乙女革命アヤメの!(2) の商品レビュー
よりキャラが立ってきて面白さが増した
前巻と同じく可愛らしい百合色な作風が読んでいて楽しい作品である。登場人物達がキャラ立ちし始めてきており、作品世界を自由闊達に動き回り、個性も出始めたことから、姫子がさほど前面に出張らなくてもよくなってきている。では、代わりに本巻で活躍しているのは誰か、それは実を言うと表紙を飾って...
前巻と同じく可愛らしい百合色な作風が読んでいて楽しい作品である。登場人物達がキャラ立ちし始めてきており、作品世界を自由闊達に動き回り、個性も出始めたことから、姫子がさほど前面に出張らなくてもよくなってきている。では、代わりに本巻で活躍しているのは誰か、それは実を言うと表紙を飾っている樹里亜ではない。というか樹里亜だけではない。前巻より続けて登場の由麻、エルザ、杏奈、そして新登場の【蘇芳美環子】や【刈谷純】、つまり口絵裏側に描かれている少女達全員が、それぞれの役割を全うして見せ場をつくっている。その意味では小さなエピソードがいっぱい詰まった内容とも言える。例えば樹里亜などは、本編の学院府長(生徒会長)選挙や刈谷先輩の思い出には絡まないのだが、アヤメへの勝手な疑惑で独り暴走したり、エルザの口車にのせられたりと、かしましコメディエンヌを一手に引き受けて華を添えている。もぅ出てくるだけで笑える娘である。そして、何と言っても今回縁の下の力持ち的活躍を見せたのがアヤメ。姫子との入れ替わりであたふたしながらも真摯に振る舞い、姫子として由麻の想いを受け止め、杏奈の心を救った姿が好印象だった。姫子もアヤメの姿では伸び伸びできるようで、アヤメとして楽しみながら、お互いがお互いの立場や心境を少し理解するような雰囲気も滲み出ている。こうした百合百合な日常に頁を費やしたからか『封じられたもの』との、いわゆるバトルはかなりあっさりしているものの全然気にならない、というか無くても良いくらいである。それでも巫女としての姫子と美環子との関係やアヤメの正体(?)を示唆する言い伝えなど、核心部分に近づく情報も(小出しだが)出されてきており、次巻への楽しみを充分に残している。巻末たった3頁のエピローグが、最初は頁合わせの書き足しかと思ったのだが、これはこれでアヤメと姫子の今の信頼関係やアヤメらしさの出た心暖まるもので良かった。
DSK
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