1,800円以上の注文で送料無料

日本語で読むということ の商品レビュー

4.3

11件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2017/05/02

「日本語で書くということ」と同時出版された水村氏のエッセイ集。こちらのほうが、どちらかというと「軽め」のエッセイが中心。だけど、ある意味、ちゃんとしたエッセイより、水村氏のスタンスがより直接的に伝わる気がした。 実に面白い。特に、自作解説の部分は、実にスリリングであった。 ...

「日本語で書くということ」と同時出版された水村氏のエッセイ集。こちらのほうが、どちらかというと「軽め」のエッセイが中心。だけど、ある意味、ちゃんとしたエッセイより、水村氏のスタンスがより直接的に伝わる気がした。 実に面白い。特に、自作解説の部分は、実にスリリングであった。 もちろん、水村氏の小説を読んだ事がない人でも十分楽しめるエッセイが多数おさめられている。 あとがきで、「日本語が亡びるとき」が実は、この本の巻頭エッセイとして書き始められた経緯が書かれてあって、面白かった。 巻頭エッセイが独立した本になった結果、残ったエッセイ集も2分冊になったとのこと。この3冊を並べると、緑黄赤と信号機みたいになる。

Posted byブクログ

2016/10/18

素晴らしい本だった。でも、この評価は、やや偏りがあるかもしれない。というのは、著者も私も、国外の生活が20年ほどで、日本をこよなく愛する日本人だという共通点があるからだ。 前半は、12歳からアメリカで暮らした著者が、狂おしいほどの情熱を傾けて読んだ数々の本の書評である。昭和初期か...

素晴らしい本だった。でも、この評価は、やや偏りがあるかもしれない。というのは、著者も私も、国外の生活が20年ほどで、日本をこよなく愛する日本人だという共通点があるからだ。 前半は、12歳からアメリカで暮らした著者が、狂おしいほどの情熱を傾けて読んだ数々の本の書評である。昭和初期から戦後にかけての日本内外の名作が中心である。読書にのめりこんだ著者は、日本語にものすごいこだわりを抱いて生きることになる。 文章は米原真里さんのようだが、米原さんのほうが柔らかく、水村さんは学術的である。どちらも帰国子女だからこそ、美しい日本語に並々ならぬ執着がある。 後半は、自分が小説家になり出版した著作の紹介や成り立ちなど、また美しいが消えゆく日本語をどうやって守っていくか、そしてメンターとなる日本の作家などについて書かれてある。本書で紹介されている本が次々と読みたくなる。 海外に長く住み、私は日本語の能力が衰える一方だが、これだけの日本語が書ける著者には感服である。

Posted byブクログ

2016/07/15

まず、著者の書く文章が好きだ。 本書は、過去に発表したエッセイや評論を集めたもの。 「日本語で書くということ」というタイトルの本と対になっている。 著者に出会ったのは「日本語が滅びるとき」という本である。日本人である著者は、10代前半でアメリカに行き、英語圏で育ちながら、日本...

まず、著者の書く文章が好きだ。 本書は、過去に発表したエッセイや評論を集めたもの。 「日本語で書くということ」というタイトルの本と対になっている。 著者に出会ったのは「日本語が滅びるとき」という本である。日本人である著者は、10代前半でアメリカに行き、英語圏で育ちながら、日本語で書くことを選択をした。 その著者の日本語に対する真摯な思いと、英語に対する葛藤がとても印象的だった。 それらの話も本書に少し出てくる。 そして、本書においては「数学の天才」というエッセイが印象深く、とてもよかった。 「自己というものが諸関係の総体でしかないということは現代の常識である(p96)」ということに著者の体験を通して改めて思い至った。 書き下ろしではないため、内容がだぶることもあるけれど、心を豊かにしてくれるような一冊であり、人にすすめたくなる本である。

Posted byブクログ

2013/12/13

水村氏があちこちに書いたエッセイを1冊にまとめたものです。 彼女が読んできた本の変遷の一端がわかり興味深かったです。

Posted byブクログ

2013/03/23

著者のエッセイ集。映画『寅さん』シリーズへの歓喜など、著者の意外な一面が垣間見れました。特に、『高台にある家』を上梓した母との複雑な葛藤は、作家ならではで、興味深かったです。

Posted byブクログ

2012/07/31

海外在住故に日本語と極限まで向かいあった著者のエッセイ集。 古き良き教養主義の終わりに対するオマージュなのか。

Posted byブクログ

2012/06/02

作者が長らく敬遠していた「寅さん」が、本人にとっての失われた日本の再現であるがゆえに歓喜した、というくだりに「なるほど…」と思った。そして、作者が「三丁目の夕日」シリーズを鑑賞したと仮定して、どのような感慨を持つのか知りたいなとも思った。 この本の後半は、自著を振り返る内容とな...

