「医療政策」入門 の商品レビュー
「政治・経済も含めた医療を軸とした街づくりをしたい」と宣言したところ、敬愛する家庭医Y先生から勧められた本。
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2006年に書かれた?医療戦略の本質に対して、米国の医療は結構進展したのだなぁ…と感じました。この書籍は基本的に医療政策に関する内容となっています。 多くの人が書いた本なので、内容にムラがありますね。詳細なデータを使ってわかりやすくコンパクトにまとめている人が(前半とかに)居て...
2006年に書かれた?医療戦略の本質に対して、米国の医療は結構進展したのだなぁ…と感じました。この書籍は基本的に医療政策に関する内容となっています。 多くの人が書いた本なので、内容にムラがありますね。詳細なデータを使ってわかりやすくコンパクトにまとめている人が(前半とかに)居て、国別の評価指標や医療費の変遷、詳細、歳出、歳入から今後の医療形態などわかりやすく、興味深く書いてありました。この部分だけ見ると評価☆5です。 次に医療政策の決定プロセスなど中々知らないプロセスなどが紹介されており、上述のまっきんの人が書いたものに比べてまとまりはないですが、有用な情報が提供されていていい感じでした。これも☆5です。 更に患者の意思表明や地域医療に関する、データベースの人も勿論いるのですが、アジテートみたいな内容が多くなってきて…医者のあり方や医療政策のプロセスみたいなとこに入ると、玉石入り混じりで、ここはもうひとつの章にしてコンパクト・構造的にまとめろよ…みたいな感じになりまして。いいこと言っている人も居るのですが、☆3です。 総じて☆4ですかねー。 全体的に医療費の増大を不可避として、如何に高い精神的な満足度を維持しつつ、医療システムを改善・構築していくか、救急医療や医薬品への高い投資、など現行の医療システムの不均衡を是正するか、情報が全く得られないシステムを改善するかに腐心していますね。そういった議論に関してはレベルの高い議論が行われている思われます。IT化やケアサイクル全体でのアウトカムの向上に本質を置こうとしているのも正しいと思われます。 政策の本なので仕方がないのかもしれませんが、次世代シークエンス技術の向上によるパーソナルゲノムの利用、オーダーメイド医療、プライマリ・ケア、予防医療、医薬品・医療機器の貿易赤字の克服などによる、医療の質を向上させた上での医療支出の削減と産業の育成の観点が余り無かったのは残念ですね。 あと注意深く読むと気づくのですが、人によって言っていることが違います。例えば、初めの人は「日本の医療レベルは非常に高く、医師・医療機関でばらつきが少ない」と言っているのに、後半では「アウトカム調査を行ったことで、ばらつきがかなりあることが読み取れる。情報の開示にと競争によって是正すべき」と言っているとかですね。 まぁ良い本だと思いますよ。
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医療政策にまつわる様々なステークホルダーのお話。オムニバスはつまらんというのが相場だけど、結構面白かった。 医療費の削減には何に投資すべきかは諸説ある。技術発展に由る医療費が削減された例(結核は1950年頃日本の医療費の25%近かったが今では1%未満。胃潰瘍もだいぶ治るようにな...
