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ポケットの中のレワニワ(上) の商品レビュー

3.5

9件のお客様レビュー

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2011/11/25

いくつかのサイトで『1Q84』と似ていると紹介されています。じっさい読んでみて「なるほど」と思いましたが、どこが似ているかというと・・・物語の設定や展開とかではなく、作風というか手触りが似ている気がします。 4つ星にしたのは、伊井さんの作品(たとえば『さして重要でない一日』)は...

いくつかのサイトで『1Q84』と似ていると紹介されています。じっさい読んでみて「なるほど」と思いましたが、どこが似ているかというと・・・物語の設定や展開とかではなく、作風というか手触りが似ている気がします。 4つ星にしたのは、伊井さんの作品(たとえば『さして重要でない一日』)は、いつも何かが欠けている感じがしてるから。でも、その欠落感が決して不快ではなく、いい感じなのです。

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2011/07/16

主な登場人物が、フリーターだったりひきこもりの2ちゃんねらーだったりするので、おやじ小説家が(失礼!)最近の若者の世相をとりあげてみただけ、みたいに聞こえるかもしれませんが、どうしてどうして。タイトルにもなっている謎の生物「レワニワ」が意外な大活躍を見せて、筋立てはごくシンプルな...

主な登場人物が、フリーターだったりひきこもりの2ちゃんねらーだったりするので、おやじ小説家が(失礼!)最近の若者の世相をとりあげてみただけ、みたいに聞こえるかもしれませんが、どうしてどうして。タイトルにもなっている謎の生物「レワニワ」が意外な大活躍を見せて、筋立てはごくシンプルな恋愛ものなのに、後半、ええっ、という展開になっていきます。アルバイトでテレオペをやってる主人公の青年が恋するのは、同じ団地で育ったベトナム難民の女の子で、今は職場の上司の女性。荒廃していく郊外の団地、移住者集団の中の権力関係。気さくな上司としょせん非正規のスタッフとの微妙な距離感。2ちゃんねるに複数のアイデンティティを使って書きこみながら、唯一の外との接点である主人公に過剰に依存してくるひきこもりの義理の弟。あまり注目されていない社会の片隅の現実をとてもリアルに描写しながら、いつのまにかするりとファンタジーがすべりこんでくるのが井伊風味。最後は甘いと感じる人もいるでしょうが、私は大好きな小説です。

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2010/06/28

現代を書いているさくひん。 ネット慣れしてないひとには、 主人公の義理の弟は理解できない人間にうつるんだろな。 レワニワは嘘なのか真実なのか。 下巻へつづく。

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2010/06/21

「グエン・ティ・アン」というカタカナが、頭の中で「Nguyen Thi Anh」という綴りに自動的に変換される。ああ、まただ。ベトナムが追いかけてくる。デニス・ジョンソンのみっちりした長編から逃げてきたところなのに。最近手にする本には不思議とベトナムが溢れている。 もちろんそれ...

