世代を超えて語り継ぎたい戦争文学 の商品レビュー
雑誌『世界』(岩波書店)に一昨年連載されていたお二人の対談を注目して読んでいましたが、ようやく12回を終えて本になりました。 私は、五味川純平の『人間の条件』を取り上げて書いたときに、この対談に言及しましたが、そういえば、敗戦時15歳だった1930年生まれの澤地久枝と、7か月だ...
雑誌『世界』(岩波書店)に一昨年連載されていたお二人の対談を注目して読んでいましたが、ようやく12回を終えて本になりました。 私は、五味川純平の『人間の条件』を取り上げて書いたときに、この対談に言及しましたが、そういえば、敗戦時15歳だった1930年生まれの澤地久枝と、7か月だった1945年生まれの佐高信との対談を、まだ精子でもましてや卵子でもなかった1982年生まれの私が読むというのも、奇妙な風景だといえば言えなくもないですね。 それと、いま考えてみると、村山由佳の『星々の舟』が直木賞を受賞した時に、どうしてあんなに嫌悪感を剝き出しにしたのか不思議です。今まで気楽な恋愛小説を書いていた人が、この作品に限っていきなり戦争体験や戦争観の書き込みをするなんて、きっと賞狙いの小賢しい手口なんだわ、などと卑しい感想を抱いたのでした。 違う違う、逆でしょう。この無防備な愚鈍な感受性の蔓延る能天気なお気楽小説がまかり通る作今に、村山由佳は自分の読者に対しても読書イメージを裏切る行為をした勇気ある賞賛されるべきことだったのです。 ・・・・・
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