小島一郎写真集成 の商品レビュー
絵画のように美しい調和のモノクロプリントが収められている。写真屋さんの子として生まれた小島一郎は、終始地元の青森を撮り続けた。その郷土愛が写真に漲るようで、彼の青森が出来上がっている。ただの青森ではない。 自然厳しい青森を、とても優しく写し撮っている。粒子の荒い田舎道も、露光時間...
絵画のように美しい調和のモノクロプリントが収められている。写真屋さんの子として生まれた小島一郎は、終始地元の青森を撮り続けた。その郷土愛が写真に漲るようで、彼の青森が出来上がっている。ただの青森ではない。 自然厳しい青森を、とても優しく写し撮っている。粒子の荒い田舎道も、露光時間を多くして白く飛ばした大気も、小島の視線をとおして等しく温かい情景になる。マリオ・ジャコメッリの写真ではないが、土地に馴染む写真家の眼、態度、才能が、対象をわがものとしている。 余談だが、間村俊一氏の装幀に相応しい、角背の写真集である。これも美しい。
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