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日本古代史を学ぶ の商品レビュー

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2020/01/23

古代史研究の現在の状況について、初学者向けに書かれたサーヴェイ的な性格をもつ、著者の論文や講演などをまとめた本です。 本書は三部構成となっていますが、初学者にとって一番とっつきやすいのは、著者がジュネーヴ大学でおこなった講義の記録である第三部です。ここでは、とくに中国を中心とす...

古代史研究の現在の状況について、初学者向けに書かれたサーヴェイ的な性格をもつ、著者の論文や講演などをまとめた本です。 本書は三部構成となっていますが、初学者にとって一番とっつきやすいのは、著者がジュネーヴ大学でおこなった講義の記録である第三部です。ここでは、とくに中国を中心とする東アジアの世界の秩序のなかで、冊封体制から離れた日本がどのように自国のアイデンティティを形成してきたのかということに焦点があてられて、古代史の流れが叙述されています。また後半では、律令体制における政治的および財政的構造についての著者自身の研究成果などが簡潔にまとめられています。 第一部と第二部は、著者がこれまで発表してきた論考などをまとめています。とくに第一部「日本古代史を学ぶ」は、この分野を学びはじめた学生などが読者として想定されている文章で、石母田正の『日本の古代国家』以来の古代史研究の諸成果がわかりやすくまとめられており、初学者にとってはたいへん有益な内容になっています。

Posted byブクログ