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来るべき思想史 情報/モナド/人文知 の商品レビュー

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2018/02/28

現代フランスの哲学者であるピエール・レヴィの情報論を中心的にとりあげ、ライプニッツやミシェル・セール、西田幾多郎、パース、小林秀雄、ヴァレリーらの思想を参照しながら、その意義を明らかにする試みです。 レヴィは、セールとともにドゥルーズの哲学からも大きな影響を受けており、従来の哲...

現代フランスの哲学者であるピエール・レヴィの情報論を中心的にとりあげ、ライプニッツやミシェル・セール、西田幾多郎、パース、小林秀雄、ヴァレリーらの思想を参照しながら、その意義を明らかにする試みです。 レヴィは、セールとともにドゥルーズの哲学からも大きな影響を受けており、従来の哲学における「可能的」「現実的」の対概念に基づく全体性の限界を乗り越えるものとして、「ヴァーチャル」「アクチュアル」の対概念を掲げます。レヴィの主張する「ヴァーチャル化」とは、問題の背後にひそむ全体性をめざすことではなく、反対にすでに現われている解決から新たな課題や問題を掘り起こすことで、さまざまな情報が配置を変えながらリンクしあうことを意味しています。 しかしながらドゥルーズのばあい、ヘーゲル的な全体化を克服するために性急に「潜在性」への期待を語るあまり、「アクチュアル性」の意義が十分にとらえられていないきらいがあると著者は指摘します。そして、デカルトやスピノザとライプニッツの立場を対照しながら、セールのライプニッツ解釈にならってモナドを質料的な「媒体」(medium)として把握することで、「ヴァーチャル」と「アクチュアル」の相互運動の可能性を描き出しています。 さらに、小林秀雄やヴァレリーらの思索を手がかりに、「想像的なもの」(imaginaire)の次元においてこうした創発的な運動が成立する可能性をさぐろうとしています。

Posted byブクログ