゃないから、読み進めるのに時間がかかる1冊でした。
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巨大企業のマネー至上主義に敢然と立ち向かう若き弁護士夫妻。しかし、企業の総帥が取ったのは驚くへき手段だった。長期出張中に持参した一冊。暇がなくて上巻しか読めなかった。感想の続きは下巻へ。
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