「グエン・ティ・アン」というカタカナが、頭の中で「Nguyen Thi Anh」という綴りに自動的に変換される。ああ、まただ。ベトナムが追いかけてくる。デニス・ジョンソンのみっちりした長編から逃げてきたところなのに。最近手にする本には不思議とベトナムが溢れている。 もちろんそれは、受け止める側である自分自身の中に符丁に適合する抗体がいつの間にか出来上がってしまっているからでもあるとは思う。サイゴン川近くの日本系のホテルの名前も解ってしまうし、食事の場面でのテーブルの位置からの見通した絵も浮かんでしまう。ホテルの裏側と表現されている通りの薄暗さも、薄赤いネオンサインも、フエ料理のお店の名前も固有名詞として頭の中で無意識のうちに変換される。そこに一つの原因はあるとは思う。しかし、ベトナム戦争を舞台とした小説であることを知った上で読み始めたデニス・ジョンソンとしばし休戦協定を結んで、不思議な音のするタイトル「ポケットの中のレワニワ」を選んだというのに、ここにまで戦線は延びていたことを知る。視界の映像がぐにゃっと歪んだような感覚を覚える。 特定の作家を追いかけることが多いので、書店の本棚の背表紙たちを眺めて、中から表題に惹かれて本を選ぶことはそれ程機会がない。だから逆に変わった表題に釣られて選んだこの本については、作家の名前は全く意識していなかった。改めて本を手にしてみてこの作家の本は以前にもタイトルに釣られて読んだことがあることも思い出す。何故かこの作家の本の背表紙には魅力を感じるようだと、確認する。それにしても「レワニワ」とはなんだろう? 頁をめくっても、タイトルから連想されるような幻想的な雰囲気は中々出てこない。むしろ極めて現実的で今日的なテーマが展開されているのを発見する。日本の中に存在する東南アジアの物語、と捉え直して読み進める。徐々にに、本を読むこの部屋の窓の下に広がる空間、そこはベトナムにあってベトナムでないような空間、と親和的な世界を読み取ってゆく。その共通する特徴は不均質ということ。 一般的には逆の概念と思われがちな均質的という言葉で表現されるものがある。均質的とは、どこを切り取ってみても平均的な値を示すという集合に対して名付けられる特徴だが、そんな集合も、個々が個別に識別できるスケールまで近寄って見てみれば、決して一色に塗りあげられている訳ではないことが解る。その視点では全てはやはり不均質なのである。しかし一端視点を引いて全体像が視野に入ってくるスケールでは物事はどこでも同じようなものであると捉えられる性質を持つものを均質的と呼ぶのである。一方で、同じ視点のスケールでも物事が平均化されないように見えるものを不均質であると呼ぶ。その不均質的という特徴が、本の中の向洋台団地と眼下のリトル東京的世界を結びつける。 しかしレワニワは、その余りベトナム的でない音の響きにも関わらず日本と交わろうとしないベトナムの中に立ち上がる。近似的イメージとしてサラマンダーの姿が頭の中で像を結ぶ(数種類のスパイスをまぶしたそれを、自分は実在のブンタウという街のあるレストランで食したことがある)。途端、急激に本の中の世界は非現実的ニュアンスを押し広げ始める。ああ、この本はやっぱり実はそういう本であったのかと、再び意識をチューニングし直す。皿を盗られた河童の話を思い出す。異形のものたちが跋扈する不思議な世界の間ににリンクができる。 と思った先から、物語はヴァーチャルな世界をもう一度裏返すようにして立体的に変化し、今度はやけに陳腐な恋愛小説風に展開する。ああ、それはつまらない。しかし詰らないと思いつつ、世の中なんて所詮は全てはそれらの組み合わせに過ぎないのかとも思う。同じ作家の「愛と癒しと殺人に欠けた小説集」というタイトルの本の中で展開する物語が、タイトルとは裏腹に其処彼処でそれらがありふれていた物語だったように。 それらは、サイゴンの一見何もかもが一緒くたになった世界の表層にも不均質に、また存在する。るつぼの中の金属同士は溶け合い混じり合うのではなく、キメラのように発芽の時をまって個々に存在を保っている。しかしその状態を保つ限り、表層の下の世界へは沈んでゆくことは叶わない。チョロンという表記が音になって読まれてもその音を発した日本人は決してその中華街の市場にはたどり着けないだろう(それどころか尋ねられた人の赤面を呼ぶだろう)、などと知ったようなことを思ったところで、自分もまたその表層にとどまって全てを見たような気になっている一人。現実を描くことはなかなかに難しい。

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2009/12/08

宮崎出身の著者で、表紙もかわいらしく、タイトルも「なんだろう?」って不思議に思って手にとってみました。 う~ん、でも表紙のかわいらしさにちょっとだまされちゃった感じ(苦笑)。中身はすごく濃い内容で、ちょっと複雑な人間関係と社会環境とが描かれてます。お勧め度は、好き嫌いがあるかもな...

