脳バランス力とこころの健康 の商品レビュー

坂野登【著】

2010/06/03

前頭葉のはたらきは、脳病理学の長い間、謎だった。とくに知性との関係である。
不安に関係したスキーマとは、その人の中にあって不安を感じる際に姿をあらわすまとまりのことで、祖の中には性格的なもの、これまでの経験の中で築きあげられていったものが含まれる。スキーマは通常認識されない。世の中の出来事をどのように自分独自の方法で受け止めているか、その多くは無視式のままに行われる。出来事はゆがんで認知されるが普通は意識されない。そしてその出来事に対する不快な感情が起きてくるだろう。問題は不快な感情を生み出した原因となった出来事に対する受け取り方にはゆがみがありそれが意識されないために出来事とはマッチしないことがでてくる。不安はその感情を生成させた原因と感情のミスマッチから生じるとすると、これこそが不安をしょうじさせる事態である。不安が出てくると不安スキーマが活性化して認知のゆがみはますます増大していく。したがって認知療法の基本は普通は認識されないこのミスマッチの原因をクライアント自身に認知させることにあるといえる。