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ハイク・ガイ の商品レビュー

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2022/10/16

作者はアメリカ人大学教授で、俳句、特に小林一茶の俳句の翻訳をしたり、著書を書いている。 実際に「一茶記念館」も訪れていた。 http://www.issakinenkan.com/diary/%E4%B8%80%E8%8C%B6%E4%BF%B3%E5%8F%A5%E3%81%A...

作者はアメリカ人大学教授で、俳句、特に小林一茶の俳句の翻訳をしたり、著書を書いている。 実際に「一茶記念館」も訪れていた。 http://www.issakinenkan.com/diary/%E4%B8%80%E8%8C%B6%E4%BF%B3%E5%8F%A5%E3%81%AE%E7%BF%BB%E8%A8%B3%E8%80%85%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%8C%E3%83%BC%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%8C%E3%81%94%E6%9D%A5/ こちらの本は「むかしむかしのファンタジーのニッポン」を舞台にして、俳句ってなんだろう、俳句をどうやって作るのか書き連ねた小説でもありエッセイでもある。 ファンタジーのニッポンの話は、小林一茶(英語版では「一杯の茶 Cup-of-Tea」、日本語版では片仮名で「イッサ」)の弟子になったデッパ(出っ歯の少年)が「俳句ってなんだ」と俳句の旅に出ながら考えていくというのが大まかなストーリー。それと同時進行で、作者自身が参加している創作クラブのメンバーたちとのやり取りが交じる。 作者は、日本語の俳句を英語で作ったり翻訳することのすれ違い、江戸時代の日本人と現代アメリカ人の感覚の違いなどを感じるのだが、そのためにこの本のなかで登場人物たちを自由自在に作中で動かしてみている感じになる。 なにしろ自分の創作を理解しない創作メンバーたちを「それならエド時代に行ってこい!」と「ファンタジーのニッポン」に登場させたり、反対に「デッパは現代NYでどんなハイクを作るんだ?」とNYに招いてみたり、自由自在に思考実験をしているようだ。 著者は学生のときに出会った一茶の俳句「かたつぶり そろそろ登れ 富士の山」の解釈を通じて解釈の無限の可能性を感じたという。 この富士山というのは、本物の富士山なのか、いや富士山に見立てた庭の盛り土なのか。山というのは一茶の人生なのか、見たままの山なのか。 しかしそれはどれか一つである必要はない。すべてを生かして読み取って良い。 小説であり、エッセイであり、俳句の作り方であり、作者の憂さ晴らしでもある、文学って自由だなと思える1冊です。

Posted byブクログ