1,800円以上の注文で送料無料

君は永遠にそいつらより若い の商品レビュー

3.9

138件のお客様レビュー

  1. 5つ

    34

  2. 4つ

    45

  3. 3つ

    29

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2024/04/10

何かが起こった後の不穏な空気を孕みながら、本題にふれずにダラダラ進んでいく感じが、どこに向かっていくのかわからず、大丈夫かな、と多少不安になりながらも、ポツポツと挟まれるじめっとしたヒントのようなものを頭で繋げながら最後まで一気に読んでしまった。 絡むエピソードがどれも強烈で、...

何かが起こった後の不穏な空気を孕みながら、本題にふれずにダラダラ進んでいく感じが、どこに向かっていくのかわからず、大丈夫かな、と多少不安になりながらも、ポツポツと挟まれるじめっとしたヒントのようなものを頭で繋げながら最後まで一気に読んでしまった。 絡むエピソードがどれも強烈で、主人公の周りに集中して起こるのはドラマが過ぎるけど、現実ではそれぞれの事件は日々起こっていて、私もまたそんなエピソードを持っていて、この物語の登場人物の1人だ。 イノギさんの過去の詳細が回想される場面は不意打ちで、胸に重りが乗ったみたいになった。 自分に対してどこか諦めた態度や、他人への嫉妬心も静観し部外者みたいに分析するホリガイは、若干22歳の若者というより、ミドルエイジみたいだな、と思ったりもしたけど、所々で突然衝動に突き動かされ、彼女曰く、"変"な部分が理性を突き破って面にでる。そんな情熱?を秘めているところに、あぁ、彼女はただ、若者特有の迷いの中にいるのだなと安心した。 彼女の思考には共感する部分が多く、児童福祉に関わろうと思った理由には(自分が児童福祉に興味を持った理由と同じで)とても共感した。 "それはあまりにもつたなく、衝動的なものだったからだ。……それをうまく他の人に説明する自信はまだなかった。その男の子のことを考えるときの、私の心の内は、明らかに標準の大人として不適切だと思われたし、どこか妄想じみてもいた。”

Posted byブクログ

2024/03/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

京都で学生時代過ごしたので、下宿やバイトや街並みの暮らしの感覚が甦りながら読んだ。初めて読むタイプの作品だった。つらつらと文章が続くが不愉快や退屈な感じはなく、私もポチョムキンなので少し笑いながら読み終えた。 「きみは永遠にそいつらより若い」という題名に、日々業務でおじさんに囲まれそいつらの気の使えなさに憤怒しているこの本を貸してくれた友人は惹かれたというが(つまりどんなときも発揮される私たちの若さという利点を彼女はこのタイトルにも見出した)、どちらかというとこのタイトルは被る側の情景に近い気がした……のだけど読み損ねている部分も多く察しが足りないかも。とにかく、どんなことがあってもそれを乗り越えて年を重ねたとしても同じくそいつらも年をとっていて、永遠にきみはそいつらより若く、風景は変わらないのだ……というような?とにかくそういうどうしようもなさに対する怒り?ムカつき?を読み終えた後に感じた。 面白かった。

Posted byブクログ

2024/02/23

津村さんの本は、日頃考えているけど、他人にはなかなか言えないモヤモヤを書いてくれる。でも、全てまだ理解できてない感じだけど、全然嫌じゃない感じ。空気も含めて読むって感じ。

Posted byブクログ

2024/01/17

あなたがわたしのことをすっかり諦めて忘れてしまっても、わたしはあなたのことを気にしているんだろうということを、どうやってイノギさんに伝えようかと思った。 なにもない。何もないことがある。 小説だから何か起こるけれど、あくまで小説だから。 この作品の世界は、小説でなかったらおそら...

あなたがわたしのことをすっかり諦めて忘れてしまっても、わたしはあなたのことを気にしているんだろうということを、どうやってイノギさんに伝えようかと思った。 なにもない。何もないことがある。 小説だから何か起こるけれど、あくまで小説だから。 この作品の世界は、小説でなかったらおそらく何も起こらなかっただろう。 それでも私はこの世界を体験してみたいと思う。

Posted byブクログ

2023/11/27

面白かった。主人公の、ひんやりとした自己分析が、「あーわかるわかる、この気持ちは確かに言葉にしたらこんな感じだよね」というのが何度もあり、小説を読む醍醐味だと思った。 ただ、一方、私の読解力が低いからなのか、最後の結末(タイトルがそのまま出てくるところ)が、少し唐突に感じたとい...

