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大聖堂-果てしなき世界(上) の商品レビュー

4.1

25件のお客様レビュー

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2010/06/25

 スパイ小説の重鎮、ケン・フォレットの歴史小説。  「大聖堂」より、200年後の世界を舞台に、大聖堂建築をめぐる人間模様が鮮やかに描かれている。  「大聖堂」が12世紀当時の土木技術への挑戦と宗教を描いていたのに対して、この「大聖堂 果てしなき世界」では、台頭してくる商人や吸引...

 スパイ小説の重鎮、ケン・フォレットの歴史小説。  「大聖堂」より、200年後の世界を舞台に、大聖堂建築をめぐる人間模様が鮮やかに描かれている。  「大聖堂」が12世紀当時の土木技術への挑戦と宗教を描いていたのに対して、この「大聖堂 果てしなき世界」では、台頭してくる商人や吸引力を失っていく教会が描かれている。  <絶対>を失った世界で、イングランドで一番高い塔を建てることを、どう意味つけるのか。  信じていたものに裏切られ、身を守るために意にそわぬ選択をせざる得ず、またそれも砂上の楼閣のようにもろく崩れていくヒロイン。  反対に、不幸な生い立ちながら、愛する男のためという一念を貫いていくもう一人のヒロイン。  2人の対極のヒロインと、没落した貴族の子供として生まれ、建築家と騎士と正反対の生き方をする兄弟が、物語を極上のエンターテイメントに導いてくれている。  フォレットの小説は、人物造詣がいつも素敵だが、これではそれが最大限に生かされてるように感じた。  そう、前作のような建築技術の発展的な部分を求めると肩透かしをくらうし、前作で物足りなかった人が物語を作りあげていくという部分は、この上もなく満足させてくれる。  これほど、最後のページを閉じるのが残念でならなかった物語はない。

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2009/10/04

さらに分厚くなった「大聖堂」の続編。といっても約200年後の話。キングスブリッジを舞台に建築職人のマーティンと、兄ラルフ、羊毛商人の娘カリス、貧しい労働者の娘グウェンダを中心にした物語。前作以上に悪者が悪すぎる!保身や権力闘争のために、卑劣なことでも何でもやる。ムカムカしながらも...

さらに分厚くなった「大聖堂」の続編。といっても約200年後の話。キングスブリッジを舞台に建築職人のマーティンと、兄ラルフ、羊毛商人の娘カリス、貧しい労働者の娘グウェンダを中心にした物語。前作以上に悪者が悪すぎる!保身や権力闘争のために、卑劣なことでも何でもやる。ムカムカしながらも、マーティンやカリス、グウェンダが彼らにどう立ち向かうかが気になって、読みだしたら止まらない。

Posted byブクログ

2016/08/05

1989に発表された「大聖堂」の続編です。 前作もそうでしたがこの作品も分厚い3分冊という、手を出すのを躊躇うほどの長大な歴史ロマンです。 肉体的な冒険は少なく、陰謀と駆け引きの渦巻く修道院内の権力抗争や、無能な貴族と農民の確執、中世と言う時代の中で目覚め始めた女性の活躍などが描...

1989に発表された「大聖堂」の続編です。 前作もそうでしたがこの作品も分厚い3分冊という、手を出すのを躊躇うほどの長大な歴史ロマンです。 肉体的な冒険は少なく、陰謀と駆け引きの渦巻く修道院内の権力抗争や、無能な貴族と農民の確執、中世と言う時代の中で目覚め始めた女性の活躍などが描かれます。 前作では建築技術の進化がバックグラウンドに描かれ、それが結構興味深かったのですが、この作品ではそこが少なくなった代わりに、恋愛模様が詳細に描かれています。 なかなか出会うことの出来ない面白くて重厚な歴史ロマンです。

Posted byブクログ

2009/10/07

前作の続編ですが200年経った14世紀が舞台なのでこちらだけ読んでも楽しめると思います。誰が誰の子孫とか、細かいエピソードは出てくるのでもちろん前作を読んでいれば更に面白いです。前作では修道院は庶民に寄り添い、貴族階級と対峙する格好でしたが、200年後では聖職者も貴族と並ぶ権利保...

前作の続編ですが200年経った14世紀が舞台なのでこちらだけ読んでも楽しめると思います。誰が誰の子孫とか、細かいエピソードは出てくるのでもちろん前作を読んでいれば更に面白いです。前作では修道院は庶民に寄り添い、貴族階級と対峙する格好でしたが、200年後では聖職者も貴族と並ぶ権利保有者になりより政治的になっていて既得権益もあり庶民とは離れた存在になっています。それに対し以前はなかった女子修道院が修道院に属する組織として存在し、男性中心の封建社会組織に組み込まれ本来の存在意義を失いつつある男子修道院に代わり、病人の世話をするなど弱い立場の庶民を助けています。 物語はジャックの子孫のマーティン・ラルフの兄弟と、裕福な羊毛商人の娘カリス、土地を持たない最下層の労働者の娘グウェンダの4人が、森で殺人事件を目撃したところから始まり、王、貴族、大司教、修道院長の権力闘争から、登場人物たちの人生の目的達成のそれぞれの苦労と、大きな話から細かい話まで多岐にわたりながらも全体のまとまりは失わずに大団円を迎えるので、一気にスルーっと読めてしまいます。大作です。今回の作品は特に社会のマイノリティである労働者そして女性にスポットがあてられていて、読んでいて共感するところも多かったです。★5つでなく4つなのは、かなりボリュームのある大作を立て続けに読んだので最後少々息が切れてしまったため。一気読みした甲斐はありましたが、もう少し間を空けて読めばもっと良かったかも。

Posted byブクログ

2009/10/07

続編の翻訳が思いがけずいいタイミングで出てしまったので、また逃避系読書。時代の移り変わりに従って中世の都市住民の力が強くなっている様子なんかも描かれていて面白い。前作に引き続き、人間的かつ魅力的なヒロインがいい。

Posted byブクログ