自爆する若者たち の商品レビュー
ずいぶん過激なタイトルだと思ったが、確かにありうる話だし、統計的に有意だとしたらとんでもないことだと思った。若者が多すぎると火種になるとは。この火種をうまく活用できれば経済成長が望めるんだろうが、政治が不安定だと、破壊力に繋がってしまう。しかし、出生率が何で決まってくるのかはわか...
ずいぶん過激なタイトルだと思ったが、確かにありうる話だし、統計的に有意だとしたらとんでもないことだと思った。若者が多すぎると火種になるとは。この火種をうまく活用できれば経済成長が望めるんだろうが、政治が不安定だと、破壊力に繋がってしまう。しかし、出生率が何で決まってくるのかはわからなかった。 出生率の低さで苦戦している先進国は何が問題なのだろうか?
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ユース・バルジという考え方は、いま起こっている問題を説明する上で有用であると感じた。 例えば、ミャンマーで軍部が起こしたクーデター。 NHKスペシャルによれば、軍部は既得権益と強く結びついており、上層部は大きな利益を得ているそうだ。 彼らにとっては限られたパイを独占することが重...
ユース・バルジという考え方は、いま起こっている問題を説明する上で有用であると感じた。 例えば、ミャンマーで軍部が起こしたクーデター。 NHKスペシャルによれば、軍部は既得権益と強く結びついており、上層部は大きな利益を得ているそうだ。 彼らにとっては限られたパイを独占することが重要であり、民主政権など邪魔なのだろう。 米軍のアフガニスタンからの撤退も一例である。 意外に感じるが、アフガニスタンは出生率が非常に高く、兵士になり得る多くの若者を抱えている。 アメリカとは人的資源が違いすぎたのだ、 一つ興味を持った点として、ユース・バルジを経験した国は、それが収まった後に高齢化に悩まされるのではないか、ということだ。 中東やアフリカ、南米といった国々が経済的に発展することなく、高齢化に悩まされることになるとすると、世界的な大きな問題なのではないだろうか。 日本よりも出生率が低いヨーロッパ諸国の将来にも興味を惹かれる。 とにかく、今後も各国の人口統計には注意を払っていこうと思う。
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人口に占めるある世代の割合が一定以上に膨張する(=ユース・バルジ)と、その世代は権限や居場所を求めてテロや革命を起こすという、人口と暴動の関連性に着目した書籍。テロの原因は貧困という風に思っていたが、欧米の決して貧乏では無い若者がISに参加したり、人口爆発を起こしている国で社会が...
人口に占めるある世代の割合が一定以上に膨張する(=ユース・バルジ)と、その世代は権限や居場所を求めてテロや革命を起こすという、人口と暴動の関連性に着目した書籍。テロの原因は貧困という風に思っていたが、欧米の決して貧乏では無い若者がISに参加したり、人口爆発を起こしている国で社会が不安定なのは、この説を裏付けているのかも。日本の団塊の世代はこれに当てはまらない程度の膨張だったが、それでも学生闘争は活発だった。居場所がないという意味ではオウム真理教に走る若者がいたのは最近のことだ。この法則だけではないのだろうが、これで世界を眺めてみると興味深い。子供や若者の数が少なくなれば、戦力を維持することが難しくなる。若者を死なせることができない軍隊になる。アメリカはまさにこの状態。この限りでは、将来の中国はそれほど危険ではないと言えるかも。新たな視点をくれる一冊。
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かつてのヨーロッパの覇権、現在も続くテロリズムの影には「ユース・バルジ(過剰なまでに多い若年人口)」がある。 ヨーロッパは、初期重商主義により「人口の多さ=富の多さ」とし、「宗教」の権威を用いて堕胎や嬰児殺しを禁止した。 かつて、魔女迫害が行われたが、これはこの関連と考えら...
かつてのヨーロッパの覇権、現在も続くテロリズムの影には「ユース・バルジ(過剰なまでに多い若年人口)」がある。 ヨーロッパは、初期重商主義により「人口の多さ=富の多さ」とし、「宗教」の権威を用いて堕胎や嬰児殺しを禁止した。 かつて、魔女迫害が行われたが、これはこの関連と考えられる。 「魔女」として糾弾されたものは産婆も多く、彼女たちが人口調整の手段を持っていたが、迫害されたことでそれらはほぼ壊滅的な状態となり、ヨーロッパは人口爆発を迎える。 ユース・バルジ(過剰なまでに多い若年人口)、わけても、植民地の拡大に大きく影響した。 貧富にかかわらず、三男坊、四男坊は親からの財産や土地を相続することは期待できず、「自力で」居場所を確保するしかなく、それが外に向かって爆発した結果、ヨーロッパは全世界を席巻した。 現在もテロリズムや紛争が絶えない地域では「ユースバルジ」が往々にして見られる。 <感想> 日本でも「団塊の世代」でよくいわれることだが、世代の人口の多さが社会に影響を与える。 当然の帰結なのかもしれないが、改めて考えたことがなかった。この本で世界規模で論じられていたので、とても新鮮に感じた。
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江戸時代、武家の三男坊とかになると士官先もなく、嫁の来手もなく、惨めな生活をしていたというドラマだったかを昔見たことがあって、なるほどなあと思ったものである。しかしこの武家がおそ松くん並みに兄弟が多ければ、長男おそ松くんはいいとして、弟たちは能力もあり教育も受けていても社会の中...
