七夕しぐれ の商品レビュー
小学生の少年が転校先で得た友人達二人とともに、根深く残る差別、いじめ、大人の押し付けに抗いながら成長する一夏の物語。 昭和40年代のややノスタルジックな雰囲気と、当時の少年達の純粋な心に触れることの出来る作品。 子供だからこそ感じる理不尽さや無力感。それでも立ち向かおうとする力強...
小学生の少年が転校先で得た友人達二人とともに、根深く残る差別、いじめ、大人の押し付けに抗いながら成長する一夏の物語。 昭和40年代のややノスタルジックな雰囲気と、当時の少年達の純粋な心に触れることの出来る作品。 子供だからこそ感じる理不尽さや無力感。それでも立ち向かおうとする力強さがまぶしい。 読んだ後にもの寂しさと温かさを感じさせ、思わず自分の事を振り返ってしまう小説でした。
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同和問題を扱った作品です。とは言うものの、主題はむしろ少年の成長の物語でしょう。 良い話です。いじめがあり、友情があり、淡い恋があり、生き生きした中にどこか照れくささや懐かしさもあります。安子ねえ、沼倉のおんちゃんと言った脇役も個性が際立っているし、主人公の3人の少年少女も見事に...
同和問題を扱った作品です。とは言うものの、主題はむしろ少年の成長の物語でしょう。 良い話です。いじめがあり、友情があり、淡い恋があり、生き生きした中にどこか照れくささや懐かしさもあります。安子ねえ、沼倉のおんちゃんと言った脇役も個性が際立っているし、主人公の3人の少年少女も見事に描かれています。そして、彼らが最後に起こす行動は痛快で、どこか寂しい終わり方にも好感が持てます。 それにしても、熊谷さんはえらく幅が広がっていますね。デビュー当時は東北と動物の作家さんだと思っていましたが、時代物を書いたり怪奇物を書いたり、こうした少年物を書いたり。あまりに幅を広げ過ぎていなければ良いのですが。
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少年の日の思い出的な作品かと思って読み始めたら、そんな単純な話ではなかった。部落差別の町に引っ越してきた少年が、差別に巻き込まれ・・・という話。差別やいじめ、先生の無関心など、重いテーマで、考えさせられた。部落差別の存在は知っていて、差別が今現在もあることも頭ではわかっているけれ...
少年の日の思い出的な作品かと思って読み始めたら、そんな単純な話ではなかった。部落差別の町に引っ越してきた少年が、差別に巻き込まれ・・・という話。差別やいじめ、先生の無関心など、重いテーマで、考えさせられた。部落差別の存在は知っていて、差別が今現在もあることも頭ではわかっているけれど、実際に差別に遭遇したことのない私に何か言う権利なんかないのかもしれない。けど、子供らしく、差別は正しいことじゃないと言い切る主人公達を応援したいと思う気持ちは間違ってないと思う。差別をする側には回りたくないし、自分の子供にもそう教育するつもり。でも、そんな簡単なことじゃないんだろうな・・・
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