ドラママチ の商品レビュー
この短編集の主人公たちはこわい。 ホラーでもなんでもないんだけど、彼女たちのドロっと停滞した思いというか…そういうものがこわいなぁって。 生活して行くって能動的な側面ばかりじゃなくて、みんな何かしらのマチ時間を過ごしているのかな。 劇的なドラマなんて起きないのにキラキラした何かを...
この短編集の主人公たちはこわい。 ホラーでもなんでもないんだけど、彼女たちのドロっと停滞した思いというか…そういうものがこわいなぁって。 生活して行くって能動的な側面ばかりじゃなくて、みんな何かしらのマチ時間を過ごしているのかな。 劇的なドラマなんて起きないのにキラキラした何かを期待してしまうのかな、表題作の「ドラママチ」が今の私にしっくりきた。
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2016年47冊目 「コドモマチ」「ヤルキマチ」「ワタシマチ」「ツウカマチ」「ゴールマチ」「ドラママチ」「ワカレマチ」「ショウカマチ」の8つの物語の短編集 それぞれ、「マチ」とつくが、中央線沿線の中野から吉祥寺くらいが舞台。 登場人物は35歳から40歳くらいの女性 どの女性もこれ...
2016年47冊目 「コドモマチ」「ヤルキマチ」「ワタシマチ」「ツウカマチ」「ゴールマチ」「ドラママチ」「ワカレマチ」「ショウカマチ」の8つの物語の短編集 それぞれ、「マチ」とつくが、中央線沿線の中野から吉祥寺くらいが舞台。 登場人物は35歳から40歳くらいの女性 どの女性もこれまでの自分と今の自分との差に心が付いていっていない感じの物語。 ちょっとせつないかな。 著者の角田光代さんがそんな女性達の心情を表現する力量が見事です。
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最初、街の物語かと思った。 架空の街だけど、人物や出来事になにか象徴的な意味を与えるような。 いわば隠れた主役が街というか。 ところが、短編集の一作目、冒頭で、違っていたと気づいた。 「待ち」の物語だったのか! 夫に浮気され、その浮気相手を尾行せずにはいられない女性。 不倫の関...
最初、街の物語かと思った。 架空の街だけど、人物や出来事になにか象徴的な意味を与えるような。 いわば隠れた主役が街というか。 ところが、短編集の一作目、冒頭で、違っていたと気づいた。 「待ち」の物語だったのか! 夫に浮気され、その浮気相手を尾行せずにはいられない女性。 不倫の関係で、相手が関係を清算しないのでいつまでも結婚できず、ただ意地悪になっていく女性。 昔の栄光を忘れられず、自分はこれで終わるはずじゃない、と思い続けるくすぶっているモデル。 姑にいびり続けられ、認知症になった姑を施設に送り出して複雑な感慨を持つ兼業主婦。 最初はいろんな境遇の女性の鬱屈をよく取り上げるものだなあ、と思っていた。 でも、だんだん読み進めていくと、話の内容が混乱してくる。 どれも都会の(というか、都内中央線沿線の街の)、アラフォー女性の話。 手触りというか、生活のディテールがおんなじなのだ。 だから、きっと女たちの境遇が違うにもかかわらず、似通った印象になるのだろう。 さすがに今時、ただ受動的に「待つ女」の物語でもない。 職を持ち、それなりに自立しているのだけれど、今の女性たちだからこその閉塞感を掬い取ろうとしている、のかな?
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高円寺、荻窪、吉祥寺、東京・中央線沿線の街を舞台に、ほんの少しの変化を待ち望む女たちの姿を描く短編集。 待つ女たちのジレンマがなんとも歯がゆい。現代の女性は、どの分野でも積極的だ。なぜ一歩を踏み出せないのか、待つことに美学があるのか。角田作品には珍しく、共感できない女性たちばかり...
高円寺、荻窪、吉祥寺、東京・中央線沿線の街を舞台に、ほんの少しの変化を待ち望む女たちの姿を描く短編集。 待つ女たちのジレンマがなんとも歯がゆい。現代の女性は、どの分野でも積極的だ。なぜ一歩を踏み出せないのか、待つことに美学があるのか。角田作品には珍しく、共感できない女性たちばかりだった。
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どのお話も現状に満足していない人々達をうつうつと書いている。それがまたリアル。きっと世の中こういう人で溢れているはず。この曇ったような雰囲気が好きです。 どうでもいいけどメニューをメニュウと書いてあるのがどこか可愛いく丁寧な感じで気に入った。 ゴールマチがどうなったのか気になって...
