幸せを科学する の商品レビュー
ポジティブ心理学と文化心理学の見地から、欧米とアジアの幸福感の違いについて解説した書籍 【こんな人におすすめ】 文化心理学に興味がある人
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幸せの認知に関する心理学の研究を非常に分かりやすく、まとめている。 適切な幸福度はあるかという研究で、あまり幸福すぎても社会的成功しないという結果。 →幸福観は「人類」のダーウィズム的な意味での適応のための手段(痛みや快楽と同種)か、「個人」の人生の目的かという問いを本書を読ん...
幸せの認知に関する心理学の研究を非常に分かりやすく、まとめている。 適切な幸福度はあるかという研究で、あまり幸福すぎても社会的成功しないという結果。 →幸福観は「人類」のダーウィズム的な意味での適応のための手段(痛みや快楽と同種)か、「個人」の人生の目的かという問いを本書を読んで感じた。人類が成長するのに不幸は必要だろう、ただ、世に投げ出されて不幸を強いられる個人の理不尽をどう受け止めればよいかという問いを感じた。 ・幸せを測る方法について事例や評価。 →生理的指標なども取り組みあるが、やはりアンケートが主 ・幸せの感じ方には、文化的な違いがかなりある →欧米と東洋 ・幸せ観を高めるための介入方法の研究 ・幸せの感じ方は遺伝的要因がかなりある →身長を上げるのと同じともいわれるが、やや語弊がある。幸せの感じ方については、遺伝的要因で、ある程度幅が決まっていると考えるのがよい。「個人間の差」の遺伝的要因が80%。 少し古い本なので、新しい類書があればぜひ読みたい。
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人生に対する満足度=ウェルビーイング。 ハッピー=喜び。 挫折を経験している方が、老年期に英知を備えることができる。理想の人生とは、悲しみや苦しみを味わい、それを乗り切ってきた人。 韓国人は一生で体験できる幸福感には限りがある、と考えている人が多い。 幸せな体験を満喫しようとし...
人生に対する満足度=ウェルビーイング。 ハッピー=喜び。 挫折を経験している方が、老年期に英知を備えることができる。理想の人生とは、悲しみや苦しみを味わい、それを乗り切ってきた人。 韓国人は一生で体験できる幸福感には限りがある、と考えている人が多い。 幸せな体験を満喫しようとしない所以。 全員が経験できる幸福感には限度がある、という考え方もある。他人の幸福を喜べない。 東洋的な運の概念と幸福感が深くつながっている。 ロシアでは、幸せとは子供が感じるもの、幸せは一時的な現象、と考えやすい。幸せとは、無垢ではかないもの。社会の構造を知れば単純に幸せには浸れない。 アメリカとの違い=社会の報酬システムの違い。 人は過去の記憶を振り返るとき、すべてを思い出しはしない。自分が幸せな人間だと思っていると幸せな事象を思い出す。 回顧的判断は、自分の信念をベースにすることが多いため、文化的な差が出る。 終わり良ければ総て良し。最後の印象が一番強く残ろう。 結婚の幸福度は、性格の類似性よりも趣味の一致のほうが関係が高い。 うつ病の治療薬のセロトニンの選択的再吸収防止剤が使われる。憂鬱な気分が晴れる。 エクスタシーという麻薬は、平氏のトラウマを抑えるために使われ始めた。 どちらも、以上に高いセロトニンがシナプスに存在することから幸福感を感じられる。 繰り返し利用で、セロトニンレセプターに障害が起き、通常量のセロトニンでは幸福感を感じられなくなる。 ポジティブな文章を自伝に使っていた修道女は、長生きだった。 日本人や韓国人は、向上心が強い分、他人にも厳しい。 国の経済力、人権の保護、は幸福感と相関が高い。 個人主義も相関が高い。 実力がきちんと評価されるシステムがあるほうが幸福感が高い。個人の自由で明るい未来を想定しやすいから。
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幸福感に関する心理学からの実証的な研究。幸福感の測定から、経済状態/運/結婚/友人関係/性格と幸福感との相関、幸福感を高める介入の方法、最適な幸福度、幸福感の高い国・コミュニティについて書かれている。 データも豊富だし、この種の領域に関心ある方は必読。
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幸福とはなんだろう。 幸せの定義が文化や考え方、個人によって違うこと、幸福感についての様々な視点と試みが書かれている本。 個人的には前半のアメリカ的ウェルビーイングと、孔子、仏教の考え方とかが面白かった。 個人の幸せと社会の幸せが調和していて、社交的とか独立的というよりは愛され...
