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野田泉光院 の商品レビュー

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2017/01/24
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江戸時代は旅の時代。伊勢神宮参詣が盛んだったことから伺えるこの事実は、同時代の紀行文が多数残されていることからも例証される。本書は同時代の紀行文のうち、山伏の野田泉光院の著作と、「奥の細道」の随伴紀行文たる「曾良旅日記」から、江戸期の社会相、特に農山村のそれを炙り出していく。◆講義録取形式に加え著者の博識の故に、話がかなりあちらこちらに飛び、かつ挙げる地名とその地誌が細かく、大半の土地勘のない地域の話しは読み進め難かった。が、見逃せない指摘が多く、良い意味で困るんだよなぁ、とクスクスしつつ読破。 ①岩手南部から関東一円にかけて、中世期には鉄の文化圏が存在した。②高野豆腐・寒天製作は、他の地域からの出稼ぎ人で賄っていた。それが地方への貨幣経済組み込みと商品作物栽培強化を促した。③旅文化の進展は、あらゆる地域での旅行者に対する助け合い、もてなしに依拠するところ大。④とはいえ、道徳観は小地域毎の差も大。⑤大・江以外では火災の放置が多い。火事場泥棒は燃焼物の持ち出しに他ならず適法。◆1980年刊行。

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2014/04/24

近世に野田泉光院という坊主により書かれた旅日記を事例に、民衆の民俗を明らかにしたもの。 日記にある記述と、宮本の問題意識をリンクさせ書かれており、今でも検討すると面白いであろう多くの興味を与えてくれる。 宮本は、彼の膨大なフィールドワークで得た経験から考察を行うことが多く実証的で...

近世に野田泉光院という坊主により書かれた旅日記を事例に、民衆の民俗を明らかにしたもの。 日記にある記述と、宮本の問題意識をリンクさせ書かれており、今でも検討すると面白いであろう多くの興味を与えてくれる。 宮本は、彼の膨大なフィールドワークで得た経験から考察を行うことが多く実証的ではあるが、情報源が示されないことが多い。しかし、それ以上に他の人間では示せないような視点を多く与えてくれる。 『野田泉光院』のような旅日記には当たり前ながら、当時の人々の日常が記されており、そこから得られる情報は非常に多い。一方で現在の我々では見落としてしまうような民俗も多くあるはずであり、宮本のような広才博識な人が書いた本書は、旅日記等の民衆により書かれたものを分析する際に大いに役立つと考えられる。

Posted byブクログ