江戸時代、武家の三男坊とかになると士官先もなく、嫁の来手もなく、惨めな生活をしていたというドラマだったかを昔見たことがあって、なるほどなあと思ったものである。しかしこの武家がおそ松くん並みに兄弟が多ければ、長男おそ松くんはいいとして、弟たちは能力もあり教育も受けていても社会の中に正当な地位を得ることができず、大変鬱屈した生活を送ることになるだろう。やがては社会、すなわち幕府を恨むようになり、そこに「尊皇攘夷」論などが吹き込まれると、彼らは名誉のため命知らずのテロリストになるのである。そこに吹き込まれるイデオロギーは「聖地奪還」でも「アーリア人の優位」でも「イスラム原理主義」でも時代と場所に適合すれば何でもいいのである。本書『息子たちと強国──上昇志向におけるテロと国家の没落』(原題)の主張を応用するとこんなことになる。 「戦闘年齢」といわれる15歳から25歳(あるいは29歳)の人口(これをユース・バルジと称する)が人口の30%を超えたとき、社会に居場所を与えられないが上昇志向をもった二男坊・三男坊によって内乱、革命、テロ、戦争などが起こるという主張であり、15世紀以降、ペストで人口激減したヨーロッパが人口を盛り返して世界制覇した歴史、開国した日本が膨張してようやく原爆によって止められる歴史など実例が豊富に挙げられる。目下の脅威はイスラムの人口爆発である。 他方、先進国では人口の減少に悩む。人口増加のためには女性に生んだり生まなかったりする選択権を与えないような抑圧された地位を与え、避妊・堕胎・嬰児殺しを厳しく取り締まるとともにそのような知識を持った産婆を殲滅するのがいい。魔女狩りはそうやって産婆と彼女らが持つ女性医学の知識を殲滅し、ここに大航海時代が開けていくという解釈はなかなか見事だ。しかしもはや先進国ではそんなことはできない。だからといって人口の増えた他国の人々を受け入れても国内に摩擦が起こるだけでうまくいった事例はごく少ない。 著者ハインゾーンは解決策を示せない。わずかに多民族国家として成功しているモーリシャスの事例を挙げる程度である。しかしここまで論考を進めれば、世界平和のための論理的帰結は2つ。ユース・バルジ分を火星移民に送るか、挙児権なり挙児義務を制定して厳格に女性一人あたりの出生率を2.1に保つ超管理社会を作り上げるしかない。いずれもディストピア小説が描いてきたようなことである。ああ。
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政治哲学者のハンナ・アーレントは自身の著「全体主義の起源」の中で、ユダヤ人迫害や植民地支配の発生要因を、自国内であぶれた「余計な者たち」のはけ口、生きる道の顛末として考察した。しかしそこには「余計な者たち」がなぜ生まれるのかまでには言及していなかったが、まさかそれを人口学という異...
政治哲学者のハンナ・アーレントは自身の著「全体主義の起源」の中で、ユダヤ人迫害や植民地支配の発生要因を、自国内であぶれた「余計な者たち」のはけ口、生きる道の顛末として考察した。しかしそこには「余計な者たち」がなぜ生まれるのかまでには言及していなかったが、まさかそれを人口学という異分野で説明できるとは思いもよらなかった。ペスト流行による人口減少で危機に瀕していた中世ヨーロッパ。その反動で出生爆発が起き、ユースバルジという問題が起こる。ユースバルジは戦争やテロにはけ口を求める。したがって、世界の均衡を保つには人口抑制が欠かせない。だが一方で、抑制しすぎると少子化問題が起き、国家存続の危機につながる。人口統制とは国家にとって最も厄介であり難しい舵取りを求められる。
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※このレビューにはネタバレを含みます
犯罪者はなぜ犯罪を犯すのかを考えた結論は「暇だから」。というツイートを思い出した。 ジェノサイドが起きるのは、社会が抱えきれないほどの若年人口がいる時である。 働き口のない次男、三男、四男はそのエネルギーのはけ口が見つからない。だから既得権益者を引きづりおろそうと必死になる。そして、本当に死を以て社会に訴え出る。 現在、人口爆発で多くの若年人口を抱えるイスラム諸国家は、火薬庫である。もうすぐ若年人口が減少するのでイスラム国家も鎮火すると言われているが、そうだといいね。 ____ ● 中世の大航海時代、ヨーロッパのユースバルジは新大陸で植民地を経営し、生きがいを見つけた。 ● 人は飢餓から逃れるために戦う。のではない。飽食の時代でも、生きる場所がなければ戦うのだ。世界平和のためには、何をしていかなくてはいけないか。考えろ。 ● 現代の先進国の若者は高い失業率に苦しめられている。でも、爆発しないのはやることがあるからだろう。パソコンがあれば引きこもれるし、世界平和が訪れるかも。
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「人間が闘争を行うのは「飢餓」からの脱出、物的な充足を求めるためであり、したがってそれらが満たされれば世界には平和が訪れる。」というのがマルサス主義以降一般に信じられている平和論ではなかったろうか。 しかし著者はそれらを「愛らしくも無邪気な幻想」と斬って捨てる。なぜ人は戦うの...
