わたしの身体深く の商品レビュー

カトゥーシャ【著】,鳥取絹子【訳】

2014/05/11

インテリ階級であっても忌まわしい慣習に振り回され、娘の幸せを願う気持ちから性器切除を施す…。纏足しかり、この手の慣習の不気味なところは、それをしないと良家の娘と認められず良い縁談に恵まれないこと。だからこそ、悪習はなかなか途絶えない。

快楽に溺れて大事なことを見失わないように、施される(麻酔なしで！)のに、一方で避妊や性感染症については全く教育しないというバランスの悪さ。

ふわふわと恋をして、無計画に妊娠・出産を繰り返し、トップモデルの栄光の傍ら、記憶をなくすほど酒やドラッグに溺れ、感情の波に揉まれるトラブルメーカーのカトゥーシャ。
幼い頃に施された悪習や、大人にされた性的悪戯が影響している部分も少なくはないのかもしれないけれど、カトゥーシャ個人の性質にも危ういものを感じます。

訳のせいなのか、時系列や主語の一定しない自分語りはとても読みづらく、トップモデルの華やかな私生活さえ満たされているようには思えず、痛々しいです。