作者が長らく敬遠していた「寅さん」が、本人にとっての失われた日本の再現であるがゆえに歓喜した、というくだりに「なるほど…」と思った。そして、作者が「三丁目の夕日」シリーズを鑑賞したと仮定して、どのような感慨を持つのか知りたいなとも思った。 この本の後半は、自著を振り返る内容となっていて、その中に母親の書いた「高台にある家」も出てくる。この、作者が母親の文章に手を加えたという小説も大変面白いのだけど、その創作過程の裏話を知ることができたのは思わぬ収穫。

Posted byブクログ

2011/05/14

日本語で読み 日本語で考え 日本語を話している その 当たり前は 本当に 当たり前なのだろうか ページをめくった その瞬間から おもしろい

Posted byブクログ

2011/09/18

水村美苗先生に夢中〜。子どものころ読んだ少女小説とか好きな翻訳小説とか、エッセイぽくて読みやすかった。水村美苗の文章が好きかもしれない。きっとやらかめに書いただろう文章でも適度にかたくて風格があるというか。きちんとした文章という感じで、伝わる。近代日本文学だけ読んで育って、今でも...

水村美苗先生に夢中〜。子どものころ読んだ少女小説とか好きな翻訳小説とか、エッセイぽくて読みやすかった。水村美苗の文章が好きかもしれない。きっとやらかめに書いただろう文章でも適度にかたくて風格があるというか。きちんとした文章という感じで、伝わる。近代日本文学だけ読んで育って、今でもほとんど「死んだ作家」の本をくり返し読むだけだそう。わたしも影響されて近代日本文学をいろいろ読んでみたくなった。むかし読んで大好きだった「細雪」は絶対に近いうちに再読しよう。子どものころ読んだきりの「小公女」も。あと、関川夏央や辻佐保子などにも興味がわいたり。辻邦生とか加藤周一とか、現代国語のテスト、っていうイヤなイメージでまーったく読む気になったことがなかった(本当に失礼)んだけど、読んでみようかな、とか。こうやって読書の幅が広がっていくのはうれしい。

Posted byブクログ

2010/03/22

世界観に魅了される。 私のような若い読者がレビューをかけない内容になっている。 だが、読みたい、書きたい、知りたいと思ってしまう。 受験生の今、思わず時間を裂いて読んでしまう。 内容を深く噛みしめて何度も読み直したいが残念なことにそれはできない精神状況である。 何故か不意に思っ...

世界観に魅了される。 私のような若い読者がレビューをかけない内容になっている。 だが、読みたい、書きたい、知りたいと思ってしまう。 受験生の今、思わず時間を裂いて読んでしまう。 内容を深く噛みしめて何度も読み直したいが残念なことにそれはできない精神状況である。 何故か不意に思った感想 賞受賞 私の学校は中高一貫学校だ。 つい先日まで小学生だった生徒と18というともすれば大人になる年齢層だ。 だからこそ、校長の長々しい訓示は分かりやすく示唆的でならなければならないという教師の言葉を思い出す。 きっと、数ページ前の新聞のルビを降る話のおかげと、前校長の三四郎の話で私は校長の話を批判したくなる。 私が入学したばかりの時にはすでにわかりやす過ぎるものであった。 その上、もう5回も同じ話を繰り返し聞いてきた。 そこで著者の分かりやすい文なのだろうが、私には理解しがたい文はそれを校長に求めたくなった。 折しも私には著者と同程度の読書量を持つ、読書の傾向が古典に向かわない視点から見た私の崇める友人を持つ。 あぁ。何を書きたいかわからなくなってきた。 とにかく受験から脱すれば本を読みたい、と、読書熱が中学生になってから冷めた私に思わせる至高の作品となっている。

Posted byブクログ