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大学院改革の社会学 の商品レビュー

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2015/05/17

2つの関心から本書を手に取った。一つは今後あるかもしれない大学院教育改革に関する知見を見ること。もう一つは高等教育分野の博論にふれることだった。 前者のかかわりでいえば、科研費を活用した学生を対象とした大規模調査データに基づく各分析は説得力があり、工学系以外にも大学院や学士課程...

2つの関心から本書を手に取った。一つは今後あるかもしれない大学院教育改革に関する知見を見ること。もう一つは高等教育分野の博論にふれることだった。 前者のかかわりでいえば、科研費を活用した学生を対象とした大規模調査データに基づく各分析は説得力があり、工学系以外にも大学院や学士課程段階でも参考になることが多いと思った。研究室教育は一定の効果があると信じてよさそうである。そして大学院重点化が教育機能不全をもたらした、つまり、大学院の入学定員が増えて、人的資源・物的資源が不足し、学生の不満につながっている事実は重く受け止めなければならない。 後者については、特に論文の導入、先行研究、分析枠組みの提示から、本論の開始に至るまでの流れが素晴らしかった。洗練されかつ練り込まれた博論とは、本論文のような論文をいうのだろう。わかりやすい文章表現と時折り出現する体言止めは、濱中節ともいえよう。学会での発表も何回か聞いたが同様の感想を持った。

Posted byブクログ