市場化する大学と教養教育の危機 の商品レビュー
教養と一言でいっても思い浮かぶものはバラバラである。この本は、さまざまな専門家が教養とは何なのかについて述べたものである。教養教育の歴史、スタンフォード大学の新しい取り組み、ネオリベラルアーツについてなど、教養教育に関心のある方は読むとイイかも。
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8か月間積読状態だったがやっと読めた。主要先行研究に位置付けられた。大学経営を考えるとき、主題を問わずどこかの場面で「市場からの論理と教育現場の論理」を検討しなければならない。本書は表題のとおり教養教育の軸から論じている。宛先は「市場や企業」だ。しかも教育社会学グループに属さない...
8か月間積読状態だったがやっと読めた。主要先行研究に位置付けられた。大学経営を考えるとき、主題を問わずどこかの場面で「市場からの論理と教育現場の論理」を検討しなければならない。本書は表題のとおり教養教育の軸から論じている。宛先は「市場や企業」だ。しかも教育社会学グループに属さない学者たちからの発信なので個人的には興味深い書となった。新中間層(パーキン、1998)に対する「企業文化への屈服」と「使い勝手の良い労働力」の重視が、教養教育に影響を与えていることを明らかにしている点で参考になる。 大正・昭和の「教養主義」の流行と、昨今の各方面からの「教養教育」の啓蒙は趣が異なることは言うまでもないが、今日の大学という機能は、濃淡はどうであれそれらを一度は斟酌して教育活動に展開しているところが各大学に共通している。ちなみに本書では昨今の教養教育を「ネオ・リベラルアーツ」(村澤)と呼んでいる。大学の7つの機能別分化の行間にもあると思われる"良質な"中産階層輩出に関心を持ちながら、今後研究を深めたい。グローバリゼーション下のネオリベラリズム的ネオ・リベラルアーツの概念整理といえるかもしれない。
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