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フラナリー・オコナー全短篇(上) の商品レビュー

4.3

7件のお客様レビュー

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2023/11/26

読後感が悪すぎて、一気になかなか読めなかったのだが、初期作品含めてどれもいい。 個人的に1番印象的だった話は「強制追放者」でした。救いようなさすぎて。。

Posted byブクログ

2023/05/06

雑誌『MONKEY vol29』フラナリー・オコナーの描いた漫画が掲載されています。上手ではないですが強烈なメッセージが伝わってくる力強いペンタッチが特徴です。フラナリー・オコナーの冷静な視線は学生時代から変わっていないというのがわかります。 ラジオ番組でフラナリー・オコナーを...

雑誌『MONKEY vol29』フラナリー・オコナーの描いた漫画が掲載されています。上手ではないですが強烈なメッセージが伝わってくる力強いペンタッチが特徴です。フラナリー・オコナーの冷静な視線は学生時代から変わっていないというのがわかります。 ラジオ番組でフラナリー・オコナーを紹介していたのを聞いて興味を持ったタイミングでこの漫画を読みました。これもなにかの縁だとおもって図書館で借りてきました。 全体の感想としては恐ろしい小説集だということです。その恐ろしさはオコナーの「おまえさんわかったつもりになってないかい」という声が聞こえてくるような感じがするところです。人種差別や暴力にたいしての我々の感情。簡単にそれが良くないことだと感じるのですが、私の中にも差別や暴力に対する快感のようなものが眠っていないかと問いかけてくるところが恐ろしいのです。 例えば『田舎の善人』。ミセス・ホープウェルと使用人のミセス・フリーマンは娘ジョイの片足が無いこと、これまでの人生で楽しいことがなにも無かったことを憐れんでいる。一方ジョイは大学で哲学を学び周りの人間が学がないことをバカにして、そこだけを拠り所に生きている。そして自分のことを賢いとおもっているジョイがふらりと立ち寄った聖書売りの男に簡単に騙されてしまいます、その男の目的は人間を辱めることなのです。登場人物がすべて他人の悪いところのみみて生きているところがものすごく怖くなってきます。生きていく糧が他人を下にみるところは現在にも通じるところがあると思います。 人間の恐ろしいところ、いやなところのオンパレードの小説集なのになぜか引き込まれていきます。そこがフランクリー・オコナーの小説のすごいところです。

Posted byブクログ

2023/02/22

フラナリー・オコナーは1925年生まれのアメリカ南部の作家(短編の名手として知られる)。紅斑性狼瘡という難病に冒され39歳の若さで亡くなるまで、精力的に描き続けたという。本作『フラナリーオコナー全短篇』は彼女の死後にまとめられ、1972年に全米図書賞を受賞している。 友達に勧め...

フラナリー・オコナーは1925年生まれのアメリカ南部の作家(短編の名手として知られる)。紅斑性狼瘡という難病に冒され39歳の若さで亡くなるまで、精力的に描き続けたという。本作『フラナリーオコナー全短篇』は彼女の死後にまとめられ、1972年に全米図書賞を受賞している。 友達に勧められてこの作家を知った。 オコナーの小説は、日常生活のささいな悲喜劇を通して、人間のグロテスクさ、不完全さを真正面から見つめることで普遍性を獲得している、と思った。 とても好みの文体だし、「強制追放者」は僕が読んできた短篇小説の中でも(少ないけど)パーフェクトだった。上下二冊で彼女のすべての短編がまとめられていることは嬉しくもあり、早逝していることは悲しい。

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2022/08/29

書店主フィクリーの物語で取り上げられ、気になって読んでみた本。 曖昧ストーリーのなかで、複雑な人間を多面的に、淡々と描写されていた。あまりに冷静に語られているため、余計に人のむき出した部分が垣間見える気がする。 フィクリーが、なぜ興味を持ったのかわかった気がする。

Posted byブクログ

2018/12/05

南部ゴシックというジャンルがあるようで。こないだ読んだバリー・ハンナとか、欲望と言う名の電車とか。あくまで白人側から書かれたテイ。特徴というのか見事だなと思ったのは、自分の向けた視線の先にあるものを、歪めることのないままの姿勢で書くスタイルなのかな。あんまり女性的とかいう表現は使...

南部ゴシックというジャンルがあるようで。こないだ読んだバリー・ハンナとか、欲望と言う名の電車とか。あくまで白人側から書かれたテイ。特徴というのか見事だなと思ったのは、自分の向けた視線の先にあるものを、歪めることのないままの姿勢で書くスタイルなのかな。あんまり女性的とかいう表現は使いたくないが、照準を定めた場所に向けた猟銃に掛ける執拗な湿り気を帯びた視線というか熱い呼吸を恥じることなくしまい忘れている。男性はジャンル分けを恐れ、そういう足跡を消したがるような気がする。若い頃から非常に成熟した作家である。

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2013/05/20

タイトルの通り、オコナーの全短篇を集めた文庫本上下巻の、上巻。 短篇集『善人はなかなかいない』の他、初期作品6本が収録されている。 『善人はなかなかいない』は文春文庫のアンソロジー『厭な物語』にも収録されていて、そちらが初読だった。『厭な物語』だけあって読後感は悪いのだが、当然、...

タイトルの通り、オコナーの全短篇を集めた文庫本上下巻の、上巻。 短篇集『善人はなかなかいない』の他、初期作品6本が収録されている。 『善人はなかなかいない』は文春文庫のアンソロジー『厭な物語』にも収録されていて、そちらが初読だった。『厭な物語』だけあって読後感は悪いのだが、当然、こちらで読んでも変わらずw 基本的に救いようのない話が多い。また、『賢い血』の訳者あとがきにあった『「キリストを中心とするのではなく、キリストに憑かれている」南部』というモチーフは短篇の方がより解りやすいと感じた。 『善人はなかなかいない』の他には、『聖霊のやどる宮』と『人造黒人』が良かった。読後感は良くないけどw

Posted byブクログ

2010/05/19

ちくま哲学の森『悪の哲学』所収の『善良な田舎者』を読み、この本にたどり着く。 全開のノワール。暴力と恩寵は必然的に結びつくという独自のカトリック観(この意味でモーリアックは手ぬるい)。北野武が同様の発言。「最も残酷な暴力には最も強烈な愛が結びつかなければならない」。

Posted byブクログ