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四つの犯罪/七つの墓場 の商品レビュー

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2021/01/04

第7回 四つの犯罪/七つの墓場(1956-1959.19歳から4年間の貸本時代、初期作品群。手塚治虫っぽい絵柄で江戸川乱歩やドストエフスキーの題材を描いてみました、という。自伝的漫画には、ベタを塗る母に、今夜中にあと何枚描けるのかねとせっつかれ、先も考えずに描いているんだからわか...

第7回 四つの犯罪/七つの墓場(1956-1959.19歳から4年間の貸本時代、初期作品群。手塚治虫っぽい絵柄で江戸川乱歩やドストエフスキーの題材を描いてみました、という。自伝的漫画には、ベタを塗る母に、今夜中にあと何枚描けるのかねとせっつかれ、先も考えずに描いているんだからわかるわけがないよとぼやく、という場面があるが、いやいや起承転結しっかり。逆にいえばつげが自身の作風を確立するときに、あえて起承転結を捨ててオープンエンドに移行した、ということが逆に見えてくる。) ・四つの犯罪 1957 悪人志願、覗き見奇談、運地君の不思議な犯罪、首、の4話を温泉宿の同宿人が語り合う。江戸川乱歩趣味。 ・生きていた幽霊 1956 血への執着と輸血。 ・罪と罰 1956 切手を舐める→毒。 ・奇人 1956 ドストエフスキー「罪と罰」っぽい。 ・七つの墓場 1957 温泉宿の殺人事件を探偵。 ・おばけ煙突 1958 篠突く雨の中のプロレタリア文学。……雨の表現で、奥行きが見える。 ・ある一夜 1958 ルネ・クレマン「太陽がいっぱい」みたいな。 ・うぐいすの鳴く夜 1959 うぐいす廊下のトリック。微妙に「かまいたちの夜」を連想。 ・クロ 1959 エドガー・アラン・ポー「黒猫」連想。 ・鉄路 1959 鉄道でも列車でもなく鉄路そのものをタイトルにしているのは確かに。 ・四人の素人 1960 車と列車の移動劇。 (解題・高野慎三 解説・“雨の作家”のスタート 佐野眞一……たぶんこの評論が、日々の糧としての初期作品と、自身の作家性に気づいて拘り始めた中期以降の、共通点をうまく指摘しているんだろう。)

Posted byブクログ