日本大使公邸襲撃事件 の商品レビュー
あのペルー日本大使館襲撃事件の話。著者は自ら人質でもあり、当時は元ペルー海軍の提督、後にアラン・ガルシア政権で副大統領になった人。事前にNHKの日本人人質の回想を読んでいたのだが、日本人は事件解決に置いては完全に蚊帳の外に置かれていたので、あの時何が起きていたのかはよくわからなか...
あのペルー日本大使館襲撃事件の話。著者は自ら人質でもあり、当時は元ペルー海軍の提督、後にアラン・ガルシア政権で副大統領になった人。事前にNHKの日本人人質の回想を読んでいたのだが、日本人は事件解決に置いては完全に蚊帳の外に置かれていたので、あの時何が起きていたのかはよくわからなかった。本書で、初めてフジモリ政権が具体的にどのように作戦立案をし、そして中の人質の暮らしぶりと、果たした役割が理解できる。著者を含めた多くの人質が理性を保ち、126日もの長い間1人の犠牲者も出さずに過ごしたのだから凄いことなのだ。 とはいえ、あの事件に関しては以前より様々なわだかまりを持つ。例えば日本政府が蚊帳の外に置かれ、非常に情けない役回りしかできなかったこと(という認識)、日本人は人質に置いても蚊帳の外だった件(という認識)、そしてテロリスト全員射殺というのが正しかったのかどうか、など。 全員射殺に関して釈然としない感情を持ってしまうのは、彼ら全員が筋金入りのテロリスト(MRTA)というだったわけではなく、半分は山の奥地で誘われた10代の少年少女だったからだ。彼らはそもそもMRTA幹部たちと違って政治思想を強く持っているわけでもなく、人質の、特に日本人たちと親しくなってしまったりする。そのうちの少女1人は本書の著者いわく日本人の若者と恋仲になってしまった。そして彼女は最終局面で日本人を撃つことに躊躇し、引き換えしたところを突入部隊によって射殺されるのだ。非常に切ない場面で、悲しい気持ちにならざるを得ない。彼らはあまりに純朴で、この仕事(大使館立てこもり)が終わったら、ペルー軍に入るとか、日本に行く、とか言っていたらしい。脳天気もいいところ、というか騙されて連れてこられたようなもんなのだ。 とはいえ、突入軍の方針である全員射殺は状況を考えれば致し方ない作戦なんだろう。誰が襲ってくるかわからないわけだし。事件解決後、ペルーでは反フジモリ派が力を持ち、突入軍の「罪」が問われてしまうのだが、それは理不尽だろうと感じる。突入軍の指揮官バレル中佐は逃げ出す人質をかばってあっという間に殉職もしてしまい、読んでいてその場面が一番辛い。 ペルー政府、すなわちフジモリ大統領の非情ぶりは、著者によっても人質の立場としてはという但し書きで強調されるが、そこの是非はかなり微妙に感じる。確かにあのときの橋本政権のものの言いようは、本書冒頭で佐藤優が非難気味に述べるように軟弱でテロ対策をわかっていない、と言えそうだが、そうはいってもあれがあったからこそフジモリ政権も強行策実行まで随分待ったし、テロリストと交渉しないというのも、決して世界標準ではないこともわかる。ある意味、この事件では日本人の甘さが結果的には人質の命を救ったと思えてしまうのは俺だけか。 また、日本人人質たち。恐らく著者を始めとした日本人達以外からすると余りに無防備で、かつテロリストたち(彼らはゲリラとみなされたかったらしい)と親しくなりすぎに見えただろう。でもそれがあったからこそ、テロリストも土壇場で人質を殺せなかったのだ。テロリストたちがプロ的でなかったのも幸運だったが、事件解決に蚊帳の外的だった日本人も実は人質全員無事(正確には解放後に1人死亡)に果たした役割は大きかったのではないか。無意識なればこそだけども。
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1996年のペルー日本大使館立てこもりの、元人質のペルー人の手記。 この著者が退役軍人で大佐で、考えから、行動から口調まで、 ドラマチックで、昔の映画、大脱走とかそういうの、みたいでした。 差し入れの聖書にマイクを仕掛けてもらって、 神に祈りをささげるふりをして外部に...
1996年のペルー日本大使館立てこもりの、元人質のペルー人の手記。 この著者が退役軍人で大佐で、考えから、行動から口調まで、 ドラマチックで、昔の映画、大脱走とかそういうの、みたいでした。 差し入れの聖書にマイクを仕掛けてもらって、 神に祈りをささげるふりをして外部に暗号で連絡するやり方とか。 もし今、この人に、当時のことを聞いたら、葉巻とブランデーグラス片手に 自分に酔いしれながら、とうとうと英雄譚語ってくれるんだろうな。
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その時、担当関係者としてその場にいましたが、 なにかまったく臨場感が伝わってこない、登場人物や概況は上手く説明できているが、 段取りや情報のセンシティブブな緊迫感が伝わったこない あの作戦の問題点、は多くあり結果的に上手くいったという事実は書いていない 大使館を制圧するための情...
その時、担当関係者としてその場にいましたが、 なにかまったく臨場感が伝わってこない、登場人物や概況は上手く説明できているが、 段取りや情報のセンシティブブな緊迫感が伝わったこない あの作戦の問題点、は多くあり結果的に上手くいったという事実は書いていない 大使館を制圧するための情報さえも、現場には届けられなかった。なにか違和感を感じます。
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