火の鳥(朝日新聞出版)(6) の商品レビュー
シリーズを読んでいるのを再開した。この望郷編はめずらしく火の鳥自身が語り手となっていた。ストーリーは1つの文明論のような感じだった。こうしてみると手塚さ作品の扱うテーマの広さが実に多種にわたることがわかる。
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昔読んでいたことがある火の鳥を再読。この望郷編は初めて読んだ気がするが、火の鳥のなせる技はある意味で意地悪く、絶対的なものに対する畏敬と恐れ、そこで生き抜こうとする人間と知恵と愛。人間の大事なものをうまく描いて見せている。
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手塚治虫『火の鳥』は日本の文化史上に輝く名作だということは否定できません。 しかしそうだからと言って、誰にでも薦められるというわけではないのではないでしょうか。 もし私が心身共に弱って気晴らしにマンガでも読もうと思ってうっかり『火の鳥』を選んでしまったら大変なことになりそう。...
手塚治虫『火の鳥』は日本の文化史上に輝く名作だということは否定できません。 しかしそうだからと言って、誰にでも薦められるというわけではないのではないでしょうか。 もし私が心身共に弱って気晴らしにマンガでも読もうと思ってうっかり『火の鳥』を選んでしまったら大変なことになりそう。 『火の鳥』は読んで面白く元気が出る、という単純な作品ではありません。打ちのめされて読んだ後に何かが澱のように残るというような考えさせる作品です。 その中でも特に「望郷編」はその傾向が強いのではないでしょうか。パゾリーニの『ソドムの市』のような非常に気分が悪く後味が悪い作品です。 ストーリーは、荒涼とした辺鄙な惑星に移住した二人が創造者となって子孫を増やしていき、ひと時繁栄し、色々あって結局は滅んで元通りになってしまったという、寓意的というか思想的・文学的に深い意味がありそうなストーリーです。 しかし後味が良いというタイプの物語ではありません。 特に、短期間で読んでしまうと衝撃が強すぎます。衝撃を和らげるためには少しづつ読んでいくことです。 繁栄していたエデン17の星も、悪徳商人ズダーバンがもたらした悪徳のせいであっという間に滅んでしまいます。 (星新一のショートショートにこんな内容のものがなかったでしょうか?) この展開はかなり普遍的なもので、読む人々に警告をもたらしています。 (70年間繁栄してきた日本の戦後民主主義も安倍晋三や悪徳商人・竹中平蔵やそれらにつながる諸々の悪人どもによってあっという間に崩壊しようとしています。エデン17の寓話そっくりです。) 物語そのものが鬱展開であるし、倫理的にも問題ありそうだし、どうもこの「望郷編」は誰にでも薦められるというものではないように思います。心身ともに健康な状態の時に気合を入れて少しづつ読むことをお勧めします。 現在「火の鳥 大地編」を描かれている桜庭一樹さんは、中学生時代に「火の鳥」を読まれたそうです。 ネット上を見ると、中学時代や小学生時代に「火の鳥」に熱中した、と書かれている方々が結構おられます。 私の場合、小中時代にしろ高校時代にしろ「火の鳥」に巡り合わなくて正解でした。もし読んでいたら手塚治虫を嫌悪していただろうと思います。 私の場合、中学入学前に『W3』を読み、その後古本屋で購入した『ロストワールド』『太平洋Xポイント』等の初期短編群に親しんでいました。それで正解だったと思います。 しかしネットで検索すると、この「望郷編」は人気が高いらしく、私のように否定的な感想を書かれている方は滅多におられません。 人間の考え方は百人百様で多様性があるということです。 文化や芸術作品の正しい鑑賞法とは、相手の考え方を頭ごなしに否定せず、お互いの感性を認め合い、お互いの感性を広めていくことでしょう。 ということで、私も「火の鳥」を否定する意図はなく、思う所を正直に書かせて頂きました。 https://diletanto.hateblo.jp/entry/2019/05/22/064124
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途中まで読んで中断してしまったのを、20年ぶりにイチから読み返している本シリーズ。 ついに、未読の作品に辿り着いた(笑)。 さて、またもや壮大なストーリーですこと。 ただ、人類の儚さ、命の儚さ、生命の誕生と滅亡との物語を、こう短期間に続けて読み進めてくると……いささか食傷気...
途中まで読んで中断してしまったのを、20年ぶりにイチから読み返している本シリーズ。 ついに、未読の作品に辿り着いた(笑)。 さて、またもや壮大なストーリーですこと。 ただ、人類の儚さ、命の儚さ、生命の誕生と滅亡との物語を、こう短期間に続けて読み進めてくると……いささか食傷気味に・・・。 ※面白いけど。感動するけど。得るものが必ずあるけど。。。。疲れる。読むのにエネルギーを要する作品だ。 ★3つ、7ポイント半。 2016.10.31.借。
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角川版は大幅カットらしいので朝日ソノラマ版で読了。 1976年~78年マンガ少年連載。 間に二作品の未完を挟んで、ほぼ5年ぶりの続編。 これまで以上に他作品とのリンクが多く楽しい。 日本の神話や西洋の宗教感がそれとなく配置された創世記。 こういう壮大な話を400ページやそこら...
角川版は大幅カットらしいので朝日ソノラマ版で読了。 1976年~78年マンガ少年連載。 間に二作品の未完を挟んで、ほぼ5年ぶりの続編。 これまで以上に他作品とのリンクが多く楽しい。 日本の神話や西洋の宗教感がそれとなく配置された創世記。 こういう壮大な話を400ページやそこらで完結させてしまうあたりが凄い。 実験的なコマ割りやギャグ表現も控えめで、読み易いのが好き。
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僕が初めて読んだ手塚治虫作品は、『火の鳥 異形編』でした。当時小学校低学年だった僕にとっては、『火の鳥』は怖い作品、そして大人の漫画として印象づけられ、その後、そのスケールの大きさに圧倒されながらも読み漁ったものです。 日本人はなぜこんなに漫画が好きなのか、外国人の目には異様...
僕が初めて読んだ手塚治虫作品は、『火の鳥 異形編』でした。当時小学校低学年だった僕にとっては、『火の鳥』は怖い作品、そして大人の漫画として印象づけられ、その後、そのスケールの大きさに圧倒されながらも読み漁ったものです。 日本人はなぜこんなに漫画が好きなのか、外国人の目には異様にうつるらしい。なぜ外国の人はこれまで漫画を読まずにいたのだろうか。答えの一つは、彼らの国に手塚治虫がいなかったからだ。 1989年2月10日、手塚治虫が亡くなった翌日の朝日新聞・天声人語のこの一節を、彼のライフワークであった『火の鳥』を読み返すたびに思い出します。
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