家政婦のミツコさん(1) の商品レビュー
コメディタッチの明るい雰囲気が一線を画す
本作では家政婦と書いて「メイド」と呼ぶようである。なのでタイトルは『めいどのみつこさん』と読む。表紙の雰囲気からしてこれまでの重厚な設定や妖艶で耽美な描写とは一味違うかもとは思っていたが、その予想を随分上回るコメディ作品だった。しかもヒロインのミツコさん(子持ちの29歳)が家政婦...
本作では家政婦と書いて「メイド」と呼ぶようである。なのでタイトルは『めいどのみつこさん』と読む。表紙の雰囲気からしてこれまでの重厚な設定や妖艶で耽美な描写とは一味違うかもとは思っていたが、その予想を随分上回るコメディ作品だった。しかもヒロインのミツコさん(子持ちの29歳)が家政婦になるきっかけが、ベンチャー企業に失敗した夫の抱えた膨大な借金を返済するため、という時点で既にちょっとイタい。さらには純和風の屋敷なのに旦那様の好みというだけで格好はメイド(内実は家政婦)という設定が笑いを誘うのである。異色作とも呼べそうな本作だが、コメディ要素はたっぷりでかなり面白い。そして(ここは予想通りだったが)ミツコさんは屋敷に住む男達(旦那様とその孫2人)の全員と関係を持つ。旦那様からは責められ、孫(長男)とは恋人同士のように、もう1人の孫(次男)には慈愛に満ちた筆おろしと、三者三様の異なる関係を演出するところは巧いと思う。ついでに、孫(長女)のセックス指南もしたり、そそのかされて旦那様の友人の相手までしちゃうミツコさんである。当初こそ内心で夫に詫びたりもしていたが、途中からは人妻らしさがすっかり消えて奔放に振る舞い始め、「ミツコさん、それ浮気なんだから少しは貞操観念持ちなさいよ」と言いたくもなるフリーダム振りが逆に天晴れなのだが、遠くの工場でせっせと働いているハズだった夫がミツコさんと『同じ穴のムジナ』状態だったというオチまで付く始末である。それでも情交シーンは艶々作品らしいいやらしさだし、大らかで可愛らしさも充分なミツコさんは魅力的である。屋敷でのやり取りにもホームドラマのような楽しさがあり、多方面で楽しめる作品だと思う。ミツコさんの今後の活躍に期待である。ちなみに、よく似たタイトルに『家政婦のエツ子さん』があるが、あとがきによると承諾を得たうえで本作の元ネタになっているらしい。
DSK
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