幸福とはなんだろう。 幸せの定義が文化や考え方、個人によって違うこと、幸福感についての様々な視点と試みが書かれている本。 個人的には前半のアメリカ的ウェルビーイングと、孔子、仏教の考え方とかが面白かった。 個人の幸せと社会の幸せが調和していて、社交的とか独立的というよりは愛されている尊敬されているが素敵とされやすい日本。背景にある儒教と仏教、そしてアメリカ的考え方が少し混ざる部分と。 幸せを科学するって面白いな! 自分なりに追い求めていきたいな。
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心理学の視点から「幸福」を俯瞰したもので、論理構成がわかりやすい良書でした。 ただし、アメリカ人の価値観を大きく転換させたトマス・ジェファーソンの「幸福の追求」というスローガンのように、日本人の価値観をダイナミックに変えるような内容ではなく、今我々が何に幸福を感じているかを詳細に...
心理学の視点から「幸福」を俯瞰したもので、論理構成がわかりやすい良書でした。 ただし、アメリカ人の価値観を大きく転換させたトマス・ジェファーソンの「幸福の追求」というスローガンのように、日本人の価値観をダイナミックに変えるような内容ではなく、今我々が何に幸福を感じているかを詳細に検証するといったスタンスです。 中に面白い実験・調査が紹介されていましたので、その結果をいくつか記します。 ・年収が900万円を超えると幸福度は上昇しづらくなる ・宝くじに当たってもあまり幸せにならない ・物より体験型消費の方が満足度が高い ・幸福のおよそ80%は遺伝で決まる ・おおよその不幸は時間が解決してくれる ・性格ではなく価値観の類似性により、結婚生活の満足度が決まる ・結婚後満足度は上昇するが、およそ一年で結婚前と同じレベルに低下する ・感謝すること、満喫することで幸福度が高まる 注: 本書では、「自分の人生の満足度」が幸福(well being)の指標として有力だととなえています。
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心理学の立場から、幸せをどう測るのか?どのような自己評価過程か?を紹介したり、日米の文化間比較、また、経済・運・結婚・友人関係・性格などと幸福感の関係が章分けされて載せられている。どのトピックも先行研究や著者自身の論文をレビューしながら組み立てられている。幸せについて新たな視点を...
心理学の立場から、幸せをどう測るのか?どのような自己評価過程か?を紹介したり、日米の文化間比較、また、経済・運・結婚・友人関係・性格などと幸福感の関係が章分けされて載せられている。どのトピックも先行研究や著者自身の論文をレビューしながら組み立てられている。幸せについて新たな視点をくれる本だと思います。
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書名を一見するとどこぞの宗教団体が連想されてしまうのだが、 実際には、心理学の観点から見た幸福感研究の紹介本。 一般書と専門書の間のテイスト、という印象。 本書において非常に評価できるのは、主張の裏づけとなる引用がきちんとあって、 巻末に出典もまとめられている点にある。...
書名を一見するとどこぞの宗教団体が連想されてしまうのだが、 実際には、心理学の観点から見た幸福感研究の紹介本。 一般書と専門書の間のテイスト、という印象。 本書において非常に評価できるのは、主張の裏づけとなる引用がきちんとあって、 巻末に出典もまとめられている点にある。 主として海外の学術誌からの引用なので、門外漢には敷居が高すぎるが、 研究の文脈での素養があるならば、これほど頼れるものは無い。 多くの一般書はココをさぼっていて、引用しづらいことになるので、この本には好感。 上記の点とも絡むのだが、著者の解釈については、注意が必要な点が多い。 主観的幸福感という題材を扱っている都合上、要因として考慮したものが、 本当に構成概念として妥当だったのかというのはなかなか難しい。 また、相関なのか因果なのか、というのも用心して読む必要があるだろう。 つまるところ、「気になったら原典にあたる」ことが可能であれば、 この本は非常に有用な「幸福感研究のカタログ」であるし、 この本のみから何がしか有用な知見を得たいとなれば、辛いかもしれない。 社会心理学は「単なる現象の説明じゃね?」(=当たり前のことを言っているだけ)、 という突っ込みを貰いがちな領域だが、心理学的な幸福感研究を中心としつつも、 最後の章ではコミュニティ/社会の在り方に言及していることもあり、 こうした研究がどのように他の領域と連携したり、実践へと繋がっていくのか、 非常に興味が持てた。 この手の研究をしている人であればオススメの一冊。 軽く読みたい人に対してはあまりオススメできんかも。
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「幸せ」についての学術研究を一般社会に還元してくれている好著。著者はアメリカで心理学を研究する日本人なだけに、アメリカと日本の違いを意識した記述が嬉しい。この分野は現在、急速に発展しているそうだ。幸福研究の基礎文献(文献リストも充実している)である。 以下、気になった記述。 ・...
