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幸田家のしつけ の商品レビュー

3.8

7件のお客様レビュー

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2017/08/16

幸田露伴が娘である文に教えた「美しい心」とはなんだったのかを、 文が残した随筆から読み解く。 現代の家庭の子育て問題と対比した個所があるので、「子育ての ヒント」のような意図で書かれたのであろうが、そこはすっ飛ばして 読んだ。 幼くして母と姉が相次いで亡くなり、迎えた継母は家...

幸田露伴が娘である文に教えた「美しい心」とはなんだったのかを、 文が残した随筆から読み解く。 現代の家庭の子育て問題と対比した個所があるので、「子育ての ヒント」のような意図で書かれたのであろうが、そこはすっ飛ばして 読んだ。 幼くして母と姉が相次いで亡くなり、迎えた継母は家事が苦手。そこで 露伴は掃除・洗濯・料理等の家事のすべて、祖母のご機嫌伺いの口上、 着物の着方、きれいに見える立ち居振る舞いを文に教える。 ほとんどが既に文自身の随筆で読んでいる内容だが、それを一挙に 集めると、厳格な父と反発しながらも必死についていこうとるす娘の 姿は、まるで一騎打ちのようだ。 掃除も洗濯も、娘が不作法なことをすれば実際に自分が手本を見せ られる父親なんて、今はいないだろうなぁ。まぁ、露伴が特別なんだ ろうけど。 厳格なだけではなく、露伴は子供たちともよく一緒に遊んだ。桐の葉の 上に、いろんな草花を料理に見立てる遊びがある。文が盛ったものを 露伴の元に持って行くと、たまたま来客があった。 「折角のご馳走、お客さまにさしあげなさい」。文が来客に捧げると、 先方も丁寧にお辞儀をし、祝福してくれる。「お嬢さんはきっと今に 料理ができます」。 死の床についた露伴は、文の腕に手を置き言う。「いいかい」。文が 答える。「はい、よろしゅうございます」。文の言葉に頷き、「じゃあ おれはもう死んじゃうよ」。死を意識した父と、別れを覚悟した娘の 会話も、またいいではないか。 各章の最後に「露伴語録」もあって、なかなかいい1冊だった。

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2012/12/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中学生の時、国語の例題で幸田文さんの父・露伴から家事を仕込まれる文章を読んだ。ようやくそのもとの本『父・こんなこと』を読んだのが数年前。ほかには『おとうと』しか読んでないのだけど、あの父娘について一体何が書かれているのか、この本を手にするやもうすでに読み始めていた。 筆者は新聞の家庭欄を担当していたこともある人で、さらに露伴の晩年の居宅の近所に住んでいて、この露伴の葬儀を近所の子どもとして目撃していた。そういうわけで幸田文さんの描く風景のいくつかが、筆者の子ども時代の原風景と重なったということもあり、親しみももって文さんの文章を読んでこられたようだ。さらに、家庭欄の記者さんだったことから、単なる幸田家の考察だけにとどまらず、現代の子育てにおけるヒントも織り込まれている気がした。

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2012/06/28

文豪幸田露伴がどのように次女文を教育したか辿る内容ですが、伝記モノではなく教育についての本で、幸田親子の文章をほとんど読んだことのない私でも十分面白かったです。 特に筆者が露伴を一方的に褒め称えるのではなく、父に愛されていない文の寂しい気持ちについてページを割いており、現代の若い...

文豪幸田露伴がどのように次女文を教育したか辿る内容ですが、伝記モノではなく教育についての本で、幸田親子の文章をほとんど読んだことのない私でも十分面白かったです。 特に筆者が露伴を一方的に褒め称えるのではなく、父に愛されていない文の寂しい気持ちについてページを割いており、現代の若い親御さんに対するメッセージに感じられました。 読み進めると背筋がシャンとして、しっかりと地に足をつけた生活をしよう、という気分にさせてくれます。オススメです。

Posted byブクログ

2011/07/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

幸田父にしつけられたい。 畳の拭き方や水の恐ろしさを がっちり頭と体で理解してる人に教わりたーい!

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2011/05/28

[ 内容 ] 凛とした生き方が読者を魅了してやまない幸田文。 これはすべて、露伴の厳格なしつけの賜物であった。 掃除、食事、身だしなみ、言葉遣い、性、死生観…。 人としてのあり方までを徹底して理詰めで教えた父、反発しつつも必死に食い下がる娘。 露伴が文に伝えた「美しい心」とは何か...

[ 内容 ] 凛とした生き方が読者を魅了してやまない幸田文。 これはすべて、露伴の厳格なしつけの賜物であった。 掃除、食事、身だしなみ、言葉遣い、性、死生観…。 人としてのあり方までを徹底して理詰めで教えた父、反発しつつも必死に食い下がる娘。 露伴が文に伝えた「美しい心」とは何か。 [ 目次 ] 理詰めで教える掃除の達人 父に向けた手厚い看護 反発しながらも畏敬の心 父は遊ばせ上手 最もおいしいときに食す 無言で育む美しい心 「わかる」とは「結ぶ」こと 形が人を美しく見せる 着物は着こなしにある 言葉遣いに厳しく 父と娘の性教育問答 夫婦の不和で傷つく子の心 男の子に甘い父心 生死の間に最後の教え [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2009/10/07

悪くはないんだけど、 ところどころ何が言いたいのか(幸田家との関わりを自慢している?) 分かり辛いところが気になった。 昨今粗製濫造気味な新書だから許容範囲なのかな? 雑巾がけのくだりはちょっと考えてしまった。 よくバケツの周りに水を撥ねらかすので(汗) 出典(?原著?)をその...

悪くはないんだけど、 ところどころ何が言いたいのか(幸田家との関わりを自慢している?) 分かり辛いところが気になった。 昨今粗製濫造気味な新書だから許容範囲なのかな? 雑巾がけのくだりはちょっと考えてしまった。 よくバケツの周りに水を撥ねらかすので(汗) 出典(?原著?)をそのうちあたってみようと思う。

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2009/10/04

露伴と文の間にある絆の解明は、自分でも研究してみたくなるテーマだ。 作品の中からしつけや子育てについて書かれている事項をとりあげて解説をほどこしてあるが、分析負けというか、解説が入るとむしろ興がそがれる。 露伴の教育は一般に普遍化するのは無理がある。斎藤孝もやっているが、...

露伴と文の間にある絆の解明は、自分でも研究してみたくなるテーマだ。 作品の中からしつけや子育てについて書かれている事項をとりあげて解説をほどこしてあるが、分析負けというか、解説が入るとむしろ興がそがれる。 露伴の教育は一般に普遍化するのは無理がある。斎藤孝もやっているが、型や方法論としては取り入れられても、彼の精神を実際に引き継ぐのは難しいから。 それでも引用部分にうろ覚えで気にかかっていた作品名が「雨の萩」だとわかったり、大好きな『銀の匙』の紹介などもあって、それなりの意味はある本。

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