宮崎出身の著者で、表紙もかわいらしく、タイトルも「なんだろう?」って不思議に思って手にとってみました。 う~ん、でも表紙のかわいらしさにちょっとだまされちゃった感じ(苦笑)。中身はすごく濃い内容で、ちょっと複雑な人間関係と社会環境とが描かれてます。お勧め度は、好き嫌いがあるかもなので★3つです。せっかく、上巻を読んだので、下巻も読んでみたいと思います♪

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2009/10/04

あらすじは一言で言うのは難しいです。 なんというか、少し幸せで、少し不幸せで、ものすごくハッピーエンドなわけではないけれど、ちょっとだけ未来に希望は持てるかも知れない、という感じ。 登場人物たちは、みんな善人でもなく悪人でもなく、生きることに一生懸命で、しかもそれぞれがトラウマや...

あらすじは一言で言うのは難しいです。 なんというか、少し幸せで、少し不幸せで、ものすごくハッピーエンドなわけではないけれど、ちょっとだけ未来に希望は持てるかも知れない、という感じ。 登場人物たちは、みんな善人でもなく悪人でもなく、生きることに一生懸命で、しかもそれぞれがトラウマや不幸な背景、頑張ってもどうしようもないことをたくさん抱えていて、少しだけ身勝手な部分もある。 人も恨むし、自分の都合で他人を傷つけてしまうし、救うこともある。 たくさん幸せにはなれないかもしれないけれど、そこには少しの幸せはあるんじゃないか? ……という印象のお話です。 うーん、やっぱり説明するのは難しい。 伊井さんの作品は、そういうのが多いのと、劇的な事件もなにもかも、結構淡々と書かれているので、好き嫌いは別れそうです。 私は、このなんともいえない微妙な不安定さが好きだったりしますが、人によっては物足りないと思うかも。

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2009/10/04

「こんな暮らしじゃ、結婚もできないし、一人で歳を食って死んでしまうしかない」 「相手がいれば、仕事は別に何でも結婚できるだろ」とヒエンは、アルコールが回ったのか、少し眠そうな笑顔で言った。これがティアンの母親の言う「ベトナム男」か、と思った。すると、ティアンの今の状態がどうなのか...

「こんな暮らしじゃ、結婚もできないし、一人で歳を食って死んでしまうしかない」 「相手がいれば、仕事は別に何でも結婚できるだろ」とヒエンは、アルコールが回ったのか、少し眠そうな笑顔で言った。これがティアンの母親の言う「ベトナム男」か、と思った。すると、ティアンの今の状態がどうなのか、急に気にかかり始めた。  いつの間にか、テーブルの上にビールの空き瓶が五本並んでいる。向かいのテーブルとこちらとを行き来していたハンの姿がない。初老の男の視線は、相変わらずこちらを向いていた。 「仕事は、廃品回収でよければ紹介する。社長、そろそろ根っからの日本人をスタッフにほしいって言ってたから、すぐ正社員になれる」 「そのうち頼むよ」 「でも、もう人に雇われるよりさ」相当に怪しくなってきた日本語でヒエンは言った。「一緒にレワニワ狩りをしよう。こっちの方が楽しいぞ、きっと」 (本文p.85)

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2010/02/03

レワニワをめぐる愛と冒険と願いの物語。 レワニワとは何か? レワニワ探検隊の行方は? そして彼はレワニワに会えたのだろうか?

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2009/10/04

登場人物の設定が マニアック!!! 派遣社員の俺 高校教師でやさしくて嘘つきでガンで死んだ父 その後連れ子がいる男性と再婚した母 その連れ子は、 引きこもりで猫語を話すパソコンおたく・・・ そして、主人公のコヒビトと名乗る。 不倫をする超エリートの妻 ベトナム人と中国人のハーフ...

登場人物の設定が マニアック!!! 派遣社員の俺 高校教師でやさしくて嘘つきでガンで死んだ父 その後連れ子がいる男性と再婚した母 その連れ子は、 引きこもりで猫語を話すパソコンおたく・・・ そして、主人公のコヒビトと名乗る。 不倫をする超エリートの妻 ベトナム人と中国人のハーフの同僚は、元 ボートピープル カンボジア人中国人の多く住む団地に住んでいる。 ねっ!すごいでしょ。 レワニワが何だろう・・・で読み始めたんだけど・・ 生きるって 壮絶なドラマなのよ感が漂ってくる本です。 これから 下巻読みます。 どうなるんだろう????

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