日本伝統色色名事典 の商品レビュー
日本の伝統色に関する事典 この分野の書籍としては、はじめの頃に出版されたものであるが、色の正確な再現性として、この書籍以上に気を使ったものはない。すべての色が別摺の小さなカラーチップに印刷されている。 日本人は本来、多くの色を識別する能力があったが、開国とともに色の名前...
日本の伝統色に関する事典 この分野の書籍としては、はじめの頃に出版されたものであるが、色の正確な再現性として、この書籍以上に気を使ったものはない。すべての色が別摺の小さなカラーチップに印刷されている。 日本人は本来、多くの色を識別する能力があったが、開国とともに色の名前も輸入され、10色程度の単純な名称に押し込まれてしまった。そして、私たちは、着物も着なくなり、時間とともに伝統色は忘れ去られるものとなっている。 本書は、色をいくつかの大きなジャンルに分け、その中に各色を展示する形式をとっている。雅な雰囲気を持つ「和名」を知り、解説を読むだけで和む。 現在では、流行にのってかJISでも物体色の「慣用色名」として147色が登録されている。(Z8102:2001)ただ、RGB表現はあるものの正確な色の再現にはなっていない。 また、本当の意味で伝統色の再現のためには、伝統色本来の発色、つまり、染色されたものを見る必要がある。紫紅社刊の染織家、吉岡幸雄の著書には、本書を超え、実際に染色した布の断片が貼付けられている。 ただ、それでも真実ではなく、染色は「退色」という現象があるので、実際に当時の色を再現する事は不可能に思う。 初版が1989年のものであるので、RGB表示などの配慮はない。あくまで純粋に「伝統色」にこだわった1冊。
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