直木孝次郎 古代を語る(8) の商品レビュー
古代史の専門家による、飛鳥時代に関する論文及び講話記録等をエッセイ的にまとめたもの。古代史研究の方法や、飛鳥時代には様々な見解があることが理解できた。当時の人々の考え方や行動が浮き彫りにされており、興味深かった。印象的な記述を記す。 「7世紀初めないし中ごろ以前には、天皇という...
古代史の専門家による、飛鳥時代に関する論文及び講話記録等をエッセイ的にまとめたもの。古代史研究の方法や、飛鳥時代には様々な見解があることが理解できた。当時の人々の考え方や行動が浮き彫りにされており、興味深かった。印象的な記述を記す。 「7世紀初めないし中ごろ以前には、天皇という称号をもつ権力者は日本に存在しなかった。(それ以前の資料には「大王(おおきみ)」と記されている)」 「厩戸皇子(うまやどのおうじ)が、聖徳や太子と呼ばれるようになるのは、没後7、80年以上後のように考えられる」 「キリシタン研究の大家であった岡田章雄先生は、歴史をやる者は推理小説、探偵小説を読むのが役に立つ。アガサ・クリスティーとか、ガードナー、ヴァン・ダインとか、クロフツとか、そういう作家の小説は推理力を鍛錬し、歴史を研究するのに役立つと書いておられます」 「天智天皇は、弟の大海人皇子(天武)をさしおいて、長子大友皇子に位を譲ろうとし、兄弟相続をやめて父子直系の相続に切り替えたわけだが、6、7世紀の皇位継承の慣習からいうと、これは異例の相続法だった。これ以前では、皇位は父子相続よりも、兄弟その他天皇一族間の相続がはるかに多いのである。他の有力な候補者のある場合の父子相続は、一般の承認を得ることがまだむつかしかったのである」
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