どのお話も現状に満足していない人々達をうつうつと書いている。それがまたリアル。きっと世の中こういう人で溢れているはず。この曇ったような雰囲気が好きです。 どうでもいいけどメニューをメニュウと書いてあるのがどこか可愛いく丁寧な感じで気に入った。 ゴールマチがどうなったのか気になってしょうがない。
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何かを待つことをテーマにした八つの物語。 待つことをテーマにしていると分かっていても 女性は人生の節目などにいつも待っているのだなと思ってしまいました。 いくら行動的に活発に動いている人でも 男性にまつまるものだと自然と待ってしまうものかと。 中央線沿線の街を舞台にしているの...
何かを待つことをテーマにした八つの物語。 待つことをテーマにしていると分かっていても 女性は人生の節目などにいつも待っているのだなと思ってしまいました。 いくら行動的に活発に動いている人でも 男性にまつまるものだと自然と待ってしまうものかと。 中央線沿線の街を舞台にしているので、 どの作品にも喫茶店が出てきて それがまた良い雰囲気を醸し出しているので 人生の待つ場所には喫茶店は良い場所なのかなと思いました。 そんな行きつけの喫茶店があるというのも 少し大人のような気分で羨ましいです。 印象に残った作品「ドラママチ」、「ワカレマチ」。 「ドラママチ」の 彼女のようになんとなく毎日がマンネリ化していても、 その中に何かドラマを待ってしまうそんな気持ちが共感できます。 こうゆう気持ちになるというのは元来女性というのは お姫様になりたい願望があるのかと思ってしまいますが、 きっとそうやって強く生きていく方法なのだなと思えました。 「ワカレマチ」は冒頭から憎しみから始まり他の作品にはなかった 母と子の関係がリアルに描かれていて、 代表作でもある「対岸の彼女」、「八日間の蝉」、 「森に眠る魚」を彷彿させるようなものがあります。 実の母を知らず、義母は実の子達からも毛嫌いされているような 環境の中にいる女性が母になるというのはやはり 相当の決心が必要なのかと思わされました。 けれどラストの言葉にはどこか哲学的だけれど 人の流れをじっくりと見てきたからこその言葉であって、 とても希望も持てる言葉だと思いました。 子供を作るということは、 不要な別れをひとつ作り出すようなことに思えた。 それでもいいような気がした。 その子どもが成長して大人になったいつか、 ともに入った喫茶店の光景を一瞬でも思い出してくれるなら、 それもいいような気がした。 女性の大切な人生の節目に合わせてリアルに描かれているので、 共感できるところが多く読みやすいかと思います。 はっきりとした答えは出していないですが、 誰もが同じような悩みを抱えても 必ず希望の光が見えてくるという前触れが表れているので また少し前を向いて歩いてみようかという気にさせられました。 待つことがテーマの作品ですが、 女性が待つことが多いのは巡り合う男性によって変わるのかとも 思わされます。 やはり環境と男性によって女性の幸せは変わるのでしょうか? これは永遠のテーマなのかもしれないかとふと思いました。
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8編のうち前半4編はゴールの見えないような感じの終わりかたですっきりしなかったが、後半4編は希望のある終わりかたで良かった。みんな自分が何を欲しているのか自身でもわかっていなくて、流されるように生きているように感じてイライラしたりもどかしかったり。『ドラママチ』が一番共感できた。
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中央線沿線の街が舞台になっている短編集で、主人公はみんな「待つ女」。 全体的に視点が醒めていて、特に前半の3編くらいまで閉塞感や主人公の歪んでいる性格が苦手で、面白くないなあという印象を持ってしまったので、最後まであまり嵌れなかった。
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待つことと与えられることは同義だと信じこんでいる、おろかなおさない私。「ヤルキマチ」 そういう暮らしをその空間で、もう幾度も幾度もうんざりするくらいくりかえしてきたような、そんな錯覚。目の前の男と暮らすというのは、焦がれて待つ未来ではなくて、とうに手に入れた過去であるような錯覚...
待つことと与えられることは同義だと信じこんでいる、おろかなおさない私。「ヤルキマチ」 そういう暮らしをその空間で、もう幾度も幾度もうんざりするくらいくりかえしてきたような、そんな錯覚。目の前の男と暮らすというのは、焦がれて待つ未来ではなくて、とうに手に入れた過去であるような錯覚だった。「ヤルキマチ」
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うーん、角田さんは長編のほうが好きだな。 マチ=待ち というオムニバス ゴールマチ、ドラママチの二編は良かった。 相変わらず、女の薄暗い部分を描くのが巧い。
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