「幸せ」についての学術研究を一般社会に還元してくれている好著。著者はアメリカで心理学を研究する日本人なだけに、アメリカと日本の違いを意識した記述が嬉しい。この分野は現在、急速に発展しているそうだ。幸福研究の基礎文献(文献リストも充実している)である。 以下、気になった記述。 ・励まし:日本はみんなが出来るんだから。アメリカは君は特別だから。 ・アメリカ人の「順路」表示への違和感。 ・インド女性の幸福かどうかは夫に聞いてくれ。 ・回顧的判断に際して、自尊心の高い人は肯定的感情を誇張し、神経症的な人はそれを過小評価する。 ・人生の満足度スケール(ちなみに私は29点) ・ある一定の基準を満たしていれば、お金と幸福感に相関はない。 ・家の所有で自尊心の向上は見られない。幸福度はあがるが。 ・物質的消費よりも経験的消費の方が幸福感への良い投資になる。 ・社交性と神経症的傾向は人生の運(の感じ方)を左右する。 ・ライフイベントの幸福感への影響は3ヶ月。 ・結婚生活の満足度と幸福感の相関は0.51。健康が0.35,仕事が0.44なのにくらべて高い。 ・友人と幸福感では、一人と深く付き合うのも、多数と浅く付き合うのも相関はない。つまり、同じ。ただし、就職などでは浅く広くがつよい。 ・性格と幸福感では、社交性、神経症的傾向の相関が高く、次いで、同調性(共感性)、善良さの相関もあるが、開放性は相関がない。 ・抽象的でおおざっぱな方が幸福感が高い。 ・適度でオーケーの方が、最大効果の追求派より幸福感が高い。 ・カリフォルニアと中西部では幸福感に差はない。「焦点を絞ることの錯覚」がおきがち。 ・感謝介入法、満喫すること、最高の自分を想像し作文するなどに効果が。 ・幸せな気分は他人への気配りと正の相関がある。幸せな人の方が人間関係が親密。幸せな人の方が働き者。幸せと政治的無関心は相関がない。幸せな人は長生き。 ・学歴と幸せの相関は微妙。 ・世界価値調査 ・人権の保護と幸福感も国別に見ると正の相関(0.48)。
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「幸福こそが最終目標」アリストテレス 「生涯絶え間ない幸せ?誰一人としてそんなことに耐えられるものはいないであろう。そんなものは,地獄でしかないのだから」バーナード=ショー 「幸せとは,愛することである。 愛することは,苦しむことである。 したがって、幸せとは,苦しむことである。...
「幸福こそが最終目標」アリストテレス 「生涯絶え間ない幸せ?誰一人としてそんなことに耐えられるものはいないであろう。そんなものは,地獄でしかないのだから」バーナード=ショー 「幸せとは,愛することである。 愛することは,苦しむことである。 したがって、幸せとは,苦しむことである。 しかし,苦しみは人を不幸せにする。 結局,幸せであるためには,人は愛さなければならない。 つまり,苦しいほど愛するか,または過剰な幸せから苦しまなければならないのである」ウディ=アレン 幸福に関する心理学の知見のまとめみたいな本。 小話集。 小話はもちろん,引用も考えさせられた。 【幸福の感じ方の文化依存性】 毎日記録した幸福度合いと、一週間を総括しての幸福度合いを比べると,ラテン系アメリカ人は後者の方が大きかったのに対し,アジア系アメリカ人はさして変わらなかったらしい。幸福であるのがよいとされているか、あまり幸福なのに対して後ろめたさを感じるかの違いか。 韓国には,人生のうちで味わえる幸福感の総量は決まっているという考え方や,社会全体で構成員が味わえる幸福感の総量は決まっているという考え方があるらしい。少なくとも前者の考え方は日本にもある気がする。せっかく楽しくてもあまり楽しめなくなる考え方だよなぁ。後者に関して言えば,Steel Ball Runで大統領がそんなこといってたな。 【幸福感と正の相関関係にあるもの】 感謝の気持ち お金(ある程度は) 夫婦関係 友人関係 細部より全体を見る傾向 他人に対する信頼 【幸福感と負の相関関係にあるもの】 腐敗指数(政治など) 【幸せは役に立つのか】 幸せな人の方が, 他人への気配りできる 働き者 健康 である傾向が強いらしい 仕事面ではハングリーに,対人関係では現状に満足するのがよろしいらしい。
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