後悔と自責の哲学 の商品レビュー
偶然や運命を機軸とした『自由論』が、綺麗な論理展開である上に平易な文章で解かりやすい。[more]ただ結局のところ後悔そのものは、それが極端であれば永遠回帰の虜になってしまうしかないのでしょうか。途中に展開された折角の紆余曲折が最後にきて振り出しに戻ったように思えてちょっと残念。
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意図的行為に対する後悔◆非意図的行為に対する後悔◆後悔と偶然◆後悔と運命◆苦しみあえいでいる人に対する自責 著者:中島義道、1946北九州市門司区生、哲学者、東京大学教養学部→同大学院人文科学研究科→同法学部→同大学院人文科学研究科→ウィーン大学、元電気通信大学教授 解説:大崎...
意図的行為に対する後悔◆非意図的行為に対する後悔◆後悔と偶然◆後悔と運命◆苦しみあえいでいる人に対する自責 著者:中島義道、1946北九州市門司区生、哲学者、東京大学教養学部→同大学院人文科学研究科→同法学部→同大学院人文科学研究科→ウィーン大学、元電気通信大学教授 解説:大崎善生、1957札幌市生、作家、早稲田大学卒
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日常の中で、「後悔することは悪いことなのか」という問いが浮かんだため、その回答のヒントを掴みたく手にとった。 自らが過去に意図的/非意図的に行ってきたある行為と、その行為が主因となっている「と思われる」結果に因果関係を認めていたとしても、本当は無数の微小な現象から成り立っている...
日常の中で、「後悔することは悪いことなのか」という問いが浮かんだため、その回答のヒントを掴みたく手にとった。 自らが過去に意図的/非意図的に行ってきたある行為と、その行為が主因となっている「と思われる」結果に因果関係を認めていたとしても、本当は無数の微小な現象から成り立っている世の中で生きている私たちは、その行為と結果の因果関係を100%確定することはできない。つまり、私たちは因果関係が分からないのに過去の行為を後悔してしまうということは念頭に置いておきたい。 内容自体は自分の問いに直接的な答えを提示するものではなかったが、人はなぜ後悔するのかという命題に関する示唆はたくさん得られた。 後悔というワードだけでなく、「自由」「運命」「偶然」など、様々な言葉との関連も含めて「後悔」を見つめることができ有意義だった。
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『この社会は「わかった」ふりをする。わかったふりをして、ある人の行為を非難し、場合によっては犯罪者に仕立てあげ、別のある人を賞賛し、場合によっては褒美を与える。 自由意志も行為の因果性も偶然も運命も、じつは何もかもわからないのに、社会(世間)とは、わかったつもりになるように鍛え...
『この社会は「わかった」ふりをする。わかったふりをして、ある人の行為を非難し、場合によっては犯罪者に仕立てあげ、別のある人を賞賛し、場合によっては褒美を与える。 自由意志も行為の因果性も偶然も運命も、じつは何もかもわからないのに、社会(世間)とは、わかったつもりになるように鍛える場であり、それを強要する場であり、それに対する疑問を封じる場です。 それでこそ、社会はスムーズに動いていくのでしょう。誰でも、心の底で一瞬きらりと「どこかおかしい」という閃光がよぎる。しかし、その閃光も社会の中で生きていくうちにたちまち消えていく。』 そこで終わるんかい!って作品。『後悔と自責の哲学の序章』ってタイトルが相応しいほど短い作品。 都合のいいことも悪いことも、偶然と運命の「納得ゲーム」を続けていくことで問うことをやめてしまったら、そこで哲学が終わる。 まったくその通りだと思う。 』
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特に第五章、自責についての記述がよかった。 人間は究極的には苦しみあえぐ他者に同情(同苦、同じ感情・苦しみを持つこと)はできず、その同情し得ないことについて自責を感じる。加えて、自分がその人に何かをし得るのにできないということ、何かをした後に襲う行為による充足感・優越感などから逃...
特に第五章、自責についての記述がよかった。 人間は究極的には苦しみあえぐ他者に同情(同苦、同じ感情・苦しみを持つこと)はできず、その同情し得ないことについて自責を感じる。加えて、自分がその人に何かをし得るのにできないということ、何かをした後に襲う行為による充足感・優越感などから逃れることもできず、道徳的安全地帯は無いという。 震災以後の個人的な心情(信条)に響く章だった。
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「いかなる理論も後悔を打ち砕くことはできない」。それをわかりながら、様々な哲学的思考をもって「後悔」を語るこの本は、何からも目をそらさず、真実だけを追い求め続けています。後悔とは何なのか。意味がないとわかっていても、なぜ後悔するのか。パラダイム、社会制度と後悔の位相についても考...
「いかなる理論も後悔を打ち砕くことはできない」。それをわかりながら、様々な哲学的思考をもって「後悔」を語るこの本は、何からも目をそらさず、真実だけを追い求め続けています。後悔とは何なのか。意味がないとわかっていても、なぜ後悔するのか。パラダイム、社会制度と後悔の位相についても考えることができて、新鮮でした。読みながら「~すればよかった」「~しなければよかった」という馴染みの感情が暴かれていくようで気持ちよかったです。哲学というと難しいイメージだけれど、哲学は自分の経験に照らし合わせて考えることができるのですね。 大崎善生が好きなので、解説も興味深かった。とにかく言えることは、人生なんてわからんよということと、わからないからこそ考え続けるのだそれが哲学だということかな。
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