医療政策にまつわる様々なステークホルダーのお話。オムニバスはつまらんというのが相場だけど、結構面白かった。 医療費の削減には何に投資すべきかは諸説ある。技術発展に由る医療費が削減された例(結核は1950年頃日本の医療費の25%近かったが今では1%未満。胃潰瘍もだいぶ治るようになってきた)。これからは予防・ケアが大事という説も。これまでと違い、対慢性病になってきた。「治らない」が基本。 生涯医療費は約2300万円。70歳以上でその半分くらいを使う。ちなみに0~4歳くらいの医療費も高いが、50~54歳くらいで同程度となるので、基本的に高齢での医療費がとりわけ高い。 現に日本の医療費の50%超が65歳以上に支払われている。 予防・ケア的医療の充実が必要だというのは間違いない。 日本国内で比較して、病床数が多い地域は医療費も高いらしい。因果関係は逆なのかも?とも思うが、トヨタ生産方式とのアナロジーで考えると、仕掛品が多いと全体でのコストも高くなるよな、とも思った。 ジェネリック医薬品の普及で医薬品のコストはだいぶ下げられそう レセプト開示を!(そうでないと医療の価格設定が適切かどうか判断しようがない。)
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結論から言おう、本書の趣旨と合致するかは別にして日本における医療課題の一端を入門的に掻い摘める書籍だこれは。 本書は、医療政策に関して医療提供者、患者支援者、政策立案者、医療ジャーナリストの視点を講義形式で説明、紹介する。 そういう意味で医療政策に関わりたい対象だけではなく、一...
結論から言おう、本書の趣旨と合致するかは別にして日本における医療課題の一端を入門的に掻い摘める書籍だこれは。 本書は、医療政策に関して医療提供者、患者支援者、政策立案者、医療ジャーナリストの視点を講義形式で説明、紹介する。 そういう意味で医療政策に関わりたい対象だけではなく、一国民としても知っておくべき内容がちりばめられている。 医療崩壊という言葉が生まれてきた過程から、現状の医療政策における課題はなにも政策立案者、行政のトップの問題だけではなく総じて国民それぞれが意識的にその課題解決の為に参加し態度を表明すべきであることは自明である。 さらに本書の趣旨というか題名から察する趣旨と合致し、一般的にビジネスにおいて公共ビジネスを手がける際に参考になるのは所謂政策がどのような流れで法案として通過してくのかに触れられることは有用であろう。 個人的に無知で、強く思うところがあったので紹介したい。 第7講(chapter7)市民主体の医療section1にある医療情報の公開・開示を求める市民の会世話人勝村氏の講義である。 当人は、陣痛促進剤被害で長女を出生直後に失ったのをきっかけに医療被害をなくそうと奔走する患者支援者である。 この陣痛促進剤の利用例一つとっても、如何に我々国民が医療というブラックボックスの中に存在するサービスを神のサービスのように感じ信じているか気づきを与えられる。 当然、その被害者となる可能性は、勝村氏がそうであったように万人に対し平等である。 だからこそ、我々は無関心であるべきではない。 読むべし。
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日本の医療・社会保障の現状を知る上で、お勧めの一冊。 足元の状況に加えて、将来的に持続可能なシステムを整備するためにはどうすればよいか?ということを考える上で、参考となるデータが充実している。 将来世代に質の高い医療を提供し続けていくためにも、幅広い世代の方に読んでいただきたい...
日本の医療・社会保障の現状を知る上で、お勧めの一冊。 足元の状況に加えて、将来的に持続可能なシステムを整備するためにはどうすればよいか?ということを考える上で、参考となるデータが充実している。 将来世代に質の高い医療を提供し続けていくためにも、幅広い世代の方に読んでいただきたい本。
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先日、某学会の教育セミナーに参加した際、資料の中にこの本のチラシが入っていた。 タイトルに、「医療崩壊のその先へ」とあるとおり、私たちは医療崩壊を嘆いているばかりではどうしようもない。また、昔の制度へと戻ることもできない。 声高に、旧制度への郷愁を叫ぶ人たちとは一線を画する必要が...
先日、某学会の教育セミナーに参加した際、資料の中にこの本のチラシが入っていた。 タイトルに、「医療崩壊のその先へ」とあるとおり、私たちは医療崩壊を嘆いているばかりではどうしようもない。また、昔の制度へと戻ることもできない。 声高に、旧制度への郷愁を叫ぶ人たちとは一線を画する必要がある。 われわれ自身が現場において、また一有権者として、同時に未来に責任をもつものとして、医療の在り方を考えていく際に大いに参考にすべき書である。
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