昭和十年前後の太宰治 の商品レビュー
作家〈太宰治〉の生成過程を〈青年〉をキーワードとする同時代の言説から浮かび上がらせる。後半は、言説を踏まえつつ、個別の作品の言葉の仕組みを追う。 太宰治研究は、多様な研究があるが、最も批評的なラインでは、1・太宰の小説には太宰の絶望が吐露されている→2・太宰研究では人間太宰...
作家〈太宰治〉の生成過程を〈青年〉をキーワードとする同時代の言説から浮かび上がらせる。後半は、言説を踏まえつつ、個別の作品の言葉の仕組みを追う。 太宰治研究は、多様な研究があるが、最も批評的なラインでは、1・太宰の小説には太宰の絶望が吐露されている→2・太宰研究では人間太宰治ばかり取り沙汰され作品そのものは読まれていない(テクスト論)を経て、3・同時代の言説において〈作家太宰治〉が浮上する経緯を検討すべき、という経過を辿っている。 「作者の死」(ロラン・バルト)から、メディア論・読者論・言説研究の中で、再び「作者」の問題が浮上してきたことを踏まえつつ、テクストの内在的な分析を試みる本書は、太宰治研究の最新の成果と言えるだろう。
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