泣ける太宰 笑える太宰 の商品レビュー
心中未遂、愛人との心中、愛人との間の子供の認知(修治の治から治子)、盗作の疑い、芥川賞へのこだわり・・・、自意識の権化とも思われる太宰治、そして今もなお桜桃忌では沢山のファンが墓前に集う。不思議な魅力の作家だと思います。井上靖は「もし文学者のオリンピックがあったら、日本代表は夏目...
心中未遂、愛人との心中、愛人との間の子供の認知(修治の治から治子)、盗作の疑い、芥川賞へのこだわり・・・、自意識の権化とも思われる太宰治、そして今もなお桜桃忌では沢山のファンが墓前に集う。不思議な魅力の作家だと思います。井上靖は「もし文学者のオリンピックがあったら、日本代表は夏目漱石、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫ではなく、少し小さいかも知れないが、やはり太宰治以外にはいない」と言ったとか。「太宰治アンソロジー」、2009.5発行です。自分の死後について書き、死後に出版された「家庭の幸福」笑えないですね
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草の香も新鮮で、朝露が足を濡らして冷や冷やして、心が豁然と開け、思わず一人で笑い出したくなる。そんな別天地の浴場。老爺は体が黒く固まっていて、顔もくしゃくしゃ縮小して奇怪。老婆の方も小さく痩せていて胸が鎧扉のようにでこぼこしている。黄色い肌で乳房が萎んだ茶袋を思わせ哀れを誘う。老...
草の香も新鮮で、朝露が足を濡らして冷や冷やして、心が豁然と開け、思わず一人で笑い出したくなる。そんな別天地の浴場。老爺は体が黒く固まっていて、顔もくしゃくしゃ縮小して奇怪。老婆の方も小さく痩せていて胸が鎧扉のようにでこぼこしている。黄色い肌で乳房が萎んだ茶袋を思わせ哀れを誘う。老夫婦とも人間の感じがない。きょろきょろして穴にこもった狸のようである。孫娘が間にひっそりしゃがんでいる。汚い貝殻に付着し、そのどす黒い貝殻に守られている一粒の真珠である。ものを横目で見ることのできないたちなので、まっすぐに眺めた。・・・・・・ 弱けれど温かき若き人々の味方であり続けた太宰、珠玉の18編。愉快すぎて、はしゃぎすぎて心も体もへどもどになった。
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