面白かった。主人公の、ひんやりとした自己分析が、「あーわかるわかる、この気持ちは確かに言葉にしたらこんな感じだよね」というのが何度もあり、小説を読む醍醐味だと思った。 ただ、一方、私の読解力が低いからなのか、最後の結末(タイトルがそのまま出てくるところ)が、少し唐突に感じたというか、それまでとの文脈と上手く自分の中で繋がらなかった。

Posted byブクログ

2023/11/11

おかしみの中に悲しみのある、血の通ったユーモアだ 題がとても好きです 大学生という、羞恥をすてて、無意識で過ごしたほうが勝ち、みたいな時期をこうも自意識ばちばちに過ごしてしまっては、それはポチョムキンにもなるよなあ、と覚えがあります 一度読んだだけではなんともまとめられないけ...

おかしみの中に悲しみのある、血の通ったユーモアだ 題がとても好きです 大学生という、羞恥をすてて、無意識で過ごしたほうが勝ち、みたいな時期をこうも自意識ばちばちに過ごしてしまっては、それはポチョムキンにもなるよなあ、と覚えがあります 一度読んだだけではなんともまとめられないけど、とても好きな感じでした あと何度か読む

Posted byブクログ

2023/10/22

他の方も書かれているが、タイトルが圧倒的に素晴らしい。そして、タイトルの意味もわからぬままダラダラと読み進める、大学時代のダラダラとしたやるせない日々の物語りはなかなか面白い。本題はなかなか提示されない。 「雨のように降ってくるトラブルを、僕たちは夢中になって拾い集め、ポケットに...

他の方も書かれているが、タイトルが圧倒的に素晴らしい。そして、タイトルの意味もわからぬままダラダラと読み進める、大学時代のダラダラとしたやるせない日々の物語りはなかなか面白い。本題はなかなか提示されない。 「雨のように降ってくるトラブルを、僕たちは夢中になって拾い集め、ポケットに詰め込んだ。」 たまたま並行して読んでる関係のない小説の一節だが、そんな無意味にも見えるけど愛おしい日々。だけどそんな日々のトラブルの中に、雷のような悪意が潜んでいた。 かつてはやり過ごすしかなかった理不尽な悪意に対し、今でも解決出来るかは判らないけれど、それでも前向きに進んでいく、そんな主人公に寄り添いたくなる小説です。

Posted byブクログ

2023/10/14

読み終わってから毎日、ふとしたきっかけで大学時代の何気ない一コマを思い出します。かつて贅沢すぎるくらいの「自由な時間」を持て余して、ただ好きな人と好きなことしてた大学後期の頃の自分が、物語のくだらないエピソードと薄く広くリンクしていたのだと思います。個性的な登場人物たちと、またあ...

読み終わってから毎日、ふとしたきっかけで大学時代の何気ない一コマを思い出します。かつて贅沢すぎるくらいの「自由な時間」を持て余して、ただ好きな人と好きなことしてた大学後期の頃の自分が、物語のくだらないエピソードと薄く広くリンクしていたのだと思います。個性的な登場人物たちと、またあの頃を共に過ごせたかのような。 終わり方も含めて決して明るい物語ではないけれど、読み終わってからしばらく、心地よい余韻が残るような、良い作品に出会えた気がします。

Posted byブクログ

2023/09/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

映画の試写会きっかけで読み直した。映画はちょっと、私には合わなくて、物語そのものが私から離れてしまったのかも…と悲しくなりながら読み直し、しかし津村さんの文章はやっぱり私のための物語だ、と思った。ほっとした。タイトルがずっと好き。圧倒的で理不尽な暴力が表れた後の人生と、愛の話で、愛のあり方がこんなふうなら自分ごとと思えるんだと新鮮だったことを思い出した。

Posted byブクログ

2023/09/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ホリガイ( 束谷大学文学部社会学科四回生。大学卒業を間近に控え、地元の地方公務員試験の合格通知をもらっている。二十二歳の処女、童貞の女。 イノギ 中学生になって間もない時に痛ましい経験がある。 アスミ 大学をやめた河北と付き合っている。外部の聴講生。ゼミの2次会で酔いつぶれ、ホリガイが自分の下宿に連れ帰る。 オカノ ホリガイの友人。一人で立ち呑み屋をはひごするほどの酒好き。酒類の量販店の内定をもらった。 あさの ゼミのOBの知り合いで飲み会に参加する。一流家電メーカーに研究職で入社。 穂峰 ホリガイと出会って半年足らずの十二月のはじめにバイク事故で亡くなった。 吉崎 ホリガイの友人。自分の彼女にちょっかいを出した河北には良い感情を持っていない。 河北(カバキ、シュウ) 大学を辞め起業している。大学を辞めた後もよくゼミの飲み会には来ている。アスミと付き合っている。ホリガイとは何ヶ月かに一回ほど、食事をおごって話を聞いてもらう間柄。 八木 バイト先の部署の主任。ホリガイと同い年。 ヤスオカ バイトの後輩。東京出身。大阪の工業系の大学一年生。 ヨコヤマ バイト先の勤怠管理担当の女性事務員。 ワタナベ バイト先の最近離婚した美熟女。 ヒサマ 吉崎の彼女。 翔吾 穂峰のアパートの下の階で虐待を受けていた子供。

Posted byブクログ