ドラゴンは踊れない の商品レビュー
なかなか読む機会のないカリブ海文学。 トリニダード・トバゴを舞台にした作品。 カーニバル文化を主軸にして、 スラム街のある一角に住む複数の人々の語りを連綿とつなぎ、 不思議な魅力のある小説としています。 男、女、アフリカ系、インド系、 破滅的な人生に浸っているもの、成功をつかむ...
なかなか読む機会のないカリブ海文学。 トリニダード・トバゴを舞台にした作品。 カーニバル文化を主軸にして、 スラム街のある一角に住む複数の人々の語りを連綿とつなぎ、 不思議な魅力のある小説としています。 男、女、アフリカ系、インド系、 破滅的な人生に浸っているもの、成功をつかむもの、 カリプソ、スティールパン、 移り変わっていく時代。豊かへの挑戦、取り残される貧しさ。 変わりゆくカーニバル、不変のカーニバル。 細やかでふくらみのある語りが、流れる川のように響き、 様々な思いをこちらに運んできます。 注釈がかなり丁寧についているので、 なかなか知らないトリニダード・ドバゴの歴史、風土、 カーニバルのしきたりなどをフォローしてくれます。 翻訳者の方のあとがきからすると、原文英語もかなり面白そう。 (さすがに私では太刀打ちできなさそうですが) しかし、この本が出版されてから少し経ちますが、 ラブレイスさんの他の著作はまだ翻訳されてないのか…。
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カリブ海に浮かぶ国、トリニダード・トバゴで年に一度開かれる『カーニヴァル』。この本はそのお祭りを舞台に繰り広げられるアフリカの『不良小説の古典』です。老若男女、スラム街の人々から恋人たちまで、皆思い思いの仮装をして踊ります。この土地では、ダンスには自分を守る力、悪魔を断ち切る力が...
カリブ海に浮かぶ国、トリニダード・トバゴで年に一度開かれる『カーニヴァル』。この本はそのお祭りを舞台に繰り広げられるアフリカの『不良小説の古典』です。老若男女、スラム街の人々から恋人たちまで、皆思い思いの仮装をして踊ります。この土地では、ダンスには自分を守る力、悪魔を断ち切る力があると信じられています。スラム街や不良と聞いて、躊躇してしまうかもしれませんが、年に一回のお祭りにかける人々の情熱に不思議と引き込まれる作品です。
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人間が一人で生きていく分には自分自身が何者であるか?という問いは問題として現れることはないんじゃないかと思います。基本的に一人で生きているなら自分の好きなことをしてればいいと思うし、誰かに自分を説明する動機が生まれないと思うんです。 でも人間が社会の中で生きていくということに...
人間が一人で生きていく分には自分自身が何者であるか?という問いは問題として現れることはないんじゃないかと思います。基本的に一人で生きているなら自分の好きなことをしてればいいと思うし、誰かに自分を説明する動機が生まれないと思うんです。 でも人間が社会の中で生きていくということになったらそうはいかない訳で、社会に対して自分は何者であるのか?ということを常に提示していかないといけないわけですよね。人間の成長プロセスの中でも社会的に認められるというのは段階を踏んでいて、ある両親の子供としての自分とかから何々学校の生徒としての自分、何々会社の自分とか、社会に認められ信任をおかれていくプロセスのことを大抵の場合「成長」と呼ぶ訳です。 けど、この本の話ではイギリスに植民地化されたトリニダートが舞台なのでそもそもその、個人が吸収されていくべき社会のあり方がいびつな訳です。イギリスが作り出したこの社会が、そもそも自分たちの社会と言えるのか?と。 でも人間は何らかの社会に帰属していないと、何かこう生きてるっ!て実感が得られない生き物のようで、大抵の人はこのお話の中でもなんかいびつな社会だなーと思いつつも社会に適応していくんです。 で、そういう違和感をそのまま矛盾として受け入れられない不器用な男たちのお話です。このお話は。 個人レベルで一人の男が恋をすることで社会との葛藤を経験するっていう小さな個人史と、イギリスによる植民地支配という経験を持つトリニダートという国の歴史とが、どうしても関わりを持って語られるということがこのお話の魅力としてあります。 社会的な信任を得るということを国レベルで考えると、元宗主国という他者との関係を考えざるを得ない、いびつなパワーバランスがそこにはやっぱり存在するんだなと。
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今年の読書始めの一冊。 カリブ海のロミオとジュリエットのように読んでしまいました。 最高でした。
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ひとりひとりの人物の心理描写が、とてもおもしろかった。躍動感があっていいです。 でも祭りの後の展開が、オルドリックの自分探しのようになって、残念に思えた。 時代や国の状況を考えると、しょうがないのだろうけど、確実な変化や、行動が書かれていれば、もっとおもしろかった。
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