きみと歩くひだまりを(4) の商品レビュー

志村一矢【著】

未完な上にすごく中途半端なところで終わってるんだ……

[ＤＳＫ]

本シリーズの結末を象徴する星也の作中セリフを、作者からの心の叫びと受け取ってレビュータイトルに冠したい。ある程度の本懐は達せられた美月と星也だが、実はほとんど何も解決していない。未来に向かって「さあ、これから！」となったところで幕を閉じる残念無念の強制終了と思われる。それでも本巻で見所の多い良質なストーリーを紡いでくれた作者に感謝である。

記憶の崩壊で星也のことを忘れしまった美月の、第１巻を彷彿させる振る舞いは読んでいてなかなか辛い、というか星也が可哀想だったが、それでも希望を失わず前向きに行動する星也は立派だった。美月が星也と出会う前と後での違い、つまり心境の変化を丁寧に描写して、何が変わったのか、それによって自分がどう変わったのかを、日記を効果的に用いて星也の存在に結び付け、こてんぱんに叩きのめされる校庭に星也がやって来た時のカタルシスに繋ぐ演出も良かった。この２人はお互いに背中を預けることで想い合う、「相棒」という名のカップルである。最後は何げに『恋人繋ぎ』までしちゃってるしね。