変わるイスラーム の商品レビュー
イスラームとは何なのか。4人に1人がムスリムとされる現代社会にあって、これは避けては通れない問いである。本書は、イスラームの成立から近現代までの歴史的事象を、詳細に、時にドラマティックに綴っている。そして、イスラームが決して一枚岩ではないことを明確にしていく。 最後にして最大の...
イスラームとは何なのか。4人に1人がムスリムとされる現代社会にあって、これは避けては通れない問いである。本書は、イスラームの成立から近現代までの歴史的事象を、詳細に、時にドラマティックに綴っている。そして、イスラームが決して一枚岩ではないことを明確にしていく。 最後にして最大の預言者とされるムハンマド、そして正統カリフの時代までは、歴史の教科書などで何となく知っていたが、そこから先、イスラームがどのようにして世界宗教になっていったのか、非常に勉強になった。イランのホメイニ、エジプトのナセル、イラクのフセイン等、ある程度の年齢の方なら、その顔をリアルタイムのニュースで見ていたであろう。彼らの宗教的背景が本書により浮かび上がる。 9.11同時多発テロの日。深夜にも関わらず、大学に誰からともなく集まり、これからどうなるのだろうと答えの出ない会話をしたことを覚えている。あれから20年。今やあのテロがあったことすら知らない若者が増えてきたという。2009年刊行の本書は、あのテロにはイスラーム内部の対立という面があることを答えの一つとして提示した。 しかし、その後、ISが登場し、タリバーン政権が復活する等、イスラームは新たな局面を迎えている。それはとてもイスラーム内部の対立だけで説明できるものではない。著者アスランはこの事態をどう見るか。彼の今の声を聞いてみたい。
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基本的にはイスラム教の歴史について書かれた本。 各章の頭に小説風の読み物が配されていることもあり、 とても読みやすいのだが、中身はしっかりとした本。 最も響いた著者の考え方、「現在のイスラーム世界で 起こっているのはムスリム間の内部抗争であり、宗教 改革の真っ最中である。西側諸...
基本的にはイスラム教の歴史について書かれた本。 各章の頭に小説風の読み物が配されていることもあり、 とても読みやすいのだが、中身はしっかりとした本。 最も響いた著者の考え方、「現在のイスラーム世界で 起こっているのはムスリム間の内部抗争であり、宗教 改革の真っ最中である。西側諸国は彼らの敵ではなく 軽率に巻き込まれた被害者に過ぎない」という考え方 については、この本では折に触れて登場はしてくるが 本格的に論考しているわけではないので、改めて別の 本でしっかりと語って欲しいところだ。 結局、わかりきっていたことではあったが、イスラーム と一口に言っても、その中身は多様性に溢れ、簡単に 捉えることは出来ない、というのがイスラーム読書週間 の結論、ということになろうか。
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イスラムの内側でもイスラムのとらえ方は一通りではないんだという当たり前のことをしっかりと認識させてくれる本。女にとってのイスラムってどうよ、は今一つわからなかったけれど。
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