スーパー編集長のシステム小説術 の商品レビュー

校條剛【著】

2023/07/20

小説の技法にとどまらず、小説を書くための習慣づけや応募する文学賞といったものも記載された本。

中高校生の頃作品にはまったキングの言葉や、昔読んだ大塚英志の解説書も紹介されていて、参考にするにおいて相性は良かった気がした。

足掛かりとして既存の作品を敢えて真似る、という発想は訓練として良いと思った。

2020/08/28

琉球大学附属図書館OPAC
http://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BA90229920

2016/03/27

時代小説家が西洋文化に耽溺した人が多い、という４行が興味深かった。後は、すべてタイトル装幀からの予想通り。

2013/10/22

編集者からの視点による、創作の解説や指南が書いてあるのですが、小難しい精神論などは出てこないので、読むに当たって構えなくてもいいです。清清しいと思えるほど、才能や天分に頼るのではなく、技能作業として割り切って説明してあるので、私には非常にわかりやすかったです。

2013/09/22

はじめに情況ありきである。そこへ、まだ個性も陰翳もない人物が登場する。こうして設定が固まったところから、著述にとりかかる。すでに結末が見えている場合もあるが、私の思惑で人物を行動させたことはただの一度もない（スティーブン・キング）
情況
ニューイングランドの寒村に吸血鬼が出現したら？（呪われた町）
ネバダ州の田舎町で、警官が発狂して無差別に人を殺したら？（デスペレーション）
故障した車に閉じ込められた親子が狂犬に襲われたら？（クージョ）

小説の推進エンジン
①対立
②葛藤
③障害
④謎の提出→疑惑の発生
⑤意外性

キャラクター　累計＋個性

視点
①作者の視点(神の視点）
②誰か一人の視点
③多視点
④ナレーター視点

カキフライ理論
「私について原稿用紙３枚で書きなさい」という設問が与えられたときに、「私について」ではなく「カキフライについて」書いてみる。カキフライについて書くことは、自分について書くことと同じ、自分とカキフライの間の距離を書くことによって、自分を表現できる。一番必要なのは、別の視点を持ってくること

2009/12/24

ものすごく参考になりました。
一番実践したいのは、自分の書斎を作ること、朝型執筆のススメ……。

「私を表現したければ、私とカキフライの関係について書きなさい」新たなる視点。
アクションはクールに、言葉数を少なく、細かい描写をたたみかけるように。
全篇に情念が行き渡っている小説がいい小説。（例えば山本周五郎。心理描写こそ小説の威力。心理描写が行為と台詞の間を縫い糸のようにつないでいく。情念がピアノ線のように小説の中心を貫いて、最終の盛り上がりを用意する。しかし心理描写によってストーリーを停滞させたり、それも目的化してはいけない）

第一稿を書き終えたときは終わりではなく、始まり。手直しの90％は削除。プロット上必要のない叙述や説明はばっさりと削る。形式だけのムダな会話や副詞、形容詞も。
推敲好きのキングは6週間原稿を置いて、問題点をメモして推敲。テーマが反響しているかにこだわる。テーマを深化させ、残響を増幅させるためには、情景や事件を書き足すことになる。（『ミステリーの書き方』）

小説の言葉は、普段の言葉使いより、精密で執拗でなくてはなりません。小説の言語を獲得するには、経験が必要です。だから、新人の場合推敲は削除ではなく加筆や書き換えを意味する。

ケータイ小説から見られる、女子高生に支持されるキーワードは「友達」「優しさ」「好き」。

2009/10/10

小説執筆のHowTo本のほとんどが、作家が執筆したものですが、この本は編集長が執筆したものです。
編集者の視点から見た小説術がいろいろ書かれていて、新たな発見がたくさんありました。これまで読んできたものでは扱っていないものもあるので、一読の価値はあると思います。
最後の方にある「編集者との付き合い方」という項では、新人賞を取った後のことについて書かれています。編集者・新人、双方からの困ったタイプについて語られており、参考になりました。