「人間が闘争を行うのは「飢餓」からの脱出、物的な充足を求めるためであり、したがってそれらが満たされれば世界には平和が訪れる。」というのがマルサス主義以降一般に信じられている平和論ではなかったろうか。 しかし著者はそれらを「愛らしくも無邪気な幻想」と斬って捨てる。なぜ人は戦うのか。それ以前に「どういった人間が」戦いに及ぶのか。そういう視点から歴史を見ると意外な構造が見えて来た、本書はその構造を解析したものである。そのキーワードは『ユース・バルジ』バルジとは人口ピラミッドの突出した部分のことをいい、多くの国家が歴史的な戦争/侵略を行った時期はその国の人口構造が10〜20代に極めて突出した時期に合致するというものだ。 もちろんそれは戦闘要員が多いという単純なモンダイで片付くことではない。突出した多勢の若者たちは自分たちが手にする社会資源が相対的に少ないことを知り、その上で力を「外」に向けるのだ。また国家も戦闘要員を「消費材」と考えた場合、遠慮なくこれを消費しようとする。 人類は本能的に自分たちの社会に「適当な」人口構成というものを理解しており、いろいろな形での「産児制限」を行ってきた。それらの中には現在の規範ではゆるされざるものもあったが、社会を維持する手段として暗黙のうちに認められていたのである。 ところが、コロンブス以降、ヨーロッパ人は「人的要因」の増大に迫られた。女は産めるだけの子を「生産」しなくてはいけなくなった。そこで産児制限のプロであった当時の助産師たちは「魔女」とされ社会から抹殺された。と同時に人口ピラミッドは今までにない構造を取るようになる。そしてその若者たちは生まれ育った場所では手に入らないものを求めて「新世界」で略奪の限りを尽くし、その動きは19世紀まで続くのである。 それらが終演した1940年代以降、女たちは産むのを止めた。おそらく動物的本能として「母性」からくる出産欲というものはひとりかふたりでいいものと見え、19世紀に覇権国家としてならした国々のほとんどが、今や『シニア・バルジ』を抱える状況になっている。 では今『ユース・バルジ』を抱える国家はどこにそのはけ口を求めるのか?!それが世界各国で見られる局所的なテロの原因だと著者は分析する。彼らは『自分の社会的位置』を求めるため「既存のもの」を壊そうとするのだ。9・11の実行犯たちがいずれも移民したアラブ系の若者であり、つまり物的には決して飢餓の状態にはなかったこと、それが何よりの証拠だろうと著者は示している。 論調がかなりアグレッシヴで、俄には信じ難い部分もあるけれど、かなり興味を魅かれる内容ではあった。面白さという点ではなかなかのものだと思う。
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15~29歳の人口に占める割合が30%を越えると戦争とかテロ、犯罪が増える。→行き場を失った若者が地位や富を求めて戦闘にエネルギーを注ぐため。 古代ローマ、ギリシャや15~16世紀ヨーロッパの植民政策に始まり現在のアフガニスタンまでその現象は繰り返されている。 人口学的には205...
15~29歳の人口に占める割合が30%を越えると戦争とかテロ、犯罪が増える。→行き場を失った若者が地位や富を求めて戦闘にエネルギーを注ぐため。 古代ローマ、ギリシャや15~16世紀ヨーロッパの植民政策に始まり現在のアフガニスタンまでその現象は繰り返されている。 人口学的には2050年頃までアメリカの独走は続くだろう。 (中国やインドが周辺国と同盟組んだり支配したら覆るだろうな…) 韓国と北朝鮮が統一されたら、韓国の強い経済と北朝鮮の核を持った強国になる、というのはなぜ今まで考えなかったのだろう… とにかく学び考えることが多い良書でした~
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世界各地の暴力行為を人口爆発という観点から読み解く。ユースバルジの危険性を指摘した良書。 ラテンアメリカを調べる中で、ヨーロッパ人たちが危険を冒してまで新大陸を目指した理由、またその新大陸であそこまで残虐になれた理由が不思議だった。しかし、行き場のない若者の力の爆発だったという指...
世界各地の暴力行為を人口爆発という観点から読み解く。ユースバルジの危険性を指摘した良書。 ラテンアメリカを調べる中で、ヨーロッパ人たちが危険を冒してまで新大陸を目指した理由、またその新大陸であそこまで残虐になれた理由が不思議だった。しかし、行き場のない若者の力の爆発だったという指摘に非常に納得した。 (若者が少ない日本ではその恐ろしさというのはなかなか感じられないが。) 人口が急増する途上国にいると、この恐ろしさをまじまじと感じる。 過去の歴史研究にも、未来の予測にも役立つ。 文体がちょっと重めで悲観的すぎるのが☆マイナス一つの理由。
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