アウシュヴィッツの音楽隊 の商品レビュー
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読み味は『黒パン俘虜記』を思わせる。 いつ開くかわからない死の陥穽を常に足元に意識しながら、やがてそこにある社会に溶け込む。獄中記やアウトローの吹き溜まりの描写に見られるような悲喜こもごものユーモアも生まれる。『黒パン俘虜記』では黒パンがそうであるとしたように、アウシュビッツではタバコが通貨として機能したそうな。 『音楽への憎しみ』で語られたような、アウシュビッツ収容者が、絶望の涙を流しながら音楽を拒絶するような描写は見受けられなかった。 音楽や絵画、時計修理などの技能を有した収容者が一種の特権的立場にはまることに成功し、そうした立場から眺めてみれば、聞くとはなしに耳にしていた生きては出られぬ死の工場にも、違った光景が見える。 ここに描かれているディストピアの風景には『狂四郎2030』を思い出しもし、特に例を上げて紹介された収容所を管理する側すなわちナチス親衛隊の人々の人物描写には荒木飛呂彦が描く気が向いたときには優しく振る舞う異常者の姿を思い出させられもした。 「15 《名誉収容者》ラインホルド」には、ごくごく小規模なプランバンドール・スキャンダル、あるいはビスケット・オリバを見た。
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浪人してる時に図書館で勉強してて、勉強したくなくなって本棚見てて面白そうだったから読んだ本。本当に面白かったし、この頃のドイツとかその辺の歴史もっと学びたくなった。辛かったけど、学びになった本。
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アウシュヴィッツを書いた本とのことで、どんな悲惨な内容かと心構えしていたが、想像していたものとは少し違っていた。 アウシュヴィッツに収容され、運良く楽隊に入ることができた主人公のまわりは、死に溢れかえり、また、自身も死と隣合わせの状態でありながら、「音楽隊」という収容者の中での特権を持って日々を過ごす。同じ収容者であるのに一方は火葬場へ向かい、一方はそれを送り出す。火葬場へ直行の収容者たちが持ってきた手荷物を漁り、使えるものをくすねていく。敵であるはずの親衛隊と音楽によって友好を深める… いくつもの矛盾の中で、極限状態での人間の心理、またそのような中でも失われないもの、そして、音楽がもつ何にも代え難い魅力、いろいろ考えさせられた。 アウシュヴィッツの収容所生活の、ある一面として、記憶に残しておきたい本となった。
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著者のアウシュヴィッツ収容所での体験が 書かれたノンフィクション。 凄まじいその体験を文章でサラっと読んでも、 実際に体験した本人たちにしか 感じることが できないのではないかな。 それでも 読んでいて胸糞悪い気持ちになったり、 安堵したりしました。 この悲惨な歴史を全世界の人々...
著者のアウシュヴィッツ収容所での体験が 書かれたノンフィクション。 凄まじいその体験を文章でサラっと読んでも、 実際に体験した本人たちにしか 感じることが できないのではないかな。 それでも 読んでいて胸糞悪い気持ちになったり、 安堵したりしました。 この悲惨な歴史を全世界の人々が知らなければ ならないし、考えなければならないと思いました。
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こういう収容所長の優しい心遣いの結果、この楽隊のメンバーは男性楽員とは比べ物にならない暮らしをしていた。彼らは練習室のついた別棟に暮らし、そこには個人演奏用の小さな舞台もあった。公に認められた食事の特別配給があり、演奏以外の他の雑役は全て免除され、それで余った時間は練習でも私用を...
こういう収容所長の優しい心遣いの結果、この楽隊のメンバーは男性楽員とは比べ物にならない暮らしをしていた。彼らは練習室のついた別棟に暮らし、そこには個人演奏用の小さな舞台もあった。公に認められた食事の特別配給があり、演奏以外の他の雑役は全て免除され、それで余った時間は練習でも私用をするのでも好きに使って良かった。選別もされなかった。この楽隊の楽長はアルマ・ロゼという中央ヨーロッパでは名の通ったバイオリンの名手だったが、極めて優れた音楽家で同時に同僚としても賞賛すべき人柄の持ち主だった。ここから生きて出るとまではいかなくても、とにかくこの収容所の中ででも生き続けるために、彼女および彼女の下にある楽員に許された唯一のチャンスは、この楽隊が続いていくことにかかっていることを良く知っていたロゼは、ドイツ軍当局に楽隊の必要を絶えず説き続けていた。しかし彼女自身チフスに冒されて死んでしまった
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ドイツ人だけじゃないだろう。人間は全員が悪魔になれる。それとも、悪魔が本来の姿を隠してぎりぎり社会生活を営んでいるのが人間なのかも知れない。国を挙げて隠蔽しているが、規模は違っても日本人も同じことをしてきている。危うい道をまた歩み出しているんじゃないか?
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無知のため、アウシュビッツの収容所に音楽隊が結成されていたことすらしらなかった。やはり、ドイツ人も収容所で狂って人殺しをしていたわけではなく、ストレスフルな環境にいて、音楽によって癒されたいと思っていたんだね。そりゃもちろん、だからといって同情するわけではないんだけれど(やはりお...
無知のため、アウシュビッツの収容所に音楽隊が結成されていたことすらしらなかった。やはり、ドイツ人も収容所で狂って人殺しをしていたわけではなく、ストレスフルな環境にいて、音楽によって癒されたいと思っていたんだね。そりゃもちろん、だからといって同情するわけではないんだけれど(やはりおきていたことは恐ろしい)。そして意外だったのが、死者の身に着けていたものから成り立つ市場が存在したこと。インフレとかもちゃんとあって、通貨は共通のタバコだったこと。特権階級の人は市場から高価なものをかって、優雅な生活をしていたこと。なかなかそういう裏はわかりにくいから、ためになった。作者も、収容所の悲惨さを伝えるわけではなく、事実があったことを伝えようとしていたしね。(悲惨さは経験した人でなければわからないという持論の持ち主)
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日常茶飯に死があって生き残るために楽隊員として音楽を演奏する。わたくしの知らなかったアウシュビッツの姿の一つがかかれていました。音楽が悪魔になるかそれとも救いになるのか人の手にゆだねられていると感じました。
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明日からポーランドに出かける。 アウシュヴィッツも訪ねるつもり。 その準備として読んだ一冊。 収容所の別の一面を知りはしたけれど、 悲惨さが薄れるわけではなく… ずっしりと重いものを抱え込むのは同じこと。 翻訳調の文体がちょっと読みにくい。
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