丘のてっぺんの庭 花暦 の商品レビュー
東京で生まれ育った著者が、アメリカ人の夫と移り住んだのは、千葉県房総半島の農村だった。丘の上の一軒家で20年を越し、6段の元棚田には「ソローヒル・ガーデン」という名の庭が造られた。馴染み深い花々が咲きこぼれる「自然体の庭」。月毎の花暦にあわせ、綴られるエッセイ。撮影は写真家の夫...
東京で生まれ育った著者が、アメリカ人の夫と移り住んだのは、千葉県房総半島の農村だった。丘の上の一軒家で20年を越し、6段の元棚田には「ソローヒル・ガーデン」という名の庭が造られた。馴染み深い花々が咲きこぼれる「自然体の庭」。月毎の花暦にあわせ、綴られるエッセイ。撮影は写真家の夫が手がけている。 イギリス滞在経験のある著者は、『ウィリアム・モリスの庭』の翻訳者でもあり、モリスの教えから「庭の構想」を得たという。 *自生種を主体にし、古くからある植物も植える。この地にもともと植わっていたウツギ、ネムノキ、ノイバラ…など、残された切り株から育てる。*昔ながらの懐かしい植物を植える。コスモス、ガーベラ、ヒマワリ。生家で母が育てていた花樹を移植する。*作家や芸術家にまつわる花を栽培する。例えば、宮沢賢治の愛したキクイモやチューリップ…。*庭は生産の場。野菜や果実を作る。野菜づくりは花壇のような小さい区画で。草花も混ぜ、フランス語で「ポタジェ」と呼ばれるような親しみ深い、ごちゃ混ぜの楽しい野菜づくりをする。 そうした「構想」は、たゆまぬ努力で実現されていった。丘のてっぺんの庭の9月、酔芙蓉の花弁が、白から桃色に、やがて紅に染まっていく。(S)
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