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蒼月のイリス(1) の商品レビュー

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異能バトル+ラヴコメ風味に尊大な猫キャラ

正直ノーチェックだったのだが今になってふと目にする機会があり、口絵とあらすじに何となく惹かれて読んでみた。主人公【桐生慎太郎】よりちょっとお姉さんな感じのヒロイン【イリス】がなかなか面白くて良いなとか、文章やセリフで所々「?」となる不思議な言い回しがあったり、助詞の使い方(いわゆ...

正直ノーチェックだったのだが今になってふと目にする機会があり、口絵とあらすじに何となく惹かれて読んでみた。主人公【桐生慎太郎】よりちょっとお姉さんな感じのヒロイン【イリス】がなかなか面白くて良いなとか、文章やセリフで所々「?」となる不思議な言い回しがあったり、助詞の使い方(いわゆる「てにをは」)がおかしかったりするものの全体としてはサクサク読了できて程良く続きが気になった、つまり悪くない作品である。 根底にあるのは異能バトル。この世界には「王」となるべき戦いがあって、どこかの世界にも似たような争いがある設定なのだが殺伐とした雰囲気はない。むしろ物足りないくらいの軽い空気感である。第一この「王」となるべき戦いのルールがイマイチはっきりしない。冒頭で慎太郎がいきなり勝負をけしかけられており、何の説明もなくバトルが始まっている。そもそも「王」とは何なのか?「王」になるとどうなるのか?「王」になれなかった者はどうなるのか?この辺りの説明不充分には実は理由があって、この「王」たる者の資質について悩む慎太郎が、その答えを見つけるストーリーにもなっているのである。これについては良く出来ていると思う。要は自分が中心なのか、人のための献身なのかを問うているのだが、ここに至るまでの経緯に重点を置いて、イリスなどとの会話を通じて分かり易く展開させ、最後には若干の屁理屈にも聞こえるが「なるほどねぇ」という併せ技的解決策に辿りついている。ただ、ルールがはっきりしないために勝負の行方もまた少し曖昧に感じられてしまい、いかにも「勝負ついた!」というカタルシスが得られないのが気になる。 現状としては師匠と弟子みたいな関係の慎太郎とイリスだが、これについては今後の発展に期待したい。レビュータイトルの「猫キャラ」については読んでのお楽しみということで。面白いし可